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偶然の再会②

 今の時間帯、昼ごはんにはちょっと早いというのもあって、すんなり店内に入ることができた。席に着いてメニューを眺めていると、次々とお客さんが入ってきているのが見えたので、きっと数分後には満席になってしまうだろうと予想できた。早めに来ておいて良かったかもしれない。


「んー、どれにしようかな。あんまりカロリーあるものはダメだし……アンナはどれ頼む?」


 正面に座っている亜希が聞いてくる。やっぱ懐かしいな、この感じ。聞きなれた声。だけども、久しぶりに聞いた声。この声でよく恋愛相談とかされたっけ。そんな相談されるほど私には経験がなかったけれど。というか、未だに彼氏出来たことがないのは秘密だ。


「どうしたん? そんな私の事見つめて。えっ、あれっ、もしかして私の事好きなの!?」


 亜希が冗談めいた口調で聞いてくる。それに対し、私は真剣な顔をして、昔のようにこう返すのだ。


「えっ、知らなかったの?」


「いや、知ってた!」


 こんなやり取りも懐かしい。亜希はあの頃からちっとも変わっていない。くだらない事で笑い合い、くだらない事で泣いて、くだらない事に一生懸命な、そんな私たちの関係は、無くなったりしないのだ。

 こうやって昔からの友達と話していると、小学生時代の記憶が蘇り、あの人の事を思い出す。あの人。私の初恋の人。霧夜悠介くんの事を。

 私に彼氏が出来たことがない、というのは悠介くんのせいとも言える。私は、彼氏をつくろうと思えば作れた環境にあった。これは虚栄でもなんでもなく、事実だ。実際何度か告白もされたこともある。だけど、告白されるたびに私の脳裏に悠介くんがちらつくのだ。どうしても意識してしまう。

 こんなにも悠介くんを想っている私だけれど、悠介くんに直接気持ちを伝えたことは一度もなかった。というか、小学生の高学年になる頃にはあまり口を聞いたことがなかった。それまでは、家が近いというのもあって、よく一緒に遊んでいた。いわゆる幼馴染というやつだ。けど、時が経つにつれ、二人で遊ぶ事はなくなり、中学に上がる頃には一切会話をしなくなっていた。これは、別にお互いが嫌いになった、とかでは決してなく、自然の摂理みたいなものだと思う。漫画やアニメなんかの幼馴染はいつまで経っても仲良しで、高校生とかになっても勝手にお互いの家に入っていけるなんてのが多いが、現実ではそんな風にはならない。それが男女の幼馴染なら尚更だ。

 本当はもっと仲良くいたかった。今も一緒に遊びたかった。私の事を見ていて欲しかった。もっと私を知って欲しかった。私の事を好きになって欲しかった。

 悠介くんは今、どこで誰と一緒にいるのかな?


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