三 経緯の報告と責任
ぼくは今、宮廷の謁見の間に居た。
隣には白猫になった姫様。
目の前には、姫様の両親がいた。大きな玉座に座っており、重苦しい雰囲気を漂わせている。
ぼくが今までの敬意を説明したからだろう。暫くして……。
姫様の父親、国王陛下が口を開く。
「……で、変身魔法を暴発させた宮廷魔女キルフェンは逃げたと……はぁ……」
国王陛下はため息をついた。
「ぼくが居ながら申し訳ありません……」
ぼくの謝罪に国王陛下は柔らかな表情を浮かべる。
「ノアのせいではあるまい………だが」
国王陛下はそこでため息をまたついた。
「やはり張本人の宮廷魔女が逃げたなら……責任は弟子のノアが取らねばな……すまないな」
「はい、覚悟はしています……」
国王陛下は間をためてから発言する。
「弟子のノアには宮廷魔女の責任を代わりに取って頂く。我が娘エミリーに掛かった変身魔法を解いてな。勿論、無期限だ」
姫様の父親、国王陛下に無期限という温情を貰ったのは驚いたけれど。
罪になるかと思ったし予想外の言葉だった。
ぼくは強く真剣に答える。
「はい、必ず姫様の変身魔法を解きます!」
「私からもお願いしますね……」
姫様の母親、お妃様からも優しく声を掛けられた。
そこで白猫になった姫様が「ニャァ〜」と鳴く。まるで、「ノアなら出来るよ」って応援してくれてるみたい。
「はい、必ず……!」ぼくは、お妃様だけでなく場にいる全員に、自身にも向けた言葉を口にした。