殺人計画
ある夏の終わり頃、ひとつのニュースが流れた
「ーーーー続いてのニュースです。昨日に○×高校にて生徒が殺害された模様、犯人は同じ学校の生徒と見て、警察は捜査を続けています」
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「部活いってくるね」
夏だというのに長袖を着た私はそう母に伝えた。
「行ってらっしゃい…あの無理して行かなくてもいいのよ…?」
母はそう言った、やはり何か私に変化があることは分かるのか、と思いながら私は「大丈夫だよ、お母さん」と返事をした。
「じゃあ、いってきます」
そう笑顔で言って私は外に出た。
今日は私にとって運命の日なのだ。
今日はアイツらに復讐をしてやるんだ。
少しボロボロになっているカバンの中に入れた新品の包丁をちらりと見て、よし。と準備が出来ていることを確認する。
私は料理研究部という部活に所属していた。部員は少なく、男子3名、女子は私を入れても3人という部活だ。
将来は良きお嫁さん!なんて乙女のような考えを持っていた私は何となくでその部活に入った。
でもその部員に私はイジメを受けている。
内容は思い出しても酷いもので、部活に入っていない周りの子達に色んな噂を流して私を孤立させた。靴を隠されたり等はかわいいもので、靴に画鋲を仕掛けて足を怪我させられたり、無理やり髪を切られたり、虫を食べさせられたり、男子には強姦されたりもした、その時の光景をスマホで撮られ、脅されて色んな命令をされたっけ。
そんな日々を過ごしていた私は死にたいと思った。なので家にあったカッターで手首を切ったりもしたが結果はダメだった。私は自分で自分を殺せない。なのでバカな私なりに作戦を考え、今日の作戦を行動することにした。後は成功を願うだけだ。頑張れ私!
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調理室と書かれた部屋に6人の少年少女達がいた
「なぁ今日アイツ来るかな〜」
アタシはそう聞くと
「来るっしょ、いつものアレで脅してんだし」
少し悪そうな風貌の背の低い男士がそう返した。
「今日はどうしてやろうかな〜、前、外でヤッた時も良かったしまたやる?」
背の高い男子はそう隣の少し太った男に聞いた
「今日も暑いしクーラー効いてるし中でいいんじゃないかな、今日は首輪持ってきたんだよね、へへ」
「うわ〜流石だぜ、裸にして校内中を散歩させてやるか」
などと男子達はこれから来る少女にさせることを笑いながら話し合っていた。
「うわー流石に引くわー」
とアタシの隣に居た親友である少女が言った。
「ま、いいんじゃね?日常の中にもスパイスは必要っしょ?私ら料理研究部だし」
などと言って5人の少年少女はケタケタと笑いあっていた。
すると、ガラッと調理室のドアが開いた。
「おまたせ」
そう言って夏に似合わない長袖に無造作に切られた黒髪の少女が入ってきた。
「おっ来た来た、今日も可愛がってらるからな〜」
と背の高い男子は少女に近付いた
すると長袖の少女は笑顔を振りまきながら
「今日は皆にお返しをしようと思ってきたんだ〜」
と少女はカバンの中に手を入れる
アタシは何?お返しって、まさかご機嫌取りに新しい玩具でも持ってきたのかなと思っているとキラッと光る物が見えた。
アレは刃物だ、ヤバいとアタシは思った。そう思った時には遅く、少女に一番近かった背の高い男子の足に包丁が刺さっていた。
「い”っ”でぇ”ぇ”!!」
などと背の高い男子が叫んでいると少女は次に近かった太った男子の方へ駆け寄りまた足を刺した
アタシの親友は言葉にならない叫びを出しながら部屋の端の方へ駆け出す
少女の行動は終わらず刺し終わった後はアタシの方へ向かってきた。
やばいやばいやばい何コイツ
助けて助けて助けて
そう思ってると風貌の悪い男士が少女の顔を殴り飛ばしていた、少女の包丁はアタシの足元に転がる
「っざけてんじゃねぇぞ!!オラッ!」
と風貌の悪い男士が続けて少女に暴行を加えようとする
すると少女はどこからか出したカッターで男子の腕を切っていた
「皆…殺してやるから」
と長袖の少女はそう言った
ヤバいとアタシは本能的に思った。こうなったら
殺られる前に殺るしかない
そう思い、足元にあった包丁を手に取り私は少女に目掛けて思いっきり突っ込んだ
「お前が死ね!!!!」
こんな言葉を発するのはもうこの時が最後だろうと思いながらもカッターで少しは反撃されるだろうと思っていながらも、ケガをする覚悟で私は少女に突っ込み、反撃されることなく、アタシが持っていた包丁は少女の胸に突き刺さった。
「…あっ」
アタシは取り返しのないことをしてしまった事を手に持った包丁を離しながら思った。
長袖の少女はそのまま倒れ、ドクドクと赤黒い血が流れる
…アタシはやってない
「違う違う違う違う違う違う!!!!うああああああああ!!!!」
アタシは錯乱状態になり調理室から逃げた、後を追うように親友も男子達も調理室から逃げていった。
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ドクドク血が流れてるのを他人事のように眺めながら私は胸に刺さった包丁を残った力を使い、私の体から抜いた、その瞬間更に大量の血が一瞬噴水のように吹き出た。
「あー、死ぬんだな私」
そうボソッと呟きながらニヤリと笑う。
こんなに上手くいくなんて思わなかった。
私はこの日、他人に殺してもらうよう、私がけしかけ、その反撃で死ぬという計画だった。
部員たちを殺すのではなく、自分を殺す計画だ。
正直あまりにも考えなしな計画で反撃を食らうにしても致命傷になるほどの傷を負うかが不安だった。でも上手くいった。
ああ、やっとこれで死ねる
体が夏なのに寒くなってきた。いよいよってことかな
全員ではないけど相手にケガを負わせたし、私を殺したっていう罪をこれから背負ってもらう訳だからまあまあ復讐は済んでるだろうな
あぁ、でもお母さんには遺書的なの残して置くべきだったかな…
薄れていく意識の中で思うのは、残した母の事だった。
「ごめんね…」
少し死ぬことを後悔する理由を思い出し、涙を流しながら私は目を閉じた。
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「ニュースをお伝え致します、先日起こった○×高校での少女殺害の事件についての詳細が分かったようです」
「殺害に関わった少年少女5名は少女が刃物を使用し攻撃してきたため、反撃をした所、亡くなってしまったとの事です。」
「この事件についてどう思いますか」
「うーん、正当防衛を少年少女達は主張してるけど過剰防衛だよね、それにこの子達は亡くなった少女をイジメてた訳でしょ?、やはりイジメ問題の対策について考えるべきかも知れませんね」
「そうですね、それでは続いてのニュースです」