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ノートパソコンの全塗装をしよう

今回はノートパソコンの全塗装をしてみます。お気に入りの色のパソコンだとテンションが上がりますね。

完全に一度分解しないといけないので難易度は高めです。

なお今回描写的に地味なのであえてカットしましたが、メーカーロゴなどの塗装をしたくない部分にはマスキングテープを貼って保護してください。

「せんぱい、めんどくさいっす。なんで、先輩みたいな人種はこんなことできるんすか~!?」


 事の始まりはこうだ。

 鏡花が「ノートパソコンってなんで地味な色ばっかなんすか?」って言ってきた。

 確かにノートパソコンは基本的に黒い色が多い。まれに赤や白もあるが、おそらく世の中のほとんどのノートパソコンは黒だろう。

 あくまでも推測だが、企業のオフィスという「公的な場所」で「高級感」を演出するためにこのようにされていると勝手に考えている。


「なら、塗装するか?」

 鏡花に尋ねる。

「え。パソコンって塗装できるんっすか?」

「出来ないことはないけど、果てしなく面倒くさいから俺は自分のではやらない」

 そう、ノートパソコンの全塗装は非常に面倒くさいのだ。


 いわゆるデスクトップ型パソコンは基本的には「+2」と言われるドライバー一本があれば、組み立てができるようになっている。

 もう一昔前になってしまうが、「メーカー製のパソコンは高いだけで機能がしょぼい」と言われていた時代に特に「自作する」というのが流行した。

 ただし、近年は下火になってしまった。というのも、メーカーも徹底してコストダウンを図っており、価格差がほとんどない。むしろ、逆に高くつくようになってしまうということも発生した。

 だが、ノートパソコンの場合はそうはいかない。

 まず、確実に「精密ドライバー」と言われるものや「星形ドライバー」と言われる特殊なドライバーが必要になってくる。

 さらに爪でかみ合わせて止めてあるのでその爪を外すための板状の部品が必要になってくる。

 ――俺は面倒だから、精密のマイナスで外してしまう。

 とにかく、ばらすこと自体がまず面倒だ。まぁ、鏡花にはこの作業はやらせない。こいつの器用さだとまず壊すことが確実だからだ。


「この白いのなんで紙やすりで削るんすか!?意味が解らないっす」

 鏡花には今プラサフの研ぎをやらせている。

「傷を埋めて平滑にする作業だ。ここで手を抜くときれいに仕上がらない」

 塗装で一番大切なのは「下処理」である。ここで手を抜いた場合、まずきれいに仕上がらない。塗装の8割はここで決まるといってもいい大切な作業だ。

 

「鏡花、研ぎが終わったらいよいよ塗装だぞ。お前青が好きって言ってたから『メタリックブルー』を買ってきてやったからがんばれ」

「つかれたっす。もうやだっす」

 だらしねえなぁ。そう思いながらも、研ぎ具合の確認を行う。水をかけてはじかなくなっているのでOKだ。


「さっきの白いやつと同じようにパラパラと吹きかけるようにして適当に吹け」

 俺が今指示しているのはいわゆる「捨て吹き」という作業だ。これを行うことで下地のプラサフと塗料のなじみがよくなる。そして、10分~30分――その日の天候に左右される――が過ぎたらいよいよ本塗装。

 本塗装は1度で終わらせるのではなく、2~3回に分けて塗装を行うようにするときれいに仕上がる。というより、素人であるうちは、まず一発で仕上げるのは無理だ。

 それが終わったら透明の塗料で同じ作業を行う。どうしてもカラーだけだとどこかにこすれた時などにすぐに色落ちしてしまう。それを防止するためにもクリアでの仕上げは必須になってくる。

 プラサフで3回、塗装で3回、クリアで3回というのが俺の塗装作業でのセオリーにしている。これだけあればそうそう色落ちすることはない。


 すべての塗装が終わり、乾燥をさせている間に夕飯を食べる。

 今日は久しぶりに俺が腕を振るい、青椒肉絲なんかを作ってみた。やはり食品メーカーの素というものは偉大な存在だ。適当に切って軽く炒めるだけで出来上がる。


「さて、鏡花。クリアまで終わりましたが最後に仕上げがあります。」

 鏡花が、げんなりした顔をしている。DIY初心者なのに塗装をしたいって言いだしたからすごいと思ったけどやはりきつかったか……。

「……ここまでやったんだからさいごまでやるっす」


 その根性やよし。

 とはいっても、あとはコンパウンドの粗目・細目・極細・液体コンパウンドの順で磨いていくだけ。これが終わった時の鏡面の輝きは俺みたいなやつにとってはダイアモンドよりも価値がある。

 スーパーに並べられている魚のような目をした鏡花の目がだんだんと光を取り戻していく。そう、それだよ鏡花!その輝きが見たいから俺は修理をやっているんだ。


「せんぱい、すごいっす。すごくきれいっす」

 本当に大学生か?と疑いたくなるくらい目を輝かせている鏡花。とりあえず、コンパウンド臭いんでお風呂行ってください。

 その間に俺は仕上げを行う。

 普通であればカーワックスなどでつやを与えればいいが、個人的にはワックス系の「濡れたような艶」はあまり好きではない。ちなみに、鏡花も嫌いだって言っていた。

 そのため、俺はガラス系のコーティング剤を塗りこんでやる。頑張った後輩へのご褒美だ。


 ……さて、中身を組み上げてやらないといけないのか。しかも、明日は朝の10時には鏡花の同級生の家へプリンターの様子を見に行かないといけない。


 寝 る 時 間 が な い

次回、新キャラ出ます。

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