27 閑話 看病2
○ 開拓地に防壁を造った後の話です。
一晩かけて、開拓地を取り囲むように防壁を造った次の朝。アベルは、いつものように、仕事をしようとして、ギブスンに止められた。
「アゼル様。今日はお休みなさいませ」
アゼルは、カラッと笑って言った。
「いいよいいよ。一晩くらい寝なくたって、大丈夫だから」
だが、ギブスンは、意見を覆さなかった。
「いいですか? アゼル様は、指導者であり、開拓民であるみなさまの規範となります」
「うん?」
分かっていないアゼルに、ギブスンが付け足した。
「みなさまがアゼル様の真似をします。アゼル様は、開拓民のみなさまを夜通し働かせた上に、休みも与えず、次の日も働かせるおつもりですか?」
それは、いけない。
「今日は休むことにするよ」
○
「今日は休むことにしたよ」
クレアに伝えると、クレアは動揺し、決意の顔をして言った。
「私、アゼル様の看病をします!」
あまりの力の入り様に、アゼルはタジタジとなり、
「じゃ…じゃあ、お願いしようかなあ」
と、返事をした。
ただの寝不足だから、寝てれば治るとは、言えなかった。そもそも、どこにも不調はなく、建前で休むだけなのだ。
心配してくれるクレアに、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
アゼルは、今も、クレアがどうして自分を、こんなに慕ってくれているのか、今一つ分かっていなかった。
クレアって、まだ、ボクのことを、尊敬すべき偉大な人って、勘違いしているんじゃないかなあ……。
自分は、そんなに良い人間ではない。尊敬されるようなことは、なにひとつ、やっていない。
でも、その勘違いが解消して、クレアに嫌われるのが、怖かった。
アゼルは、もう、すでに、クレアが大好きになっていたのだ。
「クレア……ボクのことを、嫌いにならないでね……。もっと、頑張って、尊敬されるに値する人間になるから……」
クレアは、可愛い顔に、面食らったような驚きを浮かべ、
「そのような弱気になられて……。よっぽどお疲れなのですね。大丈夫ですよ。アゼル様、お慕いしております」
と言って、微笑み、アゼルの腕を引いて、ベッドに連れて行った。
クレアの献身的な看病に、さらに申し訳なくなるアゼルだった。




