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メビウス・クラウン ~あなたに至る為の物語~  作者: 野久保 好乃
――mission 4 王都進出
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29 想定外の人物



「さァッ! キリッキリッ歩くザマァス!」


 だだっ広い荒野に軍団長の声が響き渡る。

 照りつける太陽の下、周囲に広がっているのは赤茶けた荒れ地だ。

 空には雲ひとつ無く、木々はおろか草すら熱波に根負けしたように項垂れている。時折やたらと根性の入った木が踏ん張っているが、目につく緑はといえばその程度だ。もうしばらくしたら緑が増えるらしいが、タッデオ地方に近い辺境はどこもこんな場所ばかりのようだった。

 そんな風に開けた場所だからか、やたらと軍団長の声が響く。

 ――本人がいるの、最後尾だけど。


「元気だなー……」

「あれだけ能力を有していれば当然でしょう。【神の恩寵】の効果で常時体力回復。【叡智の欠片】の効果で最適解が得られやすい状態の為に『疲れにくい』『無駄のない行動』をとることが可能。おまけに回復と防御力特化型ですよ。アレを殺そうと思ったら一撃必殺を叩き込むのがベストですね。忌々しい」

「ポムさん……」


 ……やだ……ポムが限りなく黒い……


「……なぁ、レディオン。なんでポムさん、あんなに『変態』のコト嫌ってんの……?」

「いや、俺もよく分からんのだが……」


 俺とロベルトがひそひそと囁きあう。

 変態――すなわち、第七王国軍軍団長ロモロ・リッチャレッリと初顔合わせした時から、ポムはこんな感じだった。いつも飄々としているこいつが、珍しい……

 もしかすると、ポムの固有才能(タレント)関連だろうか?

 お前はいったい、ロモロの何を読み取ったの……?


 俺達がいるのは一風変わった馬車の中だ。扉は片面だけで、その扉を中心として前に車輪四つ、後ろに同じく車輪四つの合計八つがつく長大な馬車である。

 椅子は扉がある部分を除いてぐるり四方を囲むようにしており、一番長い部分では大の大人でも寝転がることが可能だ。幅も十分にあり、相当ゆったりとくつろぐことが出来る。

 外も白を基色として金銀で装飾している為、一目で高位の貴人が乗っているとわかる豪華絢爛な仕様となっていた。

 ――ちなみに、俺が思い付きで作った失敗作(・・・)である。

 曲がり角、どうやって曲がろう……


 奇形と言ってもいい奇抜な馬車だが、今回の移動にはコレがいい、とポムが選んだ。この馬車が一番インパクトが強くてなおかつ豪華だから、だそうだ。まぁ、デカさが半端ないからな。


「しかし……この馬車は本当に乗り心地が良いね」


 ふと声が聞こえて、俺はそちらを向いた。

 ゆったりとした椅子に体を沈め、リベリオが感心しきったように内装を眺めている。その隣で寝ているのは弟王子だ。乗った直後からはしゃいでいたので、疲れて寝てしまったのだろう。


懸架装置(サスペンション)に拘ったからな。走行による振動はほぼ伝わらないように設定してある。まぁ、悪路に入ればどのみち動けなくなるが」


 小回りは全くきかないからな。


「アヴァンツァーレから王都まではたいして起伏が無いから、問題無いと思うよ」


 リベリオは軽く微笑って言う。

 そう、俺達が向かっているのは王都――そして、王城だ。

 色々な事情が絡み合った結果、とりあえず一度城に行こう、ということになったのだ。

 主な事情は三つ。


 一つは、第七王国軍が抱える不法略奪者への処罰――つまり、不祥事的な事情。

 もう一つは、リベリオ達の存在がバレてしまった、という事情。

 最後に、『死の黒波』を撃破した俺をそのままにしておけない、という事情。


 結果、俺を賓客として扱うことで招集。リベリオと弟王子も俺と一緒に王都に帰還。第七王国軍はその護衛として、犯罪者を引き連れて一緒に王都に行くことになった。

 まぁ、リベリオの存在があっという間にバレてしまったこと以外は、おおむね俺の予想通りの展開ではあったのだが――


 俺はチラッとロベルトを見る。

 ……このロベルトが被った被害とポムの機嫌が、リベリオの存在がバレた以上に俺の想定外なんだよな。全部、ロモロのせいなんだけど。


「王都内は……ギリギリ通れるかな。ロルカンの新区ほど区画整理されてないから、止めておいた方がよさそうだけど」

「そうなのか?」

「うん。ロルカンの旧区のような感じだよ。城壁を増築する予算は無いから、どうしても内側で溢れてしまってね。……古すぎて遺棄された区域はスラム化もしてるから、正直な話、君が支配しているロルカンの新区のほうが遥かに洗練された都だ」

「……いや、アレは正直ちょっと先進都市すぎて別格だと思いますけどね……」


 ロベルトが遠い目でそう答える。

 魔族の常識は先進的らしいからな。そう考えると我が国は先進国なのか。ふふふ。人間よ、ひれ伏すが良いぞ!


「そこでドヤ顔じゃなくむふー顔するのが坊ちゃんですよね」

「ふふ」


 ……どんな顔なのソレ?

 そしてリベリオはなぜ微笑ましい眼差しになるの?

 やだ。ロベルトまで眼差しが生暖かい……


「それにしても、七軍が来た時にはどうなることかと思ったけれど、君の威光は凄いね」

「新参の俺の名だけでもあるまい。第一王子と第六王子を擁してたからな。連中の弱点をついただけだ」

「弱点?」

「国軍には『死の黒波』の発生を知っても何も出来なかった、という負い目がある。さらにそこに第一王子(リオ)が居た、ということは、王族を守る責務すら果たせなかったということだ。……まぁ、俺としてはリオ達が居たことは隠しておきたかったんだが……」

「あの『変態』が感知しましたからね。忌々しい……」

「……お前はなんでそう目の敵にしてるの……?」


 俺とリオの会話の横で、ポムがギリィッと歯ぎしりしてる。

 ……なんだか、だんだん心配になってきたな。俺や父様を殺しに来た神族(ノルン)戦でも、こんなに毒々しくなかっただろ? 何か過去に確執でもあるの?

 とか思ってたらものすごいもの言いたげな目を向けられた。


「……坊ちゃん……頼みますから、もう少し自身の身に危機を覚えてくださいよ……」


 え。俺なの?

 なんでそんな呆れた目を向けてくるの?


「あー……そういうことか。そりゃあ、気が気じゃないよな……」


 ロベルトまで納得顔になった。

 俺は察しが悪いのだろうか……


「ロベルトさんも、別の意味で色々と気を付けてくださいね。あの『変態』、貴方が持ってる加護に嫉妬してますから」

「アレ勘弁してくれねェかな……なんでバレるんだよ今までバレたことなかったのに……」


 ロベルトが頭を抱えたのは、資質の一部が周囲にバレてしまった為だ。それもロモロのせいである。

 あいつ一人で、あらゆる全ての想定外を引き起こしてくれたな……


「まぁ、どんな加護なのかバレなかっただけ、まだマシだけどよ……」

「ロモロは神の恩寵に対し、敏感だからね」


 リベリオが苦笑している。

 流石に『勇者』であることまでは看破されなかったから、被害という意味ではまだマシだろう。もしバレてたら、それこそこうやって呑気にしていられないレベルの大騒動になったはずだ。

 とはいえ、ロモロがロベルトをライバル視したせいで、ロベルトはロモロが嫉妬するレベルの神の恩寵持ち――すなわち、『聖者』級の加護持ちだと周囲にみなされる結果となった。

 ……今まで隠し通してたのにな……


「『加護持ち』は独特の気配を放ってますからねぇ……まぁ、一般の人には分からない内容ですけど」

「教会関係者は、背景もあってそういうのに敏感な連中がいるからな」

「だから連中には関わらないようにしてたのによー……」

「そこはすまん。奴が大司祭級の能力を持っているのに、連れて行ったのは俺のミスだ」


 一応、こっそり認識阻害の魔法はかけておいていたのだが、あっさり看破されたのが痛恨だ。

 ということは――


「俺の認識阻害魔法を突破したのだから、奴の力は本物だな……。この辺りの人間に、よもや魔法を破られるとは思わなかったが」

「……おい、レディオン……」

「坊ちゃんは誤魔化し系の魔法が苦手ですしね。それに、魔法大国や聖王国ばかりに突出した人間が集まっているわけではありませんから。慢心は厳禁ということです」


 おっと。魔族的発言をフォローされてしまった。

 分かってる。ロベルト、分かってるからそう「メッ」みたいな目を向けるのはよしたまえ。

 お前、最初の頃と違って絶対俺のこと子ども扱いしてるだろ!?


「ロモロは魔法に関して王国随一だからね。この近隣では唯一『賢者』の称号を得てる人物だし。聖王国や魔法大国でも、彼に匹敵する人間はそういないらしいよ」

「……俺はそんなのに目をつけられたのかよ……」

「ある意味凄いことだよ。聖王国の大司祭ですら歯牙にかけない彼が、あそこまでハッキリとライバル視してるってことは……」


 畢竟、それだけ神の加護が厚い聖人、という意味だから――か。


「……相手が有名すぎたせいで、一発で広まるな……コレは……」

「レディオンーッ!!」


 悪かったって。

 ちゃんとこっちでもフォローするよ。

 主にうちの大陸で匿う的な方向で。


「まぁ、ロベルトはうちのシンクレアの家に婿入りさせるとして、問題はこっちの大陸にいる間の対応だな」

「待て! 婿入りの話は初耳だぞ!?」


 ロベルトが何か言ってるが放っておこう。


「こっちの大陸での『賢者』が相手ですからねぇ……普通にこっちで平穏な生活は望めないでしょうね。今までみたいに行商人するのは難しいと思いますよ。ああ、グランシャリオ家専用御用達商人としてなら存分に力をふるってくれますけど、主に坊ちゃんが」

「任せろ。シンクレアの婿に手出しはさせんとも」

「前提がおかしいだろ!? そんなのに彼女を巻き込むなよ!?」

「シンクレア自身がお前に惚れてるんだからいいじゃないか。あとはお前の覚悟一つだぞ。お前も男ならきっちり態度を決めろ」

「……お前はどうしてそういらん部分で男らしいんだよ……」

「男だからに決まっているだろ」

「……成程。ロベルトはレディオンの身内なわけだね」

「そういうことだ」


 俺達のやりとりに納得顔のリベリオ。ロベルトが向こうで頭を抱えているが、まぁ、無視だ。


「確認なんだけど、ロベルトは聖者として立つ気は無いんだね?」

「無い! これっぽっちも無い! 正直、国や教会関係とは一切近づきたくない!」

「うーん……その場合、ロモロと接点を持たなければ大丈夫かな。彼の個人的な嫉妬はどうにもならないけれど、教会内部における権力争いからの嫉妬は向けられないだろうから。ああ、君が加護持ちなのは伝わっても、教会への引き込みはロモロが阻害するだろうから、そういう意味では彼の存在も役立つよ。そういう状況はうんと利用するといい」


 さらりと言ってのけた王子に、俺は感心するやら納得するやら。

 ポムが気にしていただけあって、ジルベルトとは違う意味でこの王子も『優良』だ。俺は本当に考え方を改める必要があるな……


「……なんつーか……殿下はわりと図太いな……いや、図太いですね」

「言い直す必要あったのかな……? 人目が無いのなら言葉遣いは普通でいいよ」


 軽く苦笑してから、リベリオは椅子に背を預けなおす。


「図太い――か。そうでもないと『みそっかす』は生き残れないからね。ちなみに、ロモロは魔法の才を鼻にかけるサリュースを嫌ってるから、そこも覚えておくといいかもしれない。ロモロの価値観は分かりやすいよ」

「教会内部での高い評価――つきつめれば、『神の寵愛』ですね」

「そう。俗世の位や栄達に評価、金銭にはさして興味が無い。彼の基準はひたすら『神の寵愛』をいかに多く得るか、だから」

「……なるほど」


 俺はチラとポムに視線をやった。ポムが重々しく頷く。

 つまり、ポムがロモロを危険視して(嫌って)いるのは、そういうことか。

 もし俺達が魔族だとバレれば――他はどうあれ、ロモロは確実に俺の命を狙ってくるだろう。それでなくとも神族が敵対してる状況だから、そういう分かりやすい聖者は最初から敵扱いしないと危険だ。


「まぁ、それだけの危険じゃないんですけどね……」


 ……やだ。まだ俺の見つけれてない危険が潜んでいるらしい。ポムよ、課題にせずに俺にそっと教えてくれてもいいのよ?


「……リベリオ殿下。ロモロは、『神託』を受けたりするんですかね?」


 ふと、ロベルトが真剣な顔で問うた。

 事情を知らないなりに何かを感じ取ったのか、リベリオも真剣な顔で頷く。


「あると思うよ。もっとも、『神託』は特別な儀式を経て降りてくるものだから、そうそう無いと思うけど」


 いや、それは誤解だ。

 仰々しい儀式が大好きな連中が、そういうのに目が無いというだけで、資質のある相手には自分達の都合で『神託』を告げることがある。

 俺と魔族を追い詰めるために、前世ではせっせと『神託』で人間を操っていたぐらいだからな。


「うーん。王子さんには教えておいたほうがいいかもしれませんねぇ。――神族がやろうとさえ思えば、『神託』はいつでも可能なんですよ。もっとも、受ける側に資質が無いと、精神が壊れてしまいますけど」

「え!? そうなの……? 聖王国ですら、神託を得る為には一年がかりで準備して大儀式をしてるけれど……」


 ああ。神意の儀式な……アレ、ぶっちゃけると相当に無駄なんだよな……

 まぁ、効果が無いわけじゃないけど。


「『人の世に関わりすぎない』――そういう古い約定があるんですよ。人の世を治めるのは、あくまでも人でなくてはならない。これは他の種族でも同じですけどね。高位生命体であり、物質界に存在しているわけではない神族が手を出すことは、本来『良くない』こととして禁忌扱いになっています。大儀式を経ているのは、安易には与えられないというポーズと、そこまでするなら与えてやってもいいだろう、という二重のポーズの為ですね。言ってしまえば『建前』とか『言い訳』的なものです。主に神族にとっての」


 ああ、リベリオが呆然としてる。思ってもみなかったことだろうし、にわかには信じられないだろうな。


「では……聖王国だけが可能、というのも、嘘……?」

「まぁ、ぶっちゃけて言うと、嘘ですね。やろうと思えばそこらへんの浮浪者にだって神託は与えられますよ。相手が資質さえもっていれば発狂もしないでしょうし。もちろん、国や民族を限定してはいません。そもそも、本来ならどこの誰が相手であろうとも『してはいけない』ことですし」

「そ……そうなんだ。そうか……でなければ、ロモロが神託を得た、なんてことにはならないものな」

「ええ。あれだけ資質があればいつでもどこでも神託可能でしょう。聖王国あたりが自分達の矜持の為に『賢者だからだ』とか言い出しそうですけど、まぁ、普通に考えて逆ですね。直接会って話したことのある人だっていますよ」

「え!? 神族に!?」

「神族の中にもこちら側の世界に留まって生活してる神がいますからねぇ……」


 ああ、『死神(オズワルド)』な。

 七百年、魔王(サリ)の傍らに堂々と居座ってる一級神(いそうろう)な。


「そういえば、聖王国の始祖も神族だっていう伝承だったね……」

「まぁ、そんな感じで色々です。とはいえ、禁忌ですからいずれ聖王国にも何かの粛清が発生する可能性は高いですね。やろうと思えば手当たり次第にやれるのに、神託が大発生しないのもそのせいなんです。……もっとも、あまりにも古い約定ですから、それを忘れて動く者も少なくないようですけど。このあたりは、神話や伝承の形で残ってますので、聖典の第七章や古文書を紐解いてみるとよろしいかと」

「博識なんだね……」


 感心しきりのリベリオに、俺はそっと視線を逸らしてしまった。

 ポムが博識なのはその通りなのだが、なにしろ俺達魔族にとって、人間の言う伝承って「おじいちゃんの昔話」レベルだからな。

 やだ……ロベルトがもの言いたげな目で俺を見てる……


「なので、あの『変態』が神託を受けられる位階にいる時点で、いつ何時どんな介入があるか分かりません。いきなり今日『神の啓示が降りた!』とか言い出しても不思議ではありませんよ。――まぁ、そういう風にガンガン介入した場合、禁忌が発動しますので粛清が発生しやすくなりますけど」


 ……発生するの……?


「なんで坊ちゃんがそこで不審げな顔するんですか……。第一級神『死神』を筆頭に、内部粛清を担当する神族もいるんですよ。神話にもちゃんと載ってますよ。神の介入がひどすぎた国が亡んだりとか」


 粛清筆頭、死神(オズワルド)か……!!

 それじゃ、前世で粛清発動しなかったはずだわ。前世では、俺が魔王の位を継いだ時点でオズワルドは――いや、今生では絶対阻止するから、考えないでおこう。サリよ、魔族全体の為にも、魔王位譲渡後の余生はのんびりしてね……!


「……おい待て、それ、人間側だけがひどい目にあってないか?」

「いやですねぇ、ロベルトさん。ちゃんと神族も滅ぼされてますって。まぁ、人間側も滅ぼされてますけど」

「連中、なんでそうロクなことしないんだよ……!」

「それが『神族』ですから。あれ知ってると、よくもまぁ暇つぶしでちょっかいかけてくる愉快犯を敬えるもんだなぁ、と感心してしまうんですよね。いや、普通に立派な神族もいますけど」

「……」


 ああ、リベリオが唖然とした顔してる。

 まぁ、普通に生きてればこんな風に神族を評する奴なんて見ないよな。


「なんだか……二人の会話を聞いてると、イザイアとミケーレの会話を聞いてるみたいだな」


 あれ?


「誰だ? それ」

「え!? ……ああ、そうか、レディオンは他大陸の出だったんだよね。うちの宰相と王国軍総帥だよ。教会と犬猿の仲でね」

「ほぉ」


 思わず顔が笑ってしまったのは、仕方ないだろう。

 人間は、誰も彼もが盲目的に神族を崇拝しているのかと思っていたが、違うようだ。

 考えたら、勇者であるロベルトですら神族には忌避を抱いているものな。


「会ってみる?」


 俺の気配に何かを察したのだろう。リベリオが俺とポムを交互に見ながら問いかけてくる。


「頼めるか?」

「構わないよ。どのみち、今回の事で顔を合わせる機会を作れるだろうから」


 正直、王都に行ってからの予定はさほど決めていなかった。

 例の黒幕と思しき二組を見るつもりではいたが、それ以外に目的らしい目的は無い。

 だが、教会と犬猿の仲だという大物――もしかすると単なる方針の違いや権力争いの結果かもしれないが、それでも魔族()からすれば珍しい人間達だ。


「会ってみるのが楽しみだな」


 もし一つだけ気がかりがあるとすれば――未だにポムがピリピリしていることだろうか。

 一見してのんびりとくつろぎ始めたように見えて、その神経はずっと後ろを気にし続けていた。





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