もくもくと暗雲、目の前に。
もくもくと沸き立つ白い雲。
地平の彼方に足を下ろした大巨人。
むくむくと盛り上がる白い雲。
視野の境界に手を掛ける大巨人。
天気予報の雨、じわじわ感じるつぶての洗礼。
いつもと違う夏、いつもの夏、襟首に巻き付く導火線。
見えない予感は完結しない予告編。
最後まで見せない予想はトンネルの壁に書かれた最終章。
もくもくと沸き立つ黒い雲。
地表の彼方を見下ろす大魔人。
むくむくと盛り上がる黒い雲。
視界の主権を奪う大魔人。
すくむ背筋は急勾配、持ち出す熱も忘れる濁り水。
たじろぐ首筋は急旋回、はみ出す浮腫も忘れる誘い水。
見上げて思い出せ、あの日の決断。
見渡して思い出せ、いつもの審判。
悠々とそそり立つ黒い雲。
優々と沸き上がる黒い雲。
急降下の飛沫が舞い降りる前に。