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14 聖女クレア

○ クレア視点です。


 今日は、長男であるソードお兄さまが、100人ほどの開拓民を連れてやって来て下さいました。


 開拓村の入り口で、私は夫とふたりで、馬車の一団を迎えます。


 15家族、100人近い人が、開拓村にやって来ました。

 大人も子供もいますが、老人だけいません。開拓は過酷な労働だからです。……夫の開拓村には当てはまりませんが。

 ソードお兄さまが、夫に丁寧な挨拶をして、開拓民の代表を紹介して下さいました。

 イーステリア辺境伯爵家の家族で、夫であるアベル様を軽んじる者はいません。

 ソードお兄さまが、持ってきたワインを見せて、今夜、一緒に飲もうと、夫をお誘いしていました。ソードお兄さまと夫は酒飲み友達だそうです。話題は世界情勢や市場動向、魔物の動向といったものらしいです。……楽しいのでしょうか? きっと女である私には分からない楽しさがあるのでしょう。

 お酒を飲んだ後の夫は、やたらと私に甘えて来ます。もっといっぱい飲んで下さい。


 村に来た開拓民の皆さまは、驚かれていました。

 だって、みごとな石造りの家が、一家族に一軒ずつ、用意されているのですもの。

 夫が土の精霊に頼んで造っていただいたそうです。てっきんこんくりーとというらしいです。上下水道、インフラが完備された、王都でも貴族でさえ住めないような、最先端の家です。もちろん、お風呂も付いてます。魔方陣に魔力を、少しだけ注ぐと、自動で水が張り、自動でお湯が沸きます。魔力を貯めておく巨大な結晶……魔力結晶という魔法道具らしいです……が村の地下にあり、そこから魔力(燃料)を供給しているから出来るのだそうです。そうそう、トイレも水洗です。

 私達が住む家も、少し前からてっきんこんくりーとに変わっています。村の集会にも使える大きな家です。すでにメイドや召使いを雇い、働いてもらっています。執事もいます。夫が第1婦人であるキサラ様の伝手で連れてきました。虚空から現れたように見えましたが、きっと気のせいです。

 村の周囲には黄金色の穂をつけた草が、穏やかな風に揺れています。

 開拓民の最初の仕事は収穫です。

 荷物をそれぞれの家に運び終えると、馬車に積んできた農具を手に、休む間もなく仕事に、みんなでせいを出しました。



 汗をかいたので、水分を補給しようと、休憩していた時に、緊張した声が上がりました。


「ゴブリンだ! 馬車をつけられていたんだ」


 見ると、農場の向こうから、ざっと50匹程のゴブリンが、雄叫びをあげながら走ってきます。ちょっとした軍勢です。周囲に緊張が走ります。


「防御陣形をとれ!」


 ソードお兄さまが、指揮をとって、5人ほどの騎士と、10人ほどの兵士を動かします。


 ゴブリンの数に比べて、あまりにも少ない数です。


 農場の外周で、軍勢とぶつかりました。


 夫も精霊達を呼び出して応戦しています。


 味方は傷つき倒れて行きます。


 私は、必死で祈りました。


 すると、奇跡が起こりました。


 なぜか私の体から、聖なる光がほとばしって、味方のケガを瞬く間に治してしまったのです。


 また、味方全体が、聖なる光に包まれて、ゴブリンの攻撃を寄せ付けなくなりました。

 光はゴブリン達も包みました。すると、ゴブリン達の動きがてきめんに鈍くなりました。


 でも、この光……聖なる力……神様の力よりも、濃いような……。


 戦いは、あっという間に優勢となり、ゴブリンの軍勢を撃ち破りました。


 それを見ていた開拓民達が歓声を上げて喜び、私のことを「聖女さま」と呼んで讃えました。いったいどうなっているのでしょう。


 後で、鑑定眼を持つ執事のギブスンさんに、視ていただきました。


「ほほう、クレアさまは、最高位以上の神聖魔法が使えるようですな。よっぽど過酷な苦行を乗り越えられたのでしょう」


 私が受けた苦しみの日々は無駄ではなかったのだ……。


 私は、神様に……祈らずに、夫に祈っていました。それが道理です。だって、私を救ったのは神様ではなく、夫なのですから。


 その夜、夫は一晩かけて、開拓村の周囲にてっきんこんくりーとの防壁を造られました。


 次の日、忙しさで目を回した夫を、私が看病しました。

 苦しむ夫には、申し訳ないのですが、看病が出来て嬉しい。

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