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6部

「こいつだ! 貴様よくもインチキなモノを売りつけおって!」

 ダイは男を連れ再び、山本邸の庭先に来ていた。男はうつ伏せのままの山本をジィッと見て思い出したかのように言った。

「あ、ああ。あの時のお侍さま。あら昼間っから寝っ転がっちゃて、いいなぁ」

 ダイは再び男の頭をひっぱたいた。

「痛!」

「山本様はお前のせいで、寝たきりになってるんだろうが!」

「はぁ?」

山本はあまり同じ方向に首を傾けていると疲れるのか、反対側に向けた。

「き、貴様から買った毒を飲んだら体中からコリが取れたのはいいが、まったく動けなくなってしまったのだ。なんとかせい!」

「ええ?」

男は眉をひそめて口を尖がらせた。 

「そんなわけないんだけどなぁ。あ、ちょっと失礼しますよ」

男は、草履をぬぎ山本の寝る部屋に入るとしばらく山本を見た。しばし沈黙が続く。

「う~ん…… ん? 」

男は山本の腰の辺りを見てニヤリとした。と思ったら突然、山本の右肩と右足の辺りの着物を思い切りつかんだ。

「あ、こら!止めなさい! こら!」

「あ、よいしょっ!」

掛け声と共に勢いよく山本は仰向けにされた。ダイには何が起こっているのか全然わからない。

「ああ、やぁっぱりー。お客さん、私の言ったこと無視してあの毒、同時に使いましたね?」

「そ、その通りじゃ。 だから早く元に戻せ!誰かに見られたらどうするのじゃ!」

山本は慌てて声を荒げた。

「よっこいしょ」

「お! おうぅ」

何か傷みがあったらしく山本はうめき声を発した。

「一応、毒消しを出します。でもそっちの方は、あと一晩は続きますから諦めてください」 

「う、うむ。体さえ動くようになれば文句は言わぬ」

二人は途中からゴニョゴニョと小声で話していて、ダイには何が起こっているのか検討が付かなかったが一段落ついたらしく。山本は少し機嫌よくダイに声をかけた。

「お主、迷惑をかけたな。今日の分もちゃんと代金は支払うゆえ、心配無用じゃぞ」

「はぁ」

「毒屋、これをあの座頭に渡してくれ」

「はい」

すると毒屋が草履を履き、こっちに近づく音がすると、ダイの手をとり金を渡した。いつもの倍の料金だとすぐに解った。

「あ、ありがとうございます!」


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