86 閑話 温泉回
すみません、短いです。
○ 85 ビーナとタニアの大冒険2の直後です。
アゼル達は、地底大河の別荘に戻り、まず、お風呂に入った。
全員、糞尿まみれで、とても汚く臭かったからだ。
「「おとうさま、おかあさま、おねえさま、ごめんなさい……」」
しょんぼりして、殊勝なことを言うビーナとタニアに、全員が「本当に臭いね」と、明るく大笑いした。
○
ここ……別荘には、地底マグマを利用した温泉がある。
いくつものテーマに別れた露天風呂が、この別荘の目玉だった。
風呂は、アゼルだけ男湯に、他のみんなは女湯に行った。
女性陣は、後ろ髪を引かれる思いだったが、しぶしぶ諦めた。
○
「ビーナとタニアは、私が洗います」
キサラが、第1婦人権限を振りかざすと、
「いえ、ビーナとタニアを洗うのは、私です」
第2婦人クレアが対抗する。
第3婦人も第4婦人も第5婦人も、負けてはいない。
「「「いえ、あたしが洗うよ」」」
洗い場で、愛娘を奪い合う婦人達が睨み合って舌戦を繰り広げるのを尻目に、
「「「お姉さん達が、洗ってあげるね」」」
と、カレラ、オードリー、ウェンディが、油揚げをさらう。
いいのかな~? と、おかあさま達を横目に、ビーナとタニアは姉達に連れられて洗い場に、ちょこんと座った。その愛らしい妹達を、カレラ達、姉が、丁寧に洗っていく。優しく声をかけて。
綺麗に洗い上げた時、事件は起こった。
「「「どこに行くの? ビーナ、タニア」」」
姉達の問いかける声に、ビーナとタニアが、
「「おとうさまのところに行くの!」」
元気にそう言って、まっぱで男湯に駆けていく。
カレラとオードリーとウェンディの心の声。
う……羨ましいっ!
「「「あらあら……もうっ、ビーナとタニアったら、しょうがないなぁ……」」」
おかあさま達が、いそいそと、湯着を着て、ビーナとタニアの後を、ぞろぞろと追いかける。
ポツンと、取り残されたカレラ達、顔を見合わせて、急いで湯着を纏い、追いかけた。
○
アゼルが、湯船で、のんびりしていると、
「「おとうさまーっ」」
元気が爆発しているような、2人の娘が、飛び付いて来た。
激しく水飛沫が上がる。
1人きりで、少し、寂しかったアゼルは、苦笑しながらも、顔が綻んだ。
しかし、次の瞬間に、表情が固まった。
妻達が大挙して、押し掛けてきたからだ。
湯着を着ているとはいえ、胸の膨らみかけてきた、カレラ、オードリー、ウェンディも一緒だ。
……忍耐。
その言葉を胸に刻み、アゼルは、みんなを歓迎した。
妻達は、それぞれ、手に、アゼルお気に入りのお酒を持っていた。
それを貰っている内に、アゼルは、気持ちがおおらかになり、上機嫌で、飲み始める。
また、妻達と、娘達の、お酒を勧める酌が上手かった。
ちょっとしたつまみを、ビーナとタニアと分け合いながら、夜風に笑い声を乗せて、微笑み合った。
……ちょっと、真っ赤な顔でアゼルを見る、カレラ、オードリー、ウェンディの目が肉食系だったのが気になったが……。
まるで、オスを狙うメスの目だ……って、気のせい気のせい。
アゼルは、地底大河の夜空に乾杯した。




