30 王子達の背景
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結論から言うと、王国軍の総帥に会うのは無理だった。
まぁ、いきなり行って会えるとも思ってなかったから、そんなものだろう。
王都に着いてすぐ顔を出したのは衛兵で、どうやらロモロが先触れを出していたらしく王城までの馬車も用意されていた。
「ミケーレはポーツァル領なのか……」
「はい。領主が病のために出兵できない為、近隣の魔物の数が増えているらしくてその討伐に。一軍と二軍に加え、五軍を率いられていますので、来月には帰還するだろうと思われますが」
どうやら総帥は遠征中らしい。
ここ数年のモンスター増加を受け、持ち回りで軍が巡回と討伐を行っているらしいな。総帥自ら出たのには、何か理由がありそうだが。
「殲滅戦か……大規模だな」
「ポーツァル領のラルス殿は北の要ですからね。病というのも魔物の仕業のようですし、早く快癒していただかなくては。北は不穏ですから」
「レンテリアか……そうだな」
レンテリアはこの国の北にある大国だ。停戦協定が結ばれている南西の隣国と違い、色々と警戒しないといけない国らしい。かなり大きな国らしいから、まともに戦えばこの国に勝ち目は無いだろう。
もっとも、小さくて特色も無いうえに魔物がよく出る小国を欲しがるかどうかは微妙だが。
「ラルス殿もご高齢だからな……せめて魔穴が塞がれば良いのだが」
「ユルゲン殿が封印石を探しに辺境に出られたそうですが……ああ、そうだ、総帥から留守中に殿下がお帰りになったら、と口にしていらっしゃったんですが、兵站の事で今度お話をしたいそうです。今回の出兵時、ちょっとドタバタしたみたいで」
「私が出た後でなければ力添えも出来たのだが、上手くいかないね」
「急でしたからね……」
そこまで話してから、リベリオは俺を振り返った。
「――と、いうことで、ミケーレには会えなさそうだ。城にさえいれば、気さくな人だから会ってくれただろうけど」
「構わんよ。約束をしていたわけでなし、無理にという話でもない」
「もしよろしければ、伝書鳩を飛ばしますが」
「いや、もしその必要がある場合、陛下が連絡されるだろう。私が個人的に行うのは控えるよ」
苦笑したリベリオに、衛兵も苦笑を浮かべた。リベリオの微妙な立ち位置については、彼らも察しているらしい。
「では、王城までご案内いたします。――この素晴らしい馬車で入城できればよかったんでしょうけれど……」
おっと。我が作品が褒められてしまったぞ。
嬉しいが、失敗作だから黒歴史感が漂うのが如何ともしがたいな。
……城壁前で止まってる今ですら、街の内外を問わず周囲の視線を集めまくっているしな……
「連絡はいっているだろうか? ロルカンで著名なグランシャリオ家からお借りしたんだ。私の竜車は修理に出ていてね」
――ということにして、悪目立ちしてしまう『復讐蟻を呼び込んだ一人の竜車』はジルベルトの所で預かってもらっている。実際に車軸が痛んでいたから、修理中だというのも嘘ではない。修理という名の魔改造については口にしないとも。煙幕弾なんて仕込んでいないとも。
「は! 大魔導士殿がご同乗になっている旨、アメティスタ卿より伺っております! 噂では『死の黒波』を殲滅なされたとか……」
「うん。そのあたりのことを陛下にご報告しないといけなくてね。忙しい身を無理して同行してもらっている。皆に粗相のないよう連絡を回してくれ」
「はっ!」
やや顔を引きつらせながら敬礼し、衛兵は場を開ける。周囲への警戒にあたりながら馬車の扉前に控え、リベリオ達を降ろす為に扉に手をかけた――というところで、ものすごい足音が響いてきた。
「下がれお前達! 殿下の前で帯刀しているとは何事だ!」
……あー……
従者が来たよ。大人しいと思っていたが、御者台で衛兵やら何やらと手続きをしてただけのようだ。いっそそのまま手続きに奔走してればよかったのに。
「……キリルは悪い男では無いのだが、ちょっと過保護でね……」
「過保護と言うか……周りを見ず自分の信じる正しさを貫きすぎでしょう。あまり良い状況とは言えませんね」
ポムの容赦ない言葉にリベリオはちょっと困ったように微笑む。困ったちゃんな側近を抱える苦労は分かるので、なんとなく俺はリベリオの肩を叩いてやった。
「行き過ぎが無いよう、主の側で手綱をとっておけば良いだけのことだ。なまじ今までの功績や思い出がある分、対応を選びがちになるのはどうしようもあるまい」
「そうですね」
リベリオが苦笑を深める。
そしてポムよ。俺をじーっと見るのはやめるんだ。俺は別に誰のことを含んでいるとか言ってないぞ。自分でバラすんじゃないぞ。
「殿下。王都にございます」
なにやら勿体ぶった仕草で従者が扉を開け、畏まる。
……おや。人垣がさらに厚みを増している。窓から視線を外してた間にあちこちから集まってきたようだ。
馬車の珍しさも相まって悪目立ちすぎたな。
最初に出るのはご指名通りリベリオと弟王子だ。一瞬、しれっと最初に出てやろうかという悪戯心がのぞいたが、ロベルトに「メッ」という視線をくらったので諦めた。
こいつは俺の兄のような気持ちなのだろうか。今度「兄上」と呼ぶぞ? 「おにいちゃん」の方がいいか?
「リベリオ殿下!」
「お帰りなさい!」
リベリオが出た途端、歓声っぽい声があがった。自分を「みそっかす」などと言っていたが、街人にはかなり親しまれているようだ。商人達と交流があることからしても、他の王子達より民人に近いのかもしれない。
――スヴェン達は後から合流する予定だが、そういえば、あいつらはどうして別口で王都を目指すことにしたのだろうか……?
「まぁ、商人さん達には商人さん達で、色々と考えがあるんですよ」
俺の心を勝手に読んでくれたポムがひそひそ告げてくる。お前は自然に俺の心を読むんじゃないよ。
リベリオの後を弟王子がちょこちょこ追いかける。こちらを振り返り振り返り馬車の外に出る弟王子は、なんとなくルカを彷彿させて愛らしい。
……おお、ルカよ。俺は今唐突な禁断症状発生中です。
しょうがないからロベルトをハグっておくか。
「なにごとだよ!?」
「坊ちゃんは寂しがり屋さんですからねぇ」
「いきなりすぎて意味わからん!」
うむ。意味は無い。
同行に際して礼服を与えてあるロベルトは、何やら微妙な顔でブツブツ言いながら外に出る。――あ、あいつ、結界張って行かなかったな……大丈夫だろうか。
次に出るのはポムだ。従者のように扉の所に控えてこちらに手を差し伸べてきた。姫じゃないんだからいらないぞ。
「お前はいったい、何がしたいんだ……?」
「まぁまぁ。さぁ、どうぞ」
……まったく。
念入りに結界を張り、ニッコニコしてるポムに一瞥くれてやりながら外に出た。
瞬間、
最前列が悲鳴をあげた。
波が伝わるようにして大きなどよめきが周囲へと伝播する。
――をい。
「流石」
「まぁ、予想通り」
ポムとロベルトはしれっとした顔をしているが、俺の心は猛吹雪だ。
なんなの!? 人の顔見て悲鳴あげたりどよめくとか、いくらなんでも失礼だろ!?
「レディオン。こっちへ」
何やら悪戯を思いついたような笑顔でリベリオが俺を呼ぶ。――のはいいのだが、なんでお前まで俺に手を差し伸べるの? 流行ってるの?
「お前達はいったい、何がしたいんだ?」
「ふふ。いや、楽しそうだなと思って」
俺はちっとも楽しくない。
ポムの手からリベリオの手に変わった途端、さらに大きくどよめかれたしで、正直俺の繊細な心はパリンパリンだ。怒るぞ? 泣くぞ?
「王子さんもノリノリですねぇ」
「知らねーぞ……後どうなっても……」
にまにましてるポムとあきれ顔のロベルトを置いて、俺とリベリオ、弟王子の三人はさっさと王家の馬車に乗り込む。
――何故かエスコートされたんだが、俺はいったい、何の役回りを演じているんだろうか……
まぁ、ついでに弟王子を抱っこしてルカ成分の疑似補給をしておこう。別に心がチクチクして泣きそうだったからではない。俺は強い子だから大丈夫だ。
「レディオン、人前出るの、苦手?」
「いや、そうでは無いが、な」
俺に抱っこされてちょっともごもごしていた弟王子が、大きな目で俺を見上げながら問いかけてくる。兄に似た非常に可愛らしい王子だ。うむ。ルカほどではないが、相当な美少年に育つことだろう。悪い虫がつかないよう、気を付けてやらないといけないな!
「王城に参ります」
「よ、っと」
「行ってらっしゃいませ」
声をかけた従者に続いてロベルトが御者台に飛び乗り、ポムが笑顔で見送りの言葉をかけてくる。
流石にポム達が馬車の中に乗ることは出来ない。本来なら俺も拙いのだろうが、リベリオがさっさと乗り込ませたからな。見ていた従者はものすごい渋面を作っていたが、いい気味――でなく、仕方がないというものだ。王子公認だからな!
ポムは我が家の規格外馬車を片づけてから合流する予定になっている。こちら側はロベルトが従者がわりに同行だ。順調にロベルトが我が家の一員になっているな。今度密かに守護者の服を作っておこう。外堀から埋めていずれクレア嬢の婿に押し込むのだ。竜女ハーレム頑張ってね!
「おっと」
パシン、と軽い音と同時に馬車が動き出した。
我が家の馬車と違って振動がキツイ。王家の馬車でこれなら、市井の馬車は相当乗り心地が悪いだろう。
「流石に君の所の馬車みたいにはいかないね」
「あれでも最新式だからな。預かってる竜車については期待していてくれ。商売許可証のかわりに色々と改善しておこう」
「それは楽しみだ」
うむ。決して魔改造だとは言わないぞ。
アヴァンツァーレ家で身柄を預かっている間に、俺とリベリオや商人達の間では、王都での出店に必要な手続きの処理について話をつけてある。報酬の一環として手続きを行うと言ってくれたが、対価はちゃんと払った。後々問題になってもいけないし、衣食住と竜車修理に新型馬車進呈で軽くおつりが出たしな。
おつり部分は何をおねだりしよう……王子御用達店の看板でも貰おうかな。
「これから、この馬車で城に入る形になる。連れの人は城の門番に渡しておいた札を見せてくれれば、待合室に案内してくれるから」
「ああ」
まぁ、ポムに関しては心配無い。俺の気配だか何だかを探って勝手に合流するだろうしな。
「ひとまずは、謁見か……」
「そう。その姿ならどこへ行っても問題ないと思うし、立ち振る舞いも完璧だから心配いらない」
まぁ、一応そのために礼服を着てるしな。何故か母様の趣味が反映されてるらしく、妙に装飾過多というか、性別不明というか、個人的に微妙な服なんだが。
……ポムは何でわざわざコレを指定したのかな……
「だが、リオよ。出発前にも言ってあったと思うが、俺は王が相手であれ膝を折る気は無い。王に跪かないのは問題になるのではないか?」
「うん。問題にする者は多いだろうね。だから、謁見の間ではなく王の部屋に行くことになっている。アメティスタ卿も協力してくれたから話を運びやすかったよ」
「第七軍団長が?」
「そう。彼にしてみれば、君が目立つことは第二王子の陣営にとっても自分にとっても好ましくないことだからね。謁見の間で話をすることに比べれば、王の部屋に通すほうがマシというわけだ」
「王の部屋に招くことのほうが特殊だと思うがな……」
「『死の黒波』を殲滅したことに比べれば、さほどでもないよ。それに、国王と英雄が親密だと思われるようなやり取りのほうが、我々にとっても良いんだ」
……俺の扱いが『英雄』になってる……い、いや、俺の地盤を固める為には仕方ないことなのだ。我慢するとも。
「小国にとっては他国への強みになるからね」
「そういう考えもあるか。なかなか油断ならないな」
「小さい国は小さいなりに生き残ることに必死だからね。他者の誤解はおおいに歓迎するところだ」
くすくす笑うリベリオに、こういうところはジルベルトにも見習ってもらおうとこっそり思う。
王子としての人生で研鑽を積んだのだろうが、なかなかに強かなようだ。お人好し気味なジルベルトにはいい刺激になるだろう。
「場所と理由は理解した。確認しておくが――王と宰相には、ありのままを話すんだな?」
「勿論。……レディオンの意思に反するかもしれないが、陛下達にはきちんと報告しないといけない。同時にアゴスティ自身に直接の罪は無いことも私から申し上げておく」
「そうか」
「……反対しないのかい?」
「する理由が無い」
軽く首を傾げたリベリオに、俺は苦笑した。
「あの街で公表しなかったのは、公表した時の損失が大きいと判断したからだ。あそこで公表したら、どうなっていたと思う?」
「……表立った処罰としては、アゴスティ家を含むアヴァンツァーレ家の取り潰し、領地の没収。それに、私の廃嫡も可能性としてはあるかな。一つの地方を滅ぼしかけた咎で」
その答えに俺は微笑う。
「察してもらえて何よりだ。リオが廃嫡されるかどうかまでは未知数だが、政敵がいるからな……敵陣営にとって、これほど攻撃しやすい材料は無い」
「私もそう思う。足を引っ張りたい者にとってはいい武器になるだろう」
軽く顎に手をあてて考えを巡らせるリベリオは、為政者らしい顔つきをしている。剣も魔法も異母兄弟に劣るというが、おそらく頭脳においては決して負けていないだろう。
「ここにはお前と弟しかいないから尋ねるが――『誰』が最も怪しいと思う? ちなみに、結界を張ってあるから外に声が漏れる心配は無い」
「配慮、痛み入る。……さて、どこまで正直に言うべきか迷うけど、命を救われた身だからね。正直に答えよう。――サリュースだ」
――第三王子か。
「根拠は?」
「その前に、まずそれぞれの陣営を説明しておいたほうがいいだろうね。まず、王家の子供にはそれぞれに取り巻きがいる。それらは共闘することもあれば、足を引っ張り合うこともある。私とシストにもそれぞれいるが、シスが幼いこともあってまだ表立った対立は無い」
リベリオの声に、俺が抱っこしている弟王子が顔を上げた。
同腹兄弟ですら、権力争いで周囲がギスギスになるというのは、なんとも言えない話だな。
「基盤が弱いこともあるし、よほどのことがなければ私とシスの陣営が対立することは無いだろう。同腹というのは、一番強力な後ろ盾が同じということと同義だしね」
「まぁ、母親の生家が後ろにつくからな」
「そう。……私達の場合、そこまで強い後ろ盾ではないけどね」
苦笑しつつ、リベリオはその話題をさっくりと流して次へと移る。
「第二王子の陣営。これは母親が『正妃』であること、生まれた順番が早いことで発言力が強い。伯爵家の権威もあるし、何より武技においては王国一だ。その背後には多くの騎士が控えている。軍団長クラスが何人も支持してるしね」
「総帥は?」
「ミケーレは立場を明確にしないことで中立を保っている人だね。ミケーレは軍の総帥だ。騎士や衛兵を含む兵士だけでなく、諜報、工作に輜重関連についての関わりから貯蔵や武器開発に至る組織の全体を取りまとめている。後継が定まるまでは、誰かの側に立つことは出来ない。これは宰相であるイザイアも同じだけど」
宰相と軍の総帥は王位継承争いには関わらない、ということか。
まぁ、そうしないとまともな舵取りが出来ないだろうしな……
「国には三人、王の子の後見人になってはいけない人がいる。王と宰相と軍総帥だ。これは建国以来ずっと続いている伝統だな」
「ん? 教会は?」
「話が早いね。――そう、教会は関わってくる。サリュースの背後にいるのは教会だ」
口の端をニヤリと引き上げたリベリオに、こういう表情もするのかと俺は感心した。最初の印象とだいぶ違う王子だ。
「第三王子であるサリュースの最大の支持者は公爵家だけど、それを後押ししているのが教会だね。王家と公爵家という血筋に、魔法の才能。カルロッタは魔物の出現率が高いわりに、魔法使いの数が圧倒的に少ない。王族は大なり小なり市井の者より強力な魔法を使えるけれど、それだってレディオンのような大魔導士級の力じゃない。せいぜい、一般の魔法使いよりは強い、というレベルだろう。ただ、サリュースは違う。一部だけど上級の魔法も使える。上級魔法の使い手は王家でも稀でね。そのこともあって、一番王位に近い王子という風に見なされている。――もっとも、反対意見が無いわけじゃないけど」
「生まれた順か?」
「そう。単純にして明快な答え。出生順。こればかりはどうしようもないからね。それを上回るだけの理由が無ければ、私の王位継承権は現状維持だろう。……正直、それが良いこととは思えないけれど、二番目と三番目の王子による戦争を防いでいるのが自分の存在かと思うと、微妙な気持ちになるな」
おや。内部ではそんなことになっているのか。
「なかなか不穏だな」
「不穏だよ。私という障害が無ければ、恐らく二手に分かれて雌雄を決してるだろう。そのせいもあって『伝統的な正当性』である第一王子が候補者から外されないんだ。能力的にも実家の力でも他より劣っているのにね」
「リオは支持層が違うだろう。商人を敵に回すのは恐ろしいぞ」
「そうだね……別にそのために商人達と誼を結んだわけじゃなかったんだけど……結果として、私の支持基盤が出来てしまった。商業組合が後ろについている分、血筋や武力以外の力が私の陣営にはあるのだろう。おかげで三竦みだな」
「他人事のように言うんだな?」
「権力争い自体は他人事のような感じだね。目指すべきは国力の増加と国民の安寧であって、誰が王に就くかどうかではない。私としては、二番目に継いでもらうのでいいと思うんだけどね。ただ、そうすると今度はサリュースと戦争になるだろうな」
「第三王子は論外なのか」
今までの流れから察して言うと、リベリオは微苦笑を浮かべた。
「陣営の異なる私が言う言葉だから、話半分に聞いてもらえると嬉しい。実際のサリュースについては、本人を見て判断しておくれ」
「分かった。――だが、リオとしては、第二王子は可だが第三王子は不可なんだな?」
俺の問いに、リベリオはちょっとだけ迷ってから頷いた。
その目には憂いの色がある。
「過ぎた野心は身を滅ぼす。サリュースは、この国を大国に負けない国にしたいらしい。だが、その方策は現実的では無い。サリュースは子供の頃から魔法で持て囃されていてね。武器が魔法だから、人と戦うよりは魔物と戦うことの方が多い。魔物を退治されれば皆喜ぶし、平和になる。とても良いことだけど、それによって称賛されることや力を過信することを覚えてしまっては駄目だ。……けれど、今もそのまま成長してしまった」
ああ……
それはちょっと微妙だな……
「魔物を退治すれば評価される。魔物を退治することは良いことだ。力を誇示することで他国も侮らない。その認識だけで世界は成り立たないのだけれど、誰も止めようとしなくてね。王や宰相達の言葉は届きにくい。自分と同等の魔法使いじゃないから。それでも富国強兵の為の計画が練れているのならまだいいんだけど……二番目と違って、あの子はそれが夢想じみているから」
「ちなみに第二王子は?」
「二番目は農地改革だね。わりと堅実なんだよ。ちょっと指摘したら怒ってしまって二度と名前を呼ぶなとか言われたけど」
ああ、それで二番目って呼んでるのか。
……意味ない気がするけどな。
「サリュースの目標はちょっと変わっててね。子供の憧れの延長な気もするけど……魔王討伐に行きたいそうだ。彼は、誰もが褒めたたえる人類の希望、勇者になりたいんだよ」
なん……だと……?
※お探しの方がおられましたので、記載させていただきます※
ポーツァル領が文章中に出てきていたのは2章-21話『狙われた者と狙った者』です。




