113 閑話 カレラ達の過剰な要求
○ カレラ、オードリー、ウェンディが7歳になった時の話です。カレラ視点。
最近、おとうさまが変わってしまわれた……。
妙に、よそよそしくなってしまわれたのです。
距離も、一歩、引いている感じです。こちらから近づいても……まるで、触れてはいけないもののような扱いです。
……私は……私達は、なにか、おとうさまの気にさわるようなことをしたのでしょうか……。
私……カレラは、同じようになってしまったオードリー、ウェンディと相談しました。
でも、心当たりが、まったくありません。
少し、勇気がいりましたが「おとうさまに直接聞こう」となりました。
おとうさまは執務中ですが、隙を見て執務室に行きます。
お仕事中の、おとうさまの真剣なお顔は、胸がドキドキするほど素敵でした。
私達の突然の訪問に驚くおとうさまに、私達3人は、打ち明けます。
「「「おとうさま……私達は、悪い子ですか?! なにか、気にさわることをしましたか?!」」」
おとうさまは、驚きに目を見開きました。
そして、即座に、とても焦って否定して下さいました。
「そんなこと、絶対にないよ!」
その姿は、変わらない、いつもの優しいおとうさまです。
私達は、あまりにも安心してしまって、泣いてしまいました。
「だって……おとうさま……私達を避けてる……今までみたいにギュッてしてくれない……」
おとうさまは、真剣なお顔になって、
「こっちに来なさい」
と、執務室の奥の休憩室に通して下さいました。
私達をソファーに座らせて、その私達の前で、膝をついて、目の高さを合わせて真っ直ぐに私達を見て下さいました。そして言いました。
「カレラ……オードリー……ウェンディ……大きくなったね」
「お前達は、もう、子供じゃない……立派なレディーなんだ」
「レディーには、たとえ父親と言っても、気安く触ってはいけない……もう、お前達に触っていいのは、将来のお婿さんだけなんだよ?」
「「「そんなっ!」」」
私達は、大声を上げた。
おとうさまに、触ってもらえないなんて!
私達に「死ね」と言いますか!?
「そんなっ! ……急には無理です」
オードリーが、小さく抵抗する。
「いきなり大人にはなれません……ゆっくりと大人になっていく……そういうものではありませんか? 私達に、準備期間を下さい!」
ウェンディが、理論で説き伏せようとする……どこか、必死で。
私も……なにか、おとうさまの決心を覆す、力ある言葉を言おうとした。
でも、出てきた言葉は……、
「おとうさま……寒いです……私を……私達を抱き締めて下さい……」
とんでもない言葉だった。
身をよじって寒がる私を……私達を……おとうさまは、とっさに抱き締めてしまった。
やったっ!
抱き締められて……喜びも束の間、私達は、違和感に気づいた。
いつもと違う……。
まるで、壊れ物に触れるような……。
私達を、強く抱き締めることで、壊してしまわないように気遣う……限りなく優しい抱擁だった。
その扱いは、子供に対するものではなかった。
変わらず、大切にして下さっている。……でも、これは……。
なによりも大切な恋人にする、愛の抱擁だった。
今までの、子供の私達は、この時に死んだ。
そして、大人に生まれ変わった。
子供の私達に「さよなら」と言った。
別れが辛かった。
でも、大人の私達の誕生が、なによりも嬉しかった。
大人のレディーとして抱き締められる……おとうさまの腕が……胸が……愛おしかった。
胸が切なさに締め付けられた。
甘酸っぱい……ベリーのような愛が、全身に充たされた。
そして、驚きとともに気づいた。
私達の心……そして魂に、おとうさまの名前が刻まれてしまった。
もう、私達は、おとうさまのものだ。
誰にも、譲れない……おとうさまだけのものだ。
もうっ……戻れない!
私達は、泣き出してしまった。
泣きじゃくった。
それは、子供の自分との別れの……少しの悲しみと、1人の女として……愛する男に抱かれる大きな喜びの涙だった。
もうっ……戻らない。
私達は、そう心に誓ったのだった。
○
「もっと、強く抱き締めていいのですよ……?」
オードリーが、オドオドと求めた。
「いっぱい撫でて下さっていいのですよ……?」
ウェンディが、控えめに……でも強く求めた。
愛を囁いて下さっていいのですよ……?
私は、それは言葉に出来なかった。
「おとうさまは、私達が好きですか……?」
ウェンディが、懇願した。
おとうさまの返事は「もちろんだよ! 大好きだ」だった。
嬉しい……。
「あああっ……愛していますか?」
オードリーが、乗っかった。
激しく、どもってた。
きっと、愛してるの言葉の意味が、今までと違ったのだろう。
おとうさまの返事は「もちろん、愛してるよ」だった。極上の……私達の心をトロトロにする笑顔で。
私達の要求はエスカレートしたのだった。
勢いに乗って、とんでもない要求をするところでした。……あぶないあぶない。
○
「おとうさんが、お前達に、イヤなことをしたら、ハッキリ言うんだぞ? すぐやめるからな」
「「「おとうさまになら、ナニをされてもいいですっ!」」」
むしろ、いっぱい、シテ下さい!
私達は、心を、ひとつにして叫んだ。
私達って……ひょっとして……変態なのかな……?
夢でカレラ達が、シャルに嫉妬して、作者に要求を突きつけた……。
その結果がこれです。
眠りに入る時と、目が覚める時に、よくアイデアが浮かぶのですよね……夢というスタイルで。




