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幻のストライカーX爆誕(仮題)  作者: 沼田政信
2013 時間は再び動き出す
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第一次キャンプレポート 後半

 愛媛県竹鶴島での第一次キャンプは約1週間、この週末で終了する。その効果は「尾道というクラブの組織性が理解できるようになった」と新加入の朴が述べたように、新加入選手にとっては水沢メソッドを注入するいい機会となったようだ。


 2月からは宮崎県で第二次キャンプがスタートする。毎年この時期は数多くのスポーツチームがこの宮崎の地に集結する。それは日本だけでなく、朝鮮半島からも温暖な気候を求めて海を越えてくるのはもはや常態化している。それだけに、実戦的なトレーニングも積みやすくなるというメリットがある。尾道もこの時期は毎年宮崎県でフォーメーションの確認や連携のチェックといった試合結果に直結する部分の調整を行っている。


 さて、今シーズンの尾道のフォーメーションはどうなるだろうか。今のところはまだ対外試合を行っていないため、詳細は不明と答えるしかない。しかし紅白戦や実戦的な練習の中で組まれるフォーメーションによってある程度の形をうかがい知ることも出来る。水沢監督としても今はより良いシステムを構築するために試行錯誤している期間だと言えるだろう。


 昨シーズンは、まずGKでは若い宇佐野が台頭して貴重な経験を積んだ。元々反応速度は抜群だったが、試合中にボールを奪われるなど技術的に拙い部分も露呈してしまった。しかしこれらの問題も場数を踏めばある程度は解決される。今年も宇佐野が基本線になるだろう。


 控えには元日本代表のベテラン玄馬がいる。経験という点においては宇佐野を圧倒するので、首脳陣としては安心して宇佐野を使うことが出来るという部分もあるだろう。三番手の松井に加えて今年は大学からルーキーの宇野というGKを獲得した事で競争はより激しくなった。無論、宇佐野とて安泰ではない。


 センターバックは昨年に引き続き港とモンテーロが有力ではあるが決して安泰ではない。追撃の一番手は昨シーズンは出番を増やした橋本である。頭脳派の港と肉体派のモンテーロという両極にはまだ及ばないものの、逆に言うと港以上のフィジカルとモンテーロ以上の頭脳を持っているのだ。また、スピードやテクニックにおいても高いレベルにあり、非常に面白い存在だ。


 韓国人DFの朴もキックの精度やパワーという固有の武器があるだけに、戦術理解が進めば面白い。ルーキーの仲真は練習を見ても御野や桂城のドリブルに何度もかわされているが、向かっていく姿勢を剥き出しにした若々しいガッツは見ていて気持ちいい。大きく伸びていきそうな選手だ。


 サイドバックは、まず左はマルコス・イデで確定だろう。昨年の序盤は左サイドバックのレギュラーを確保していた小原は怪我からの復帰が5月ごろになると言われており、より一層彼への依存は強まりそうだ。ルーキーの西東も左をそつなくこなし、便利そうだ。


 逆に右サイドは未だにレギュラー不在の争いが続いている。昨年は山吉というJ1クラスの実力者が居座っていたが、レンタル期間が終了して東京に戻るかと思いきや新たに鹿島へと移籍した。その後釜として期待されるのは一昨年のレギュラーだった深田、沖縄での武者修行を終えた小林と言った面々か。さらに練習では竹田や茅野もサイドバックとして使われている。「あくまでバリエーションの一環」と佐藤コーチは言うが、場合によっては本格的なコンバートの可能性も否定できないだろう。


 ここまでなら「今年の尾道はおそらく4バックで来るだろう」という程度の予想はできる。しかし中盤以降はどのような形になるのか、今でもまったく読めない。それほどに様々なバリエーションを試しまくっているからだ。


 まずは昨シーズンの基本形と同じ4-4-2のフォーメーション。長身でポストプレーもこなしつつ得点も狙える有川と快速ドリブラーのヴィトルというパターンが一番多かったがともに退団。今年もまた長身選手とその周辺を遊星のように飛び回りつつゴールを狙う選手という組み合わせを模索している。そこで期待されているのは野口である。肉体もかなりプロ仕様になりつつあり、うまく定着できれば面白い。


 昨年はビハインド時に使用された3トップのフォーメーションも多くのバリエーションが試されている。まずは中央に長身野口を置いて御野、荒川、芳松、竹田、桂城らがシャドーストライカーのポジションにいるパターンである。彼らはいずれもスピードがありゴールに直結する動きが出来るタイプなので、攻撃力は上がるだろう。この場合中盤は3人で、山田、亀井、岡、栗山、桂城らがしのぎを削っている。前後の運動量が多く、なかなかハードそうな動きとなっている。


 シャドーと中盤の両方で名前が桂城はとにかく実力が高いのが特徴である。プレー一つ一つのスピード、パワーは抜群で、質も高い。それだけにこの実力者をどのような形で生かすかは今年の尾道にとって重要になってくる。本人は「ゴールに直結するプレーをしたい」と言うが、水沢監督の判断はどうか。


 また、その他にも中盤を厚くして最前線は荒川1人を置いたり、御野がFWの動きをしたりと本当に多くのバリエーションが試されているので最終的にどのような形へと落ち着くのかまるで読めない。「選択肢が多いのは今までにない形の苦労が生じつつある」と水沢監督が言うように、チーム力の強化によって逆に悩みの種が増えた様子だ。最終的にどのような「答え」を見出すのか。開幕は3月である。




 2月4日、お揃いのスーツに身を包んだ約30人の集団が宮崎の大地に降り立った。彼らはJ2に所属するジェミルダート尾道の選手、監督、コーチ、それにスタッフたちである。開幕まであと1ヶ月の今日この頃、来るべきその日に向けての調整をするべくここ宮崎でキャンプを行うのだ。




水沢監督のコメント

「いよいよ始まるという感じで身が引き締まる思い。すでに第一次キャンプで体はほぐれているので、明日から一気にギアを上げて行きたい。今年のJ2は強い相手が多いが、その分面白いシーズンになるのではないか。そして私としても監督生命の集大成のつもりでやる。目標である昇格に向けて、良い調整をしていきたい」


港選手のコメント

「2013年の尾道にとって一番重要な時期と言えるのがシーズン前。昨シーズンは御野が伸びてそのまま1年主力として戦えるようになったように、そういう選手が今年も出てくるかが大事。それに僕自身もポジションは分からないので、危機感を持ちながらも全体の底上げをしていきたい。目標? まずはチームの昇格ですよ。個人的などうこうは結果が出ればおのずと良くなるものですから」


桂城選手のコメント

「(2009年以来の宮崎キャンプについて)久々の、とは言いますがもう大分前の話ですからね。自分自身も新鮮な気持ちで臨んでいます。大体前は第一次キャンプってありませんでしたから。ただ、あれのお陰で前より早くチームに馴染めました。持ち味は攻撃的なプレーなので、うまく連携して結果を残したい。2桁得点にアシストもトップを狙う。僕が来てから弱くなったとは言わせませんよ」


荒川選手のコメント

「去年の今頃はまだチームにも参加していなかったので尾道では初めてのキャンプですね。尾道の気候も良いけど、今日の宮崎は天気も良くていい調整が出来そうな気がします。去年は途中出場が多くて10点だったから、今年はスタメンを狙って20点が目標になりますかね。背番号もいいものをもらったし、チームを引っ張っていく存在にならないと。見ていてください。俺はやる男ですよ」

100文字コラム


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