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境界線
そりゃ、そうだ。
私が居なくたって、社会は回るし、世界も回る。
一人減ったところで違和感など気が付かない。
表示されるわけじゃないなら、気が付かれない。
全てを絶ちきってみたら、意外に繋がれてた紐は細く、綱だと思っていたものは、糸でしかなかった。
片方が引っ張れば切れてしまう糸。
そんな頼りないものでも、大切にして手にまきつけていたけど、握りしめ過ぎて、気がついたら手が切れてズタズタになってたりする。
私は必要なんてない。
必要な人なんていない。
居なくても、居なくなっても、誰も困りはしない。
代わりはいるし、私よりも上手くまわせる。
ああ。虚無が私を手招きしてる。
そちらに行ったって、どうせなにも変わらない。
戻ってこれないだけ。
幸せも喜びもない代わりに、辛さや絶望がないなら、それなら行ってもいいだろうか。
それなら行ってもいいだろうか。




