わたしの恋愛事情
小説の最後、ヒロインのわたしへ警告を発したくなるでしょう。発したくならなければダメですよ。それは。
わたしには14歳年上の彼がいる。
彼とはだいたい、週いちのペースで会う。
会うのは決まって夕方の6時、待ち合わせ場所も毎回、同じ場所。
そしてふたりで食事に行く。
食事のあとは、バーへと足を運ぶのが常であるが、時々はラブホテルへと直行することもある。
わたしとしては、バーなんかへ行ったりするほうが良いのだけれど……。
ラブホテルへ直行するのは、ひとつだけ利点もある。
だから、総合的にみるとどちらが良いか、考えどころなのだ。
まあ、バーなんかへと寄り道をしたところで、その日の夜は必ずラブホテルに行き、一泊するのだけれど……。
翌日はゆっくり起きて、ラブホテルを出る。
シティーホテルなんかで遅めの朝食を取り、そのあと一緒に映画をみたり、ウィンドショッピングを楽しんだり。
だからランチも遅めの時間となる。
お茶を飲み、だいたいいつも4時ごろに、じゃあまたと言って別れる。
彼とは一年に一度、一週間ほどかけてドライブ旅行に出かける。
温泉めぐり秘境の旅といったところかな。
場所は彼が決める。
1カ月前にはその場所を彼が言い、周辺施設でどこを見たいか考えといてと言ってくれる。
わたしはネットで調べて、候補地を探す。
彼の愛車はポルシェ。
また新車に変えたらしいが、わたしは興味が無い。
997だったのが、991でしかも、911だって、何で数字が戻るのだろう?
ちんぷんかんぷん。
7代目って言ったのだって、7台目と勘違いしたから、不機嫌になった。
彼は高速道路の走行中は、話しかけられるのを嫌う。
愛車の乗り心地を、全身で感じていたい、らしい――。
彼は運転しているうちに、機嫌が直る。
わたしは運転している彼の真剣な横顔を、助手席から盗み見る。
それだけで、ワクワクする。
わたしは、高速道路を走る時の、地面スレスレを猛スピードで走るあの感じが、堪らなく好き。
彼のもう一つの趣味は、カメラである。
最近、凄く上等の一眼レフを買った。
だから、デートの際には、写真を撮りまくっている。
風景は勿論だが、わたしもよくカメラに収まる。
そして次のデートの時に、プリントした写真をくれる。
一週間の旅行となると、手渡される写真も数十枚ほどになる。
わたしの友達は、わたしのことを羨む。
彼にはそこそこの収入がある。
だって彼は開業医なのだから。
だから彼は、デートの際には高級フレンチの店を予約している。
彼は高級ワインを好む。
だから予約時には高級ワインの予約もしている。
わたしもアルコールは強い方、だからワインも好き。
けれど市内にあるフレンチレストランは行きつくしたとかで、次は料亭しようと言う。
自分の病院のホームページに、来店記録を付録として載せているから、変えなければならないらしい。
高級ワインなら、価格が半端じゃないモノもある。
彼が贔屓にしている店は、こぞって取り寄せては薦める。
彼はその値段には糸目は付けない。
この前は40万もするワインを飲んだ。
彼はワインなら、感想が好き放題に書けるから良いのだと言う。
それが日本食となると、書きづらいだろうと。
わたしはアルコールが呑めて、美味しい食事があれば、どっちでも良い。
わたしの友達は、呆れてもいる。
そうやって、食事と共にワインだの、その後のバーだの行き、アルコールを過剰に摂取した日は、ラブホテルへ行ってもセックスには至らないことも多くなった。
そうすると、わたしはデートをしただけになってしまう。
セックスをしないと、高級料理と高級酒が身体に入っただけで終わる。
彼が若かった時は、少々多めにアルコールを摂取しても、ラブホテルでは身体を合わせたのに……。
食事のあと、ラブホテルへ直行するのは、デートコースとしては貧しいけれど、確実にわたしは少しリッチになれる。
わたしは彼が好きだから、彼のムリな要求も厭わない。吐き気がしても頑張れる。
だからお願い、射精して。
わたしを無収入で帰さないで。
ね、
大好きなあなた。
年に一度の遠出は良い。
一週間分のお手当を、先に言ってくれるから。
早く来ないかなあ?
今年の遠出。
大好きなあなたと一緒に行く遠出。
待ち遠しい――。