第三話 不死
「選ばれし者?この俺が?」
「はい、そうです。久保康貴さん。」
俺達は公園のベンチで話していた。
無事に公園までたどり着けたのは奇跡ではあるが、そんな事は気にせず、俺は知りたい。
どうして俺が死ぬと、夢ということになって、また生き返るのかを。
「神に選ばれし者は一度死ぬと、魂の再構築が行われてまた生き返るのです。」
魂の再構築?死んだ魂を創り直すという事か…
「でも、それって大変なんじゃないのか?それをどうして俺の魂を使ってやっているんだ?」
「え…、そ、それは私にもよく分かりませんが、あなたは不死身です。よ、良かったじゃないですか。」
良くない…いや、絶対良くないだろう。
俺が死ねば時間はまた今日の朝に戻ってしまうからだ。
こんなの不死身などでは無い。
ずっと続く夢に永遠に閉じ込められているだけだ。
それにミカエルは何かを隠しているのか?
次の瞬間、大地が大きく揺れ始める。
「じ、地震か!?」
大きな地震だ、俺はその場で倒れてしまい、身動きがとれない。
そして、公園に備え付けてある外灯が俺に向かって倒れる。
頭蓋骨を強打、即死だ。
そしてベットで目を醒ます。
「康貴さん?」
ミカエルが壁をすり抜けて現れた。
便利な能力だなぁ。
どうやら天使は時間を遡っても影響は無いみたいだ。
これなら、話を続ける事ができる。
でも、どこで?俺に安全な場所があるのか?
「行ってきます。母さん。」
この台詞も何回目だろうか。
母さんもそうであったが、他人にはミカエルの姿が見えていないらしい。
って事は、公園で会話していたのは全て、周りからは変な独り言を言っているようにしか見えていなかったという事だ。
そう思うと急に恥ずかしくなってきた。
「今から、安全な場所を探すぞ、ミカエル。」
「はい、康貴さん。」
なるべく小声で話した後、俺達は家をあとにした。