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第七話 孤独

俺が次に目が醒めたときには、既に母さんの姿は無くなっていた。


気がつくと、トラックにはねられる心配も無くなった。


なぜなら車はもう道路を走っていなかったのだ。


人がいなくなってる?でも、どうして?


俺は誰もいない街をひたすらに歩いた。


だが、何一つ手がかりも無かった…


一人でいると無性に話相手が欲しくなる。


「どこにいるんだ?ミカエル。」


いつの間にか俺はミカエルを探していた。


ミカエルに妙な懐かしい気持ちを感じていたからなのか。


「こういう時は上でも見てみるか…」


初めて会ったときの事を思い出して、上を見た。


空を見ると、とても透き通っているのが分かる。


雲一つ無い空、俺は何かを見つけた。


「何だ?まさか!?ミカエルなのか…」


ゆっくりと、こっちに落下してきている。


俺はそのままミカエルを受け止めた。


よく見ると、ミカエルの全身には切り傷でいっぱいだった。


「おい、何だよコレは!?」


ミカエルに感じていた懐かしい気持ちと、昔の記憶が混ざり合う感覚だ。


「おい、起きろよ!ミカエル!!」


「こ…康貴くん…?」


ミカエルが俺の事を『康貴くん』と呼んだ時、俺は全てを思い出した。


「み…美香ちゃんなのか?」


「うん…いろいろ嘘ついて、ごめんなさい。」


「何謝ってるんだよ、バカ。こっちこそ俺のせいで…」


そうだ、あの時も…きっと今も…俺のせいなんだ…


「康貴くんは相変わらず優しいんだね。」


「そんなこと、どうでも良いから早く手当てしないと…」


今も傷口から血が出ている。


俺は着ている服を手で千切って、包帯のかわりに傷口に巻いてやった。


「それで、ミカエルがどこかへ飛んでいった後、何があったんだ?」


近くにあった家のベットにミカエルを寝かせると、俺は質問する。



「そうか…俺はただの遊び道具でしか無かったのか…」


「ごめんなさい…私…神様を止められなかった…」


謝る必要なんて無いのに、謝るミカエルを見ると、神に対する憎悪が増す。


「くそっ!もう遅かったんだ…」


もう人間は俺一人しかいない。


これからどうすればいいんだ…


「なぁ、ミカエル?俺たち…」


「ごめんなさい…ゴホッ、ご…ごめんなさい…」


え…?


「おい!?ミカエル?起きろよ…起きてくれよ。美香ちゃん…」


『美香ー!!』


俺は叫び続けた、その後ずっと泣いた。


ミカエルの意識は無い…


俺は一人、崖から飛び降りた。


もう二度と起きる事は無い…

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