初恋は、繰り返す
「好きだよ」
思い出すのは、幼い日の記憶。
夕暮れに染まった中で告げられた、大切な言葉。
まっすぐに見つめる視線と、紅い頬が、何より気持ちを物語っていて。
心を高鳴らせて、震える唇に想いをのせた。
大切なことばを、伝えるために。
だけどその日から燃え上がった私達の恋は、中学生の時、終わった。
「ごめん、おれ、あいつと付き合うことになったから。」
幼い頃から好きだったから
彼を好きであることは私にとって呼吸をするのと同じように自然なことで
一緒にいるための努力を怠った。
一緒にいるために努力が必要だと知らなかった。
当たり前に、一緒にいられるという幻影は壊されて
大切な人を、失った。
それでも、3年の時が経ち
ようやく、吹っ切れて。
新しい恋をした、はずだった。
再会は、偶然に。
ばったりと道で会い、わずかな言葉を交わした。
彼の瞳が、昔と同じ色を宿していることを知った。
自分の心が、昔と同じ音を立てていることを知った。
新しい恋は音を立てて霧散し、
私の世界には彼しかいなくなった。
初恋は、繰り返す。
きっとわたしは、いつまでも彼を忘れられない。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。