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90 閑話 第3婦人の浮気

○ 84 パジャマパーティー(-3)の後の話です。


 アリスって、モテるんです。


 魔法の薬の瓶詰めが終わったアリスが、村長に納品するために、魔法のカバンに魔法の薬を詰めて、バーバラに出かけることを言ってから家を出る。


 道の途中に、長身の貴公子然とした、村長の15番目の息子イワンが待ち構えていた。


 長いサラサラとした髪を、気取ってかきあげ、アリスに誘惑の視線を送る。


 アリスは、時間停止保管倉庫の野菜棚に並ぶカボチャを見るような目で、イワンを、ちょっとだけ見て、すぐに興味をなくして、素通りした。


 しばらく行くと道端に、逞しい大きな体を見せつけるように立った、村長の13番目の息子ステファンが男らしさをアピールして、アリスを誘惑する。


 アリスは、腐って周りのものまで腐らせてしまったリンゴを見るような目でステファンを見て、素通りする。


 しばらく行くと道端に、少年の愛らしさと、男の凛々しさを両立させたような、村長の21番目の息子クリューゲンが、純粋な瞳でアリスに誘惑の視線を送る。


 アリスは、道端に転がっている石ころを見る目で、クリューゲンを一瞥し、通りすぎた。


 イワンとステファンとクリューゲンは、村の娘達が恋い焦がれ、一度は関係を夢見る、村でも極めつけの美男である。


 アリスは……


 この世(ユーフォリア)には、男ってアベルしかいないのだろうか……?


 と……どこかの第2婦人のような感慨を抱いていた。


 アベル以外の男の姿など、カボチャや腐ったリンゴや石ころにしか見えなかったのだ。


 イーストエンド村には、誘惑が多い。


 主に、村長の一族だけだが、性に対して奔放で、村の娘を、とっかえひっかえ(もてあそ)んでいる。


 そのノリで、恐れ知らずにも、ラプアシア男爵の第3婦人であるアリスにも、手を出そうとしているのだ。


 特に、ここ最近のアリスは、あまりにも美し過ぎた。


 それで、悪いことに、悪い虫を惹き付けてしまったのである。


 当のアリスは、以前にも増してアベルに陶酔していて、言い寄る男共など、まったく気にもしていなかった。



 事件は、アリスが、魔法の薬を納品し、家に帰って来た時に起こった。


 イワンとステファンとクリューゲンが結託して、強引に手込めにしようと、アリスに襲いかかったのだ!


 アリスの、魔法の発動体である杖を奪い取って勝ち誇る。魔法使いは、杖がないと魔法が使えなくなり無力となる。


 対して、アリスは、余裕の表情で、一言、呟いた。


「反転」


 愛の女神の半神であるアリスのその言葉は、魔法を超えた奇跡を呼び起こし、イワン達の性愛を、無関心に塗り替えてしまった。


 ぞろぞろと、イワン達が、なにもせずにアリスの家から出ていく。


 アリスは、服のホコリを叩いて払った。服装は、まったく乱れていない。


 そこに、畑仕事を終えて、アベルが帰って来た。


「……なにかあったの?」


 アベルの質問に、アリスは、なんでもないように、答えた。


「虫が3匹、家に入って来たのよ……もう追い出したわ」


 ふ~んと、特になにも気にすることなくアベルが呟く。


「それより、今夜は、イリスとエミリーがカレラとオードリーを連れて里帰りで帰って来るから、バーバラが料理を張り切ってるわよ?」


 アリスの言葉に、アベルの表情が輝く。


「それは楽しみだ。ボクもバーバラを手伝って来るよ」


 急いでキッチンに向かおうとするアベルの服の裾を掴んで、アリスが、拗ねたように、おねだりした。


「……ただいまお帰りなさいのハグとキス……もうっ、忘れないでよねっ」


 アベルは、照れながら、アリスを抱き締めてキスをする。


 アリスは……この世の誰よりも、幸せな顔で微笑んだのだった。

2020年9月22日 一部修正しました。

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