表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/7

二 変身魔法





 ぼくの代わりに魔法の盾になった姫様。

 姫様は直後、尻もちをつく。


 「エリー、大丈夫!?」慌てて声を掛ける。

 師匠も慌てた様子で「王女様……だ、大丈夫でしょうか……?」と姫様に近寄る。


 すると姫様は起き上がり、不思議な様子だ。

 「う、うん、大丈夫……というか何もないけど……」


 「魔法、失敗したのかな……それより、師匠……!」

 ぼくは師匠に呼び掛ける。

 「はい……」師匠は沈んだ表情で答えた。


 「魔法を試す時は戸締まりをするか安全な所でって……いつも言ってますよね?」


 「ごめんなさい、ノアちゃん……どうしても試したい変身魔法があってね……それで……」

 「言い訳は聞きませんよ……姫様に何かあったらどうするつもりですか?」


 ぼくと師匠が話してると、後ろで眩い光が……何だろう……

 見てみると……姫様の身体が光っていた……


 「えっ……姫様?」

 「ノア、私……なんか輝いて……」

 さらに輝きは増していき姫様が見えなくなる程になって。ぼくは声を上げる。

 「エリー!」



 ──光が収まると姫様の姿は無かった。

 代わりに居たのは、一匹の白い猫……


 ちょっと待って……もしかして姫様が猫に……? いや、師匠は試したい変身魔法があるって……。


 「師匠……」


 「はい……!」

 師匠は何故か部屋の扉の近くにいた。


 「もしかして逃げる気でした……?」

 ぼくの質問に師匠は即座に答える。

 「いや、違うからね?」


 「早く姫様を元に戻してください!」

 ぼくが声を荒げると、元姫様の白猫はニャァ……と鳴く。


 その様子を見て、「可愛い……」と声に出すぼく。

 そうじゃない。早く師匠に魔法を解いて貰わないと……。


 「師匠……早くしてください」


 「はい……分かったから……ノアちゃん、怒らないで……」


 それから……。


 師匠は呪文を唱えて解こうとする。


 「……ノアちゃん……無理かも?」

 不意に師匠は軽く言うが……怒りが湧いた。

 「師匠……本気で言ってますか?」

 ぼくは変身魔法で右手を、虎のものに変える。


 「ノアちゃん……右手……どうするつもり……?」

 「こうするんです!」

 ぼくは師匠に向けて右ストレートを放つ。

 その拳は受け止められてしまうが……。


 「ノアちゃん、お、落ち着いて。姫様に掛かった変身魔法は何故かこんがらがってるんだよ……要は呪いみたいになっててね……」師匠はそう言うが、姫様は元に戻さないと。


 それに姫様の両親の陛下達になんて説明すれば……。


 「はあ……」

 思わずため息をついてしまう。

 「ノアちゃん……。本当にごめん、ごめんね」

 師匠は深刻な面持ちで、そう言い終えると窓を開けた。何故か手には杖。

 「師匠……」


 「ということだから、またね〜さよなら〜」師匠は杖に乗って飛行していく。


 あっという間にあんなに遠くに……

 やられた、まさか逃げるなんて……


 「師匠の卑怯者ー!」

 「ニャアアア!」

 ぼくと白猫になった姫様の鳴き声が響いたのだった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ