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いろいろあってダンゴムシ  作者: macchang
7/10

玉のあり様が上昇に転じる

あまり話は進まないです

 見覚えのある空間だ。天井だったらお約束なんだが、ここにいるって事は死んだのか?自分を上から照らす光の光源は眩しくて見えない。この空間に来るのは2年振りくらいだろうか。ここにいるという事はまた死んでしまったのか。多分、今までの生活の中で一番安定したと思ったのに。それに今後は無事転生できる保証は無いと前回言われているので後悔と不安が募る。

「そんなに心配しなくても大丈夫だよ」

お馴染みの神格再生ラジオが照らし出された。

「冬眠というのは仮死状態になる様な物だからね。夢の中に干渉できるのさ。」

「それを聞いて安心しましたよ、今の世界はかなり幸せなんです。簡単に死にたくない、このまま長生きしたいって思うほどには。」

「こちらも君のその言葉に安心したよ。衝動的に死のうとする精神状態から脱せたようだ。」

言われてみればそうである。のんびりとした時間追われない生活と、僕に対し全幅の信頼と愛情を注ぎ、僕からの愛情を受け止めてくれる相手の存在。

「彼女の御蔭ですね。僕は居るだけで周囲を幸せにするように貴方にしてもらいましたが、彼女は僕の為に貴方が用意されたのですか?」

「いいや、全て偶然だ。サポート要員はつけていない。前話した異状の調査に回しているからね。」

そう言えば何か神格の目線での異常が起きていると以前言っていたな。

「その件について、現地の君にも報告しておこうと思ってね。冬眠中の所を失礼させてもらっているよ。」

「ん~、手短にお願いしますね。」

そう頼むと、任せろとばかりに大量の情報が頭に流れ込んでくる。


 情報を整理すると、僕とは違う要因で、違ったやり方でこの世界に転移してきた存在が居たらしい。それもかなりの大物が。その存在が元居た世界の体からこちらの世界に順応するために転移中に、こちらの世界の因果というか運命の歯車的な所に干渉したらしい。まぁ、ラジオの中の人とは別の神格の関与合っての事らしい。

「それで、何か影響あるんですか?」

「今のところは特に無いんだけれど、実はその転移者というのは、君のいた世界の平行世界の住人でね。かなり荒っぽい転移方法だったから、元の世界に転生は暫く出来ないかもしれないんだ。」

「こちらの世界の人間としては?」

「今の生を全う出来たら可能だよ。上手くいけばこのまま輪廻から脱して極楽にでもいけるよ。」

向こうの世界に未練があるかと言われても、今回の件は特別に記憶引き継ぎで転生している。

また最初から人間として生きるとして、向こうと此方の世界、どちらにするか。

「今回は上手く行きそうだし、考えておいてくださいね。」

そう言い残しラジオを照らす光は消えた。

そしてすぐ僕を照らす光も消えた。

この暗闇の中、眠りから覚めれば、既に春が訪れているのだろう。


 目覚める前に少し彼女の事を考える。出会って一年ほどになるか。助けて以来、ずっと懐いて付き従ってくれている。他に靡く事も無く。こちらを否定する様な事も無く。偶に魔法で意思と伝えあうと盲目的にこちらに懸想しているのが伝わってくる。身体の関係についても人間の時の様に、常時発情しているわけはないのでそこまで何度も求めたりしたるはしていないけど、拒絶された事はない。従順一途で、慕う相手には寛容。いくつかある男の理想の内の一つを体現している。それだけでも僕にはもったいない存在だ。


 今年は人間との関りが増えるだろう。何か贈るものでも手に入れば良いが、ダンゴムシが喜ぶものが何か。確か転生まえに野菜の切れ端や新芽、花弁を食べるといっていたけど、それらをまだ食べていない。春の新芽を一緒に彼女と探しに行こう。危険から守りつつ普通のダンゴムシでは食べられないようなご馳走を、彼女と一緒に楽しもう。喜んでくれるかな?

楽しい想像を夢に抱いて、僕は暗闇の中に意識を手放した。



身体が空気の暖かさを感じて目覚めた時。一番に隣に居るはずの存在を確認する。触角が触れ合うかの様な近距離に居るのに、それでもなお確認したいと思う程に、その存在は私にとって重要であり、同時に存在を傍に感じられることが最大の安らぎでもある。


 生まれて間もなく、私は私が他の同族とは違うという事だけは認識していた。忍び寄る捕食者に気付かない同族。乾燥して危険な場所にいつまでも留まる兄弟。私から見れば何も考えていない様に見える行動をとる者達。そして私にはそれらを見抜き回避する事ができ、例え不意に捕食者に襲われても身を守れる能力があった。同族の殻を噛み砕く顎を持つ捕食者も私の甲羅は砕けず、見えない壁を作ればその壁を越えてこれる者はある時までは居なかった。


 ある時、異様な気配を持つ捕食者が現れた。長い体と強い顎と毒を持つソレは今まで見た事のあるソレとは明らかに異なる様子で、隙だらけの同族を無視して明確に私を狙っていた。本能的にかソレが私と同じその捕食者の中で特別な個体であり、同じく特別な私を狙っているのだと悟った。そしてソレは私の作る見えない壁を食い破り、私の甲羅さえ噛み砕こうとした。幸い上手く弾かれて逃れる事が出来たが、次に捕まれば後は無いとハッキリと感じられた。その時初めて自分の死を認識し恐怖した。


 恐怖に錯乱した私は以前から感じていて大きな存在、今対自する捕食者は私と同様の特別な存在のいる方へ逃げた。もし行き先に居るのが捕食者であるなら、危険な方向だがもしかすると私を追ってきた捕食者と鉢合わせてくれれば逃げられるかもしれない。そんな都合の良い一縷の望みにすがって、弾かれた勢いのまま転がった。


 私の逃げた先に居たのは私以上に特別な同族だった。その姿は周囲の暗闇を映し出す鏡の様な甲羅をもった雄。その雄は追ってきた捕食者を熱い光を出して撃退してみせた。光を映す姿に私は見惚れて動けなくなっていた。死の恐怖が光に消えていく様を映し出す甲羅。ソレを撃退した雄は何事も無かったかのように食事を始める。雄の周りには私たち種族が住みやすい環境が不自然に整っていた。そこで私はその雄の傍が最も安全な場所だと認識した。そして先程から自分に纏わりつく死の気配から逃げるために、その雄について回る様になった。


 その時は只々、恐怖に追われ安心を得たかっただけだが、時折その雄は此方を気にして意思を送ってきたし、またこちらからの呼びかけに応じる事もあった。それは今までの同族には無い事だった。その先は捕食者がいるから行くな、そこはいつまでのいると危険だ。そういった呼びかけをした過去の同族は何も反応せずそのまま食われるか、稀に運よく生き残ったかで、私の声は届かなかった。しかしその彼には意思が通じて、私を認識してくれているのが分かった。だがそれは嬉しかった半面、孤独を私に感じさせることにもなった。


 彼の伝える意思は様々で今までに沢山の感情や知識を私に与えてくれた。それは決して良いものばかりでは無かった。彼と離れ意思が通じない所で感じる寂しさ、孤独。彼にピタリとついて回ることで彼が偶に不便な思いをした時に感じる感情が伝わる時の不安、執着。恋慕というものが今の私が彼に対して抱いている感情に近いだろう。


 そして同族の恋の季節。特に感情も無く機械的にアプローチしてきた同族の雄を完全に無視する。彼から少し嫉妬の感情が送られてきたのが嬉しくてたまらない。諦めて去っていく同族の雄を風に魔法で吹き飛ばし、彼が私を求めて来た。他にも彼ならどんな雌でも受け入れるだろうに。少し不安の混じった感情と共に私を選んでくれた。その感情から私を対等な同族の雌とみてくれる。特別扱いしてくれる。それだけで満たされる。


 その後も彼の傍らに居続け、彼といる事で私は以前より成長できたと感じた。彼に合わないまま同族たちの中にいては同族の知性ばかりで、同族の生き方に上手くなるだけだ。彼の例えで言うなら狼育てられた人間は狼になるが。では人になる素養を持った私の種族が人として育てられたらどうなるのか。知性や精神的なもので人を定義するなら、人に至ることは出来る。


 その時は解からなかったが事だが、後に人に私たちが捕らえられた時。彼は人と対話しその窮地から逃れて見せた。それだけでなく人にその存在を認められ、一目置かれるようになったのだ。


 その後、人間に頼まれ事をされて再度人の住処に入ることになった。その時に連れられていった部屋の空気は嫌な感じがした。そこに居た人間からその嫌な空気が出ているようで、彼はそれを弱めるためにその能力を使っていた。時折、人間から嫌な空気の塊が彼に向って飛んで来るのを見えない壁で防ぐと、彼から感謝の意思が伝えられて、役に立てていると嬉しい気持ちになった。寒くなるまでその頼まれ事は続いた。


 寒くなり、嫌な空気を発する人間が居なくなった頃。身体の奥から強い眠気が湧いてくるのを感じた。以前、寒くなった時の同じ感覚があり、それに従うと目覚めた時には暖かい季節になっていた。彼と意思疎通することでそれが冬眠という現象だと知る。彼は魔法で冬眠の為の場所を作り、私を傍らに置いて眠り始める。


 来年も目覚めたら彼は私を傍においてくれるだろうか。普通の雌に気を奪われないか不安は常にある。彼を信じたいが都合の良い存在過ぎて、彼のいてくれることが幸せ過ぎて信じられないのだ。もっと意思を伝える魔法を上手く使えるようになりたいと思う。そうすれば彼にこの気持ちを伝えられるのに。

 

 そんな事を想いつつ、彼の隣で冬眠できることに前年と違う安心感を覚えながら、私は身体を丸めて眠りについた。

ちょっとした考え方の話。

異世界転生ものでチートを書きたい

でも人並み外れた大きな力で環境を急激に変えたり文明を進めるような物を描く知識は無い。

という思考から人間の力でも充分チートになるような弱い存在に転生する事を考える

大きさはあまり小さすぎると自分の想像力が足りないので、成体で指先に乗る1㎝程度。陸生のものに限る

そうすると哺乳類は外れる

虫や甲殻類で完全変態しない、むしろ変態もして欲しくない、生まれた時から成体とあまり変わらず、

脱皮等で成長しても大きくなるだけのモノが好ましい。

人との交流を書きたいので、身近で子供が触るもの。

そうなると毒や、噛みつく強いアゴは無く、生態も肉食及び肉食寄りの雑食は排除。

そんな事考えてると、少女がダンゴムシ掴んで親に見せに行く光景が浮かんだので後は行き当たりばったりでとりあえず書いてみている。


というのは嘘で、本当に何も考えずに書いています。ただ、ダンゴムシの生態に関して無知をさらしているのが恥ずかしくて言い訳している次第です。


あとがき書くの難しいなぁ。作品解説とか出来る人ってすごいんだなぁ。


ここまで読んでくれてありがとうございます。

もうしばらくお付き合いください

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