15 開拓期~暗雲
○ クレア視点です。
今日は、次男であるアクスお兄さまが、家畜を持って来てくださいます。
黄金色の草……名前がつきましたラプアスです。そのラプアスが豊作で、需要を超えて供給が過多となったので、余ったラプアスを飼料にして畜産をしようということになったのです。試行は終わらせてあり、あとは実行するだけです。その試行段階で、いくつか分かったことがありました。ラプアスの種を磨いて芯だけにすると、極上の甘みと旨みが生まれることが分かったのです。しかも、磨いた時に出るカスが、畜産動物達の栄養豊富なエサになることが分かったのです。
立派な城門の出来た村……もう村という規模ではありませんね、街です。街の正門前でアクスお兄さまを出迎えます。アクスお兄さまが満面の笑みで、酒ビンを掲げてます。アクスお兄さまは夫とお酒を飲みながら軍の運用について談議するのが好きですから、待ち遠しかったのでしょう。夫に、たくさん、飲ませて下さいね。
○
街は畜産によって発展しました。もう、街という規模ではありませんね、都市です。主要産業はラプアスと畜産。特産品は穀物と乳製品と燻製肉です。特に燻製肉とチーズは、王都でも人気の名物です。また、日持ちはしませんが、ラプアスの芯で精製した甘味料で作ったスィーツが、大人気です。わざわざ王都から食べに来る貴族も居るくらいですから、凄いですよね。私は夫が作って下さるショートケーキが大好物です。あれは幸せの塊です。そうそう、都市に名前がつきました、ラプアシアです。そうです、ラプアスからとりました。隣のイーステリア辺境伯爵領との関係も、すこぶる良好で、伯爵様とは、まさしく家族ぐるみの付き合いです。家族ですから当然ですね。
ああ、あと、ラプアシアには、私の聖女としての力を求めてやって来る人も増えました。『あらゆる傷も病も癒す、奇跡の聖女』などと讃えられていますが、恥ずかしいかぎりです。少し大変ですが、かつての私のように病に苦しむ人達を助けることが出来て嬉しいです。それから、王都の新年の祭典で、アゼル様が正式にラプアシアの領主と認められ、男爵の爵位を授爵することが決定しました。めでたいことです。とても誇らしいです。
夫と一緒になってから、幸せしかない。
でも、最近、ゴブリンの数が増えてきたのが、心配です。しかも、より強く、より凶悪になっている気がするのです。
なにか、よからぬことが、起こらなければいいのですが……。




