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幻のストライカーX爆誕(仮題)  作者: 沼田政信
2013 時間は再び動き出す
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サンフレッチェと私 後編

 前回のあらすじ。サンフレッチェは地味なクラブだったが、ミシャ就任で上昇気流に乗ったかに見えた。そして2007年を迎える。


 ここまでの流れは良かったし、当然今年もいけるだろうと思っていたがしかしここで落とし穴にはまった。開幕戦で寿人とウェズレイがルーキーの吉本をぼこぼこに叩きのめしてFC東京を下すなど好調なスタートを切ったかに見えたが、それからは数字を伸ばせずに入れ替え戦を戦う事となった。相手は京都。いきなり負けて、次は引き分けで降格が決まった。


 青山がオリンピック予選で怪我してシーズン終盤に出られなかったとかそんな事もあった気がしたが、とにかくJ2再びとなった。しかし選手は駒野ぐらいしか抜けなかった。監督も代わらなかったが、人望もあって7位になっても方向性不明な小野監督とは感触が全然違ったしこれは間違っていないと思った。


 それと、この年の特に後半戦は「内容は悪くない」とか「あとは決めるだけ」とかそういう話をよく聞いた記憶がある。それでこの結果なのでこれらのワードは未だに死亡フラグとしてトラウマ的に頭にこびりついている。この期に及んで自分たちのサッカーが出来てるとかどうでもいいから勝ち点だけ取ってくれというのが本音だった。まあ毎年それだと大宮になるが。


 そして迎えた2008年。天皇杯ではいい感じで勝ちあがったし、ゼロックススーパーカップではPK戦を制して優勝。降格という傷を多少たりとも癒せたのは良かった。そして迎えた春、二度目のJ2は心持ちが違った。前回は「そうは言ってもレベルが低い相手だしどうにかなるだろう」とかある程度楽観的に思っていた。結果、序盤は確かにそうだったが中盤以降に地獄を見た。


 しかし2008年はもっとピリピリしていたのだ。「相手は一見順位が低いけどやってみるまでは分からないぞ」みたいな警戒心は常に持っていた。序盤にあった大雨の水戸戦、退場者連発しながらもロスタイム最後のプレーで同点に追いついた試合などはあれこそまさに泥仕合だった。最後にゴールを決められて倒れこんだ水戸のディフェンダーがやけにペチャンコだったとか、変な記憶も残っている。


 最初のクールは順調だったが前回と比較すると負けや引き分けは多かった気がする。しかし中盤以降が違った。もうスイスイ進めて快適だった。最初は寿人と平繁の2トップだったが平繁が案外もう一歩で、ワントップに切り替えたら抜群によくなって今に至るフォーメーションが完成したと記憶している。終盤は平気で4点とか取れて最高に気持ちいいシーズンだった。


 この頃はもうニコニコ動画とかバリバリに動いていて、その手の動画を見たりして喜ぶことも多かった。それと「J2を超越したパスサッカー」とかいう動画が各所に張られて、他のチームのサポーターに「これは凄い」とか「いやいやレベル低いだろ」とか言われつつ、私個人の感覚で言うと「絶対J1でもやれる」という確信はあったので次のシーズンが楽しみだった。


 結果は4位だった。当時J2から上がってきたばかりのクラブとしては最高位で「さすがだが出来すぎじゃないか」とさえ思っていたが翌年にセレッソが3位に入り、さらに柏がJ1復帰即優勝を果たしてしまったので特別でもなくなった。それと、チームのイメージが変わった。それまでは地味な扱いだったものが、ユース出身の陽気な選手たちのお陰もあり雑誌とかにもよく取り上げられるようになった。今となってはあの人たち赤いユニフォームを着ているが。


 2010年は7位と賞金圏内には確実に入った。この辺から有力な選手が「サンフレッチェのサッカーに魅力を感じて」みたいな言い方で来るようになったのはありがたかった。李とか、最初は寿人がいたために出番がなかった。寿人が怪我をした時は「どうすんの? 李ぐらいしかいないじゃん」みたいに思っていた気がするし。しかしここからゴールラッシュを見せて代表に選出され、アジアカップでは優勝を決めるボレーシュートを決めたりと派手なサクセスストーリーを描いた。


 こうしてブレイクした李とエース寿人とのミックスが試された2011年も7位。李は15点を取ってイングランドへ移籍した。しかしこれは李の経歴を見るに「いずれそうなってもおかしくない」とは覚悟できていた。でも試合に出られていないとなると近いうちJ復帰すると思う、とか書いてたら案の定FC東京に期限付き移籍らしい。そしてミシャが退任となった。これも何となくそんな予感はしていたので「ああ、やっぱりそうなるか。今までお疲れ様でした」とすぐに認めることが出来た。


 ミシャは、常々言われていたように父親のような存在感があった。彼に導かれてそれまでにない景色を色々と見ることが出来た。J2での爽快な戦いもそうだったし、ACLに出たり日本平で勝てたりもそうだった。惜しむらくは3大タイトルを取れなかった事。ナビスコカップとか可能性はあったが、守備の甘さはミシャの特徴でもあるので、そういう意味では構造上仕方なかったのだろう。今は浦和の監督だが、感謝こそすれ恨みなどは一切ない。


 ミシャの次は森保監督となった。監督未経験だが、意外なほど不安はなかった。いずれなると思っていたし、広島を知っているが広島以外も知っているのも心強かった。何より発言が極めてまともかつ具体的だったのが良かった。いきなり理想主義全開とかだったら逆に怖かったが、「こうしてくれたらいいな」という事をきちんと言っていたので安心できた。


 森保はミシャとは色々と違った。年齢も見た目も、そこから連想されるキャラクターも違う。ミシャは太っていて現役時代を見た事がないし想像もちょっと難しいが、森保は細身だし顔も現役時代と変わってないような気がする。それにやはり日本人なのでユニフォームの記憶もまだ鮮明だ。キャンプでも小野時代末期みたいな不穏な空気は一切なく、むしろ雰囲気は良さそうだったので「失敗するかも」という予感は日ごとに薄れていった。


 そして私は開幕前に8位と予想した。当時は雑誌などで「李が抜けた穴」「補強が地味」「新人監督で采配に不安」あたりを根拠に下位、場合によっては降格さえも予想されていた。私としては「サンフレッチェはそんなに弱くない」という思いから「強気の」8位予想をしたつもりだったが、ご覧の通りの結果となったので今となってはむしろ弱気だったかも知れない。でもこれは外れて嬉しい予想だった。


 ただ「長期政権が終わった後任の監督人事が大失敗で結局降格」というクラブが広島ではなかったものの実際に現れたわけで、広島が不安視されたのも現象としてはあながち的外れではなかったと言えるのではないか。ガンバねえ、まさか本当にあんな事になるとは。まあこのご時勢J2の一度くらいは体験しないとむしろモグリみたいなもので、「J2時代があったからこそ今の俺たちがある」と将来胸を張って言えるようになる日が来るかも知れないし、与えられた状況の中で最善を尽くすのが結局全てとなる。


 話を戻すと、補強に関してはここ数年はフロントをそれなりに信用しているので今回もそんな大失敗にはならないだろうとは思っていた。かつての話だが戦力外になった中島という選手を獲得してそれがしっかり戦力になったように地味でも力がまったく劣るというわけではないもので、今はそこをうまく見極められているような気がする。そして千葉はスタメンに定着、石原はもっと出来ると思っている。


 得点力に関しては、これでも寿人のワントップで4位にまではなった経験があるので「李が抜けた? それでも寿人がいるだろう」などと楽観的に考えていた。ただあそこまで大暴れするとはさすがに計算外だったが。逆に言うと寿人がああもゴールを量産してくれたからこそあのような順位になったという部分はあるだろう。


 そして開幕戦は浦和だった。「いきなりクライマックスかよ」とか思ったが、逆になかなか当たらないと思いは募るものだし、最初に当たる事で覚悟出来た部分もある。そして何より勝てたのが大きい。これで余計な感情から多少たりとも決別できたかも知れない。心に余裕があれば変に囚われる事もなくなる。


 それからは割と順調に勝ち点を伸ばしていたが、それ以上に絶好調だったのが仙台だった。「本当に負ける日なんて来るのか」という勢いさえ感じたが次第に引き分けも増えて、やっぱりちゃんと負けた。この頃は磐田と清水もいい感じの順位だったはず。


 一方でそれまで上位の常連だったチームの出だしはそれほど良くなかった。ガンバと鹿島は逆噴射だし、名古屋や柏も乱高下が激しかったがACLの負担もあったのだろう。お陰で仙台と広島の優勝争いという異色の展開となった。磐田も一時期までは良かったのにいつしかフェードアウトしていた。


 直接対決を制した事などもあり結局広島が仙台を振り切って優勝したわけだが、仙台より広島のほうがその歴史において悔し涙を多く流してきたからこの場面で強さを発揮できたのではないか、とか叙情的な方向でまとめてみる。選手も主力は概ね良好なパフォーマンスを見せていたし、サイドに怪我人が出ても石川や清水が使えるようになったのも良かった。毎年優勝できるパワーはないが、クラブのサイクルがうまくいけばこれぐらいは出来るという理想的なラインで行けた。


 仙台は残留を目指す新潟の意地に屈して優勝の可能性が霧散すると、最終節では惨敗を喫してしまった光景は後一歩の部分で力及ずと如実に示しているようだった。千載一遇のチャンスを逃したが、サッカーが続き、チームが続く限り巡り来る可能性は常に残されているものだし、歴史はまだ始まったばかりだ。


 ついでに今シーズンのざっくりした予想。まず優勝は、浦和。色々と補強して意欲的に見えるからだ。最前線のタレントが弱いとか守備が脆くて安い失点が増えるミシャサッカーの構造とか不安要素はいくらかあるが、まあ金があるところがそれを使ったのは健全な事だし、そういうチームが優勝に一番近いのは当然の話だ。それとミシャにとっては千載一遇のチャンスとなるし、そういう期待も正直ある。


 それに柏もそれなりに補強ができているので頑張るのではと思うが、ただ浦和含めてどちらもACLがあるのでそれがどうなるか。意外と横浜あたりもまた浮上するかもと思うが、ここもよく分からん。広島と仙台はとりあえす賞金圏内が目標か。名古屋は何となく現監督体制が末期に見える。昨年大躍進の鳥栖は今季も下手に色気を出さずにやれるかが大事。


 去年苦労した鹿島は監督が交代した。いい時期の鹿島に満ち溢れていた強かさを去年はあまり感じなかった。ここでどうにかしないと毎年「あの頃」の幻を追っている磐田みたいな立ち位置になる可能性もある。ヴェルディルートになったら、もう知らない。川崎は風間体制が確立されてどうなるか。大阪もクルピだし、この辺は出入りの激しい戦いになるのでは。


 大宮はそろそろ順位的なアクションが起こると期待。新潟はやっぱり選手を引き抜かれた。昇格組は、ダヴィを引き抜かれた上にベテラン山盛りの甲府は色々補強してはいるが正直不安かも。京都に続くエレベータークラブになりかけている印象もある。そしてただでさえここ数年3位昇格のクラブは即降格してるのに史上初となる6位昇格の大分はどれだけ戦えるのか逆に興味がわく。湘南は地味に残留しそうなイメージがないでもない。


 ついでにJ2は、まあ普通にやれば大阪だろう。そうそう、昨シーズンなどは大阪という地名がついたクラブが複数J1にあったので「ガンバ」「セレッソ」と区別する必要があったが、今年はJ1とJ2に分かれたので文脈的にどちらがどうだと分かる場合は横浜や東京と同様に大阪とだけ呼称する。今回の場合はJ2について述べているので、J2の大阪といえばガンバの事なのでガンバと書かずに大阪で済ませる。


 さて大阪は意外と選手が流出しなかったので拍子抜けだった。代表選手も複数抱えているし後は長谷川監督がチームをまとめられたら問題はない。でも「J2とか余裕だろ」みたいな空気を醸し出していると意外と頑強な抵抗を受けるものなので気をつけてJ2ライフを楽しんでください。


 神戸もそこそこ行けると思う。札幌はまた1から作り直しだ。地元ユース出身選手もさすがに若すぎで「日本のビルバオ」というか学徒動員、あるいはガンダム序盤のいちいちマニュアルをめくりながらシャアを迎撃していたホワイトベースみたいな悲壮なイメージばかりが頭に浮かんで離れない。立派なクルーに成長できるだろうか。その前に撃墜される気がしてならん。ガンダムを一通り見て一番ぞくぞくしたのはその辺りだった。


 京都と千葉だが、昨シーズンは期待したがそれが間違いだったと悟らされる結果となった。パスを回すのが目的の京都。リーグ最後の甲府戦に勝てば自動的に昇格だったのに逃してしまい、プレーオフでは大分の森島に4発を食らって早々と沈没という無残な幕切れとなった。確かに選手はいるがちょっと贅沢すぎる使い方でいまいち機能性に欠けていた印象もある。


 千葉はまた監督交代となった。もうこれで三度目だが、1年や2年なら悪い目が出続けるかも知れないが3年続けばさすがにそれが実力と見られても仕方ない。昇格だけならラモスにでも出来るのだから、監督の責任よりももっとクラブ全体に問題があると考えたほうがおそらく正しいのだろう。監督だけでなくやるサッカーも変わるとすれば1年1年がチームの強化にならず、その辺がJ2残留を続ける要因となっているようだ。


 それ以外では、徳島など補強でも結構メジャー系選手を入手できている。それに岡山は中林をキープできているし、荒田が川又の穴を埋められたら面白い。横浜は山口監督2年目で真価が問われるシーズンとなる。それにJ3も設立されるらしいし、まだまだ進化の余地は残っているリーグだから予想も難しいが、まあなるようになるだろう。いくら何でも雑すぎるまとめだが、答えは10ヵ月後におのずと知れる事だし、ゲーム攻略本ではないが「ここから先は君自身の目で確かめてくれ」という事でご勘弁を。

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