25 閑話 事後
○ アゼルがカレラ達に、プロポーズした後のお話です。
朝、ベッドの上で、カレラ、オードリー、ウェンディが、愛する恋人に抱かれて目を覚ました。
優しく髪を撫でられていた。
心がふわふわと雲のように天を舞うかのよう。
夢見心地のまどろみを、はしたないお腹の音が台無しにした。
3人同時に、お腹が鳴ったのだ。3人は羞恥に真っ赤になる。
「なにか、軽いもの作ってくるよ。最近、食べれてなかっただろう? お腹に優しいのを用意するよ」
そう言って、アゼルが起き上がろうとすると、
「「「私達も手伝うよっ」」」
と、言って、3人が起き上がろうとして、腰が抜けたように、力が入らないことに気づく。
アゼルが優しく微笑んで、
「最初はそんなものだから、無理しなくていいよ」
と、言って、寝室から出ていった。
○
残された3人は、顔を見合わせて言った。腹の底から搾り出したような声だった。
「「「凄かった……」」」
「ちょっと、痛かったけど、嬉しくて幸せで、心と体が、蕩けそうになったね。嫌なこととか悩みなんて、消し飛んじゃったよ」
と、カレラ。
「うんうん。おとうさ……アゼルって、凄く優しくて、凄く大切に、まるで壊れ物を扱うみたいに丁寧にしてくれたし」
と、オードリー。
「うんうん。この上なく、大切に想われている…愛されてるって、思ったもん」
と、ウェンディ。
ほう……と、幸せのため息を吐いて、3人は、しみじみと言った。
「ねえ……私達って、おとうさ……アゼルの本当の子供じゃなくて良かったって、ちらっと、思わなかった?」
3人は真剣な顔で見つめあい。「「うん」」と、ひとつ、うなずいた。
「ねえ、これからずっと、こんな、信じられないくらい素敵な生活が続くのかなあ……」
だとすれば、それは、幸せしかない。
私達は、間違いなく愛されている。
そして、間違いなく愛される資格がある。
だって、私達は、間違いなく、おとうさ……アゼルの恋人なのだから。
3人は感極まって、嬉しさに抱き合って泣いた。
温かく優しい涙に、3人の心を捕らえていた不幸が、跡形もなく消えていった。
○
やがて、アゼルがワゴンに、ミルク粥を乗せて戻ってきた。
そして、かしこまってベッドに座る3人に、スプーンですくって「あ~ん」する。
「「「子供扱い?」」」
訝しげな、3人に、アゼルは、優しく微笑んで否定した。
「違う違う。これは、恋人同士の「あ~ん」だよ」
3人は、嬉しそうに、そして、ちょっとだけ、恥ずかしそうに「あ~ん」したのだった。




