116 閑話 暴力ダメ、絶対
いつも、すみません。短いです。
○ 97 エリックとアミナと月夜と朝日の後の話です。
「ごめーん、ローンベルト子爵、殴っちゃった」
てへっ
と、舌を出して笑うアゼルに、執政官、文官、相談役1と2は、頭を抱えて、呻きながら蹲った。
アゼルが未来の約束通り、アミナを村人全員ごとラプアシアに連れてきた時の話である。
「なななななっ、なんてことしてくれんのよ!」
「行政が……外交が……」
「評判が、がた落ちになるな……」
「この影響は図り知れんぞ……ったく、なんてことしてくれんだ、アゼル!」
4人はすごい形相で、泣きそうになって深く反省し、正座してうつむくアゼルに、次々に貴族とはなんたるかと説教した。
一通り説教を終えて、一息ついた時、キサラ達が言った。
「まぁ、済んだことを言ってもしかたないわ」
「それよりも……」
「そうだ、まず最初に、しなくてはならないことがある……」
「その通りだ、まず……」
キサラ達は、声を合わせた。
「「「乾杯しよう! 祝宴だ!」」」
キサラ達4人は、大喜びである。
「えっ! どうしてそうなるの?!」
アゼルが面食らって言うと、
「ローンベルトのブタは、女の敵よ? 建前はともかく、本音では嬉しいに決まってるじゃない」
嬉々としてキサラが言う。
「アゼル様が殴っていなかったら、私が殴っていたかもしれません……いやぁ、あぶないあぶない」
そう言って朗らかに笑うバースリー。
「あー、スッキリした。アベル兄さん、ありがとう。溜まってた鬱屈が吹き飛んだよ」
晴れ晴れとした笑顔でカイルが言う。
「俺もあいつ等が気に入らなかったんだ……さすがに殴ろうなんて考えもしなかったが……やっちゃいけないが、こんなに気が晴れるものなんだな」
スッキリとした顔で感心するスピア。
5人は、周囲を巻き込んで、大いに盛り上がって宴会したのだった。
○
4人が危惧した通り、外交は滞った。人界の富裕層での評判が、がた落ちになったのだ。
しかし、逆に人界の貧困層から、絶大な支持を得た。
移民は倍増し、またしてもラプアシアは勢力を拡大したのだった。




