第11章「消えた右翼」
【フィリピン・ミンダナオ島 夜】
密林の奥にある廃工場跡地に、カラシニコフを持った黒人傭兵が立っていた。
その奥、サンダル姿で麻のシャツを羽織る南條辰巳が、椰子の葉を灰皿代わりにしながら笑った。
「ようやく、肩の荷が降りた気分や……」
南條は逃亡ではない。“転戦”だ。
彼が着地した先は、ミンダナオ国際右翼連合の秘密施設。
麻薬精製ラボ、武器マーケット、臓器トレード、児童買春──
“国家”が機能しない空白地帯を背景に、彼は再び暗黒の司令塔として蘇る。
【右翼国際連携構造(抜粋)】
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■国際極右連合構図(南條が接触する勢力):
┌──────────────┐
│ 南條 辰巳(日本) │
└─┬────┬───────┘
│ │
▼ ▼
ナディム・パシャ(トルコ民兵)
フレディ・ユルゲン(独逸極右・児童支配思想)
加えて:
・東南アジアの非合法傭兵グループ
・ロシア系マフィア(兵器・人身売買)
・台湾ナショナリスト(デジタル洗脳部門)
【stigmaメンバーと新たな敵】
東京・中野のスタジオ。
玲子が黒板に“南條—ミンダナオ”と書き、赤線で囲む。
「つまり、“彼”は死なずに、生きたまま次の段階に移った。
そして今度は……国境を越えてくる」
ロキはギターの弦を張りながら、呟いた。
「だったら、こっちも……歌を超えて殴るしかねぇな」
【公安の崩壊と“新たな目”】
玲子の旧友、公安外事課の樋口知也(45)が密かに接触してきた。
彼の話によれば、公安内部の“愛国系清掃作戦”が始まり、玲子の過去の資料が抹消されようとしている。
「……玲子。君はもう“正義の女刑事”じゃない。
これは国家間諜報戦争だ」
「分かってるわ。その上で、あたしは……**殺し合いじゃない“本当の告発”**を選ぶ」
【歌舞伎町・殺人未遂】
夜のコマ劇場通り。
stigmaメンバーのアサトが、見知らぬ黒人の男に襲われる。
ナイフがアサトの腹部をかすめ、ユーマが男の顔を叩き潰す。
現場に落ちていた札束の間に、「YAMI03-b再実行命令書」のコピー。
それは**stigma壊滅計画の“現地実行段階”**が始まったことを示していた。
【玲子の覚悟】
夜の高円寺。
銭湯の脱衣所で、一人になった玲子は鏡に向かって呟く。
「次に奴らが狙うのは、stigmaの“人間性”……
だから私は、“人”であることをやめる覚悟がいる」
彼女の背中には、公安時代に摘発した右翼少年を誤射して殺した銃創跡が今も残っている。
【南條の宣戦布告】
ミンダナオ、廃教会跡の祭壇で南條が立ち上がる。
「stigma──愚かな若造どもよ。
お前らが信じる“正義”は、ただの感傷や。
この腐った世界を変えられるのは──“恐怖”と“取引”だけや」
その背後には、数十名の少年兵たち。
幼い瞳に、銃口を向ける覚悟だけが宿っていた。




