俺と鈴蘭と新しい仲間〔かぞく〕と
遅れてすみません。今回で五話目です。
何時もながらの駄文ですが楽しんでください。
五話目~俺と鈴蘭と新しい仲間〔かぞく〕と~
ドタバタドタバタと音がする。
翌朝、俺と鈴蘭は幸香の声で目が覚めた。
「おじいちゃんー‼何処にいるのー?」
段々幸香の声が泣き声になっていく。
俺と鈴蘭は、幸香を慰めないといけないのだが……元ぬらりひょんに任された最初の仕事をどうするか考えていた。
「鈴蘭‼行ってきてくれ。」
鈴蘭は、俺が何を思っているのか分かった様で少し首を縦に頷いた。
俺は考えている間、鈴蘭に幸香を泣き止ませに行ってもらった。
そこから少しして鈴蘭は、幸香を泣き止ませに成功したのか声が聞こえなくなってきた。
鈴蘭と幸香が部屋に入ってきた。
幸香からグスングスンと鼻声が聞こえる。まだ泣いているのだろう……
俺は、鈴蘭に幸香を任せて完全に泣き終わるまで待つことにした。
その間に俺は昨日元ぬらりひょんと話していた部屋に入った。
「………………………ん?」
昨日元ぬらりひょんが座っていた椅子に手紙位の大きさの膨らみが見えた。
俺は、椅子のカバーを持っていたナイフで切り取り手紙を取り出した。
その手紙には、「幸香へ」と書いてあった。
「さて…これは、話しが終わったら幸香に渡すか…」
俺は、手紙をポケットに隠した。
俺は、話すべき事の全てのピースが揃った事に悪い笑みを溢した。
ぬらりひょんからこの家の部屋割図を教えてもらったので俺は、この部屋から出て図書室で本を読みながら一休みする為に一服する事にした。
一休みしていたら鈴蘭が俺を訪ねに図書室にやって来た。
「よく、俺の居場所が分かったな?」
鈴蘭は、笑顔で言った。
「主様がいるところなど予想済みじゃ。なんての~わらわも昨日ぬらりひょんに屋敷の部屋割を聞いていただけだがの~」
俺は、笑みを溢しながら鈴蘭の頭を撫でた。
「流石‼俺の嫁さんだな。」
鈴蘭は、顔を真っ赤に染めながら顔を俯かせた。
俺は、鈴蘭に幸香の様子を聞いた。
鈴蘭の顔が上に上がった。
「今は、落ち着いて自分の部屋で脱け殻の様になっているのじゃ。」
「そうか……分かった。俺も今からそこに行く。鈴蘭は、先に行っていてくれるか?」
俺がそう言うと鈴蘭は、首を縦に頷いた。
鈴蘭が部屋から出て俺は、どうするかもう一度考えていた。
一度考え出すと俺は、答えが行き着くまで考えてしまう癖があるので…思考を止めた。
俺は、火を消す前にもう一度煙草の煙を吸い込んだ。
「さて……行くとしますかな?」
俺は煙草の火を消して図書室を後にした。
幸香の自室は、俺と鈴蘭の部屋の横にあったので直ぐに分かった。
俺は幸香の部屋の扉ノックして開けた。
俺の目の前には目の周りを赤くさせて疲れて眠る幸香が居た。
「鈴蘭。いつから眠ってる?」
俺と鈴蘭は小声で話す。
「主様のところに行って帰ってきたら眠ってたのじゃ。」
俺は幸香が眠っている間に鈴蘭にさっき見つけた手紙の事を話した。
俺は鈴蘭に俺が引き受けた事だから俺が幸香に昨日の事を話すと伝えると鈴蘭は、小声で「わかったのじゃ」と言った。
「ん~ん………ん‼」
幸香が目を覚ました。
幸香が目を擦っている。完全に目が覚めたのか俺と鈴蘭を見ている。
俺は、幸香の前に座った。
二人の間に無言が続いた。
しかし、二人の無言は長く続かなかった。
最初に幸香が口を開けた。
「………おじいちゃん…は…?」
俺は、重く閉じた口を開いた。
「おじいちゃんは、俺と鈴蘭に幸香ちゃんを任していなくなったよ……」
幸香は、その言葉を聞いてまた、眼に涙を溜まらせている。そして、涙を流した。幸香は、必死に声をあげないように泣いている。鈴蘭は横からハンカチを幸香に渡した。
幸香は、涙を拭いて俺の方を見る。しかし、涙が溢れてくるので幸香は涙を拭きながら俺の方を見た。
俺は、顔を窓の方に向け涙必死に拭いている幸香を横目に話を続けた。
俺は、幸香に粗方昨日の事を伝えた。
幸香は、俺と鈴蘭を見ている。
鈴蘭は、慈愛に満ち溢れた眼差しで幸香を見ている。
俺は、鈴蘭を一度見てから幸香に手紙を渡して言った。
「俺と鈴蘭は、一度部屋から出るから心の整理がついたら俺らに会いに来てくれ。」
俺は、そう言うと部屋から鈴蘭を連れて出た。
部屋から数歩歩いたところで泣き声が部屋から聞こえてきた。
俺と鈴蘭は、自室に戻った瞬間鈴蘭が俺の服を引っ張った。
俺が鈴蘭の方に顔を向けると鈴蘭も泣きそうな顔をしていた。
「どうしたんだ?鈴蘭?」
「主様……」
「鈴蘭も優しいやつだな。幸香の苦しみがわかって泣けるんだからな」
俺がそう言うと鈴蘭も泣いた。俺は、鈴蘭を宥めながら鈴蘭の頭を撫でた。
それから数時間後。もう、日が沈んだ頃に幸香は俺達の部屋にやって来た。
「お兄ちゃん。手紙読んだよ……次は……お兄ちゃんが任されたんだね……」
俺と鈴蘭は、ある程度幸香が何を思って言っているのが分かっているので俺は笑顔で答えた。
「あぁ…俺が次のぬらりひょんだ。そして、幸香の新しい仲間で家族だ。」
俺がそう言うと幸香は、笑った。
「お兄ちゃん。これから大変だよ。おじいちゃんの後を継いだってことはこれから色々と……」
俺は今の幸香の言葉に違和感を感じて聞いた。
「何が色々と大変なんだ?」
幸香と鈴蘭は、わかっているのか鈴蘭は苦笑いをして幸香は笑顔で答えた。
「「これから総大将になるからね~」」
「…………………は?」
マテマテちょっと本当に待って……
何故?てか何の総大将?
幸香は、優しい口調で言った。
「おじいちゃんは、妖怪の総大将だったんだよ。そして、その後を継いだってことは………後は、分かるよね?」
俺は、自分を指差しながら言った。
「マテマテ俺は、昨日から半妖になったんだぞ。そんな俺が妖怪の総大将って嘘だろ。」
鈴蘭が笑いながら言った。
「主様や‼もう諦めた方が身の為になるのじゃ‼」
「待って‼鈴蘭は、俺の味方だよな?」
鈴蘭は、その言葉に頷いた……だが次の言葉が俺の希望を打ち砕いた。
「もう一度言うのじゃが主様や、もう諦めた方が身の為になるのじゃ‼それにもうこの情報は、日本中の妖怪に広まっておるのじゃからな‼」
「え?ちょっと待って今なんて言った?」
俺は、もう一度聞き直す。
鈴蘭は、諦めたろという眼で俺を見ながらもう一度言った。
「このぬらりひょんの代替わりは全国の妖怪に広まっておるのじゃからな‼わらわの所にも朝方連絡が回ってきたのじゃからな‼」
聞き間違いじゃなかった…嘘じゃなかった……
待ってマテマテ本当に待って新参者に任す仕事じゃないだろ…
「大丈夫だよ‼お兄ちゃんなら出来るよ。私も手伝うし、おじいちゃんも出来たんだしね。」
俺は、絶望した顔で幸香を見た。
幸香は、玩具を見つけた子供のような残酷な顔をしていた。
俺は、鈴蘭の方に顔を向ける。
鈴蘭は、笑い疲れたのか過呼吸になりかけていた。
俺は鈴蘭の耳元で(後で覚えてろよ)っと伝えて俺は鈴蘭を看病して諦めた顔をして幸香を見ながら言った。
「分かった。もう諦めてちゃんと総大将やりますよ……」
幸香は、わかればよろしいと言わんばかりの笑顔で俺を見ている。
「あっ……そうだ‼おじいちゃんが手紙にお兄ちゃんに言葉を残してたよ‼これから苦労するけど幸香を宜しくお願いします。だってさ‼」
俺は、今物凄く後悔している。
もし、昨日に戻れたら、昨日の自分によく考えて返事をしろと注意をしてぬらりひょんにちゃんとした説明を要求する。
そんな事を考えながら窓の外の月を眺めた。
その後直ぐに幸香は、部屋から出てった。
俺は鈴蘭を見ながら言った。
「さっき言った事を覚えているよな‼」
鈴蘭は、肩をビクッとさせて俺を見た。
「主様、ごめんなさいなのじゃ。」
何時もの俺なら許すが今日は、許せないのでお仕置きをすることにした。
「鈴蘭。」
俺がそう呼ぶと(なんじゃ)っと肩をもう一度ビクッとさせて俺を見た。
俺はそんな鈴蘭の口俺の口でを塞いだ。
いきなりだったので鈴蘭は、驚いた目をさせていたが直ぐにうっとりとした目になるが俺が口を何時までも離さずにキスをするので鈴蘭は、体をくたっとさせて体を預けて全てを俺に任せてきた。
「さて…そろそろもういいかな?」
俺は口を離して鈴蘭を蒲団の上に寝かせる。
鈴蘭は、体を時々ビクッとさせて放心状態になっている。
俺はそんな鈴蘭を見ながら笑みを溢し言った。
「これに懲りたら悪戯も程ほどにな‼」
鈴蘭は、顔を赤く染めて頷く。
キスとは全く良いものだ、毒にもなれば薬にもなる。こうしてもう俺達二人は離れられなくなっている。
「今日は、疲れた。本当に……」
鈴蘭も頷き俺と鈴蘭は、部屋の灯りを消して蒲団に潜り込んだ。
俺が目を閉じようとした時鈴蘭が仕返しに俺にキスをするので俺は、そのキスに応えた。
所々月の光が俺達を照らしている。それは、俺と鈴蘭の新しい生活を祝福するように見えた。
俺達二人は顔を真っ赤に染めながら目を閉じた。
俺は瞼を閉じながらこれからの波乱万丈な生活を想いながら意識を手放した。
駄文を読んでくださりありがとうございます。
次の六話目でまた、新しい主人公の名前の物語が始まります。
次回も楽しんでください。お願いいたします。