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ざまあの呪い〜どうやら神様は私を断罪したいらしい  作者: ありま氷炎
Chap 2 王太子に媚びて婚約破棄させ、元婚約者にざまあされる呪い。
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2-4

 作戦はなーにも問題なく終わった。

 王太子殿下の命で、先行して潜入していた使用人の一人の口車に乗せられて、マッケンジー伯爵は色仕掛け作戦を暴露したそうだ。それをこっそり聞いていた王太子殿下御一行が登場し、断罪(仮)。

 伯爵夫人は泣き叫んでいたみたいだった。


 兄デルヴィンは顛末を話しながら、何度も心配そうに問いかけてきた。


 何も感じなかったわけじゃない。

 父と母とは思いたくないけど、あの二人から私は体をもらった。

 それは確かで、ある意味裏切りのような行為だけど、彼らは私が何を言っても聞かなかっただろう。

 大体、あんなか弱そうなソフィアを甚振る行為が信じれられない。


 二人は城の兵士に連行され、現在牢屋に繋がれているそうだ。

 正式な刑罰は一週間内に下されるということだった。


 翌朝、ソフィアは学校に来なかった。

 使用人の入れ替えなどがあって、忙しいみたいだ。

 一人では大変だろうと、眼鏡美形のアイザック様が手伝っていると兄が言っていた。


 ソフィアとアイザック様、絵にはなるわね。

 性格も、合うのかな??


 とりあえず、これでざまあはなくなった。

 ソフィアも無事伯爵家を継げるし、これで終わりよね?

 ちょっと、最近様子がおかしい兄は気になるけど、学園生活は安泰だろう。


 2週間後、ソフィアが学園に戻ってきた。

 家の事はソフィアの母方の伯父が卒業まで手伝ってくれるみたい。

 結局私は彼らが炭鉱に送られるのを見送りもしなかった。私が生きていて、リーソン男爵家の養女になってる事も秘密にしてもらった。彼らに知られてお父様たちの迷惑になったら困るもの。


 学園ではひたすら地味に過ごしたつもり。素のソフィアはとても可憐なので沢山虫が寄ってきたけど、アイザック様がしっかり追い払った。彼の卒業前にはしっかり婚約して、ソフィアは虫除け指輪をつけていて、入学してきたアイザック様の弟が張り付いて、虫すら寄ってこなくなった。

 ソフィアには申し訳無さそうにされたけど、私は有り難かった。

 だってなんか巻き込まれたらイヤだし。そう思っていたら、何故かアイザック様の弟くんに告白されて、ファンの子に呼び出された。

 その話を王宮から戻ってきた兄に話したら、指輪を貰った。

 イヤイヤ違うでしょう?

 返そうとしたのにお父様たちに説得されて受け取ってしまった。学園でつけると弟くんに距離を置かれ、ファンの子たちには謝られた。


 そんな感じで平和な学園生活が過ぎて卒業。卒業式は実質的な社交界デビュー。卒業生だけじゃなくて家族も参加できる。在校生も希望すればだ。去年は家族揃って参加したいとお母様に請われ、兄の卒業式へ参加。今年もお父様、お母様、そして兄デルヴィンが来てくれた。

 ソフィアには伯父さんが、そしてアイザック様がばっちり来てる。

 厳密に言ったら、言わなくても参加出来ない気がするのだけど。

 まあ、ソフィアが嬉しそうだし。


 私は、卒業後は実は平民に戻って薬師の見習いになるつもり。

 追放された元伯爵夫人そっくりの姿を社交界で晒したくないし、お父様たちに迷惑をかけたくなかった。

 師匠となる薬師は学園にたまに来ていたタングル先生だ。口説き落とすのは苦労した。


 卒業から二週間後、私は泣いてしまったお父様とお母様に見送られて三年間お世話になったリーソン家を後にした。馬車で送ってくれるのは兄デルヴィンだ。ずっと不機嫌そうで学園での最初の数週間を思い出す。

 ソフィアのあの事件前はいつもこんな感じだった。



「何か可笑しいか?」

「え?兄上。そんな不機嫌そうな兄上は久々ですので」

「そうか。不機嫌そうか?」

「はい」


  にっこり笑って答えるとまたは兄は黙ってしまった。

  馬車が停まり、御者が扉を開ける。荷物は鞄二つ分だけ。平民になるのだからと余計な物は全部置いて来た。


「兄上?」

「私が運ぶので君はここで待ってろ」

「はい」


  使用人のように兄が鞄を運んでくれる。申し訳ない。


「ローラ。何をぼうっとしてる。お前の兄が指示を待ってるぞ」


  そう急かしたのはタングル先生。年齢は多分六十代。夫婦で薬屋をしていて二階は住居になってる。お嫁に行った娘さんの部屋が空いてるので、そこの部屋を借りるつもりだった。


「兄上。ありがとうございました。この三年お世話になりました」

「ローラ。屋敷にはいつでも戻って来てもいいからな。私もたまに店に来る」

「はい」


  有り難い言葉だ。

 出会いは良くなかったし、最初は嫌われていただろうけど、兄は私を妹として大切にしてくれた。


 私の貴族生活はこれで終わり、平民に戻った。

 地に足をつけて頑張っていこう。






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