22 閑話「なぜ、キスしたの?」
○ アリス達と結婚した後のお話です。
「「「あの時、どうしてあたし達にキスしたの?」」」
飛空船セントエレメントのリビングでくつろいでいると、アリス、イリス、エミリーが、アベルに聞いた。
3人をスラムから助けだし、体を治療した時の話だろう。
それはね。唾液から遺伝子を採集し、遺伝子から、体の正常な状態を調べて、骨折したまま固まった体を正常に治すため、エリクサーに遺伝子情報を反映させるためだよ。
と、言いかけて、はたっと止めた。
ばか正直に、そんなことを言えば、激怒する。特にアリスが。
そして、そこで、再び、はたっと気がついた。
別に、遺伝子を採集するだけだったら、キスする必要はなかったのではないだろうか?
急いでたから?
なんか違う気がする。
いきなり黙り込んでしまったアベルに、3人は不安になって、声をかける。
「「「あ……あの…アベル?」」」
その声に、アベルはポツリと呟くように言った。
「好き……だったのかな……」
アベルは、その自分の声で、はっと気づいた。
「そうだ、好きだったんだよ。俺は、昔からずっと、アリスとイリスとエミリーのことが、好きだったんだ」
いきなりのアベルの様子に、3人はビクッとなる。
「知らなかった~……」
しみじみと呟くアベルに、3人は呆れる。
「好きって理由だけで、大きな傷のある上に、ぼこぼこに変形して、醜いアザのある顔にキスするかなあ……」
ポツリと呟いたイリスの声に、「なに言ってんだ」とアベルが、
「俺は醜い顔にキスしたんじゃない。好きな女の子にキスしたんだ」
と、平然と言い放つ。
3人は、喜びで、口元をによによさせて、せがむように、アベルに言った。
「「「じゃあ、もう一度、キス……する?」」」
もじもじと、身を寄せる3人に、アベルは、
「いいの? やったー!」
と、大喜びした。




