表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ざまあの呪い〜どうやら神様は私を断罪したいらしい  作者: ありま氷炎
Chap 2 王太子に媚びて婚約破棄させ、元婚約者にざまあされる呪い。
4/7

2-3

「さて、作戦会議といきましょうか」


 最初に口を開いたのは、兄デルヴィンだ。

 私たちは防音が効いた小部屋に移動して、そこでソフィアを救う作戦を練ることにしたのだ。

 参加者は王太子殿下、婚約者のルイーゼ様、で、兄。それからいつもの側近の二人。ちなみに、眼鏡をかけた美形はアイザック・ヒルトン様、陽気な軟派美形はレオナルド・ローウェル様だ。

 そして私とソフィア。

 なんていうか、兄デルヴィンがこの人たちと親しげなのがものすごい不思議だったんだけど、どうやら生徒会に誘われて断ったことがあったらしい。

男爵令息で生徒会員って珍しいんじゃないの?もしかして優秀?生徒会長、王太子殿下の誘いを断るなんて、勿体無い。兄はお父様と違って出世欲が強そうだったのに。

まあ、今考える事じゃないわね。


「マッケンジー伯爵が企みを話してるところを押さえるのだな」


王太子殿下がまず発言。


「そう簡単に話すでしょうか?外ではありえないでしょう」


婚約者のルイーゼ様がそれに続く。

 そうなのよね。外だと人の目があるから、無理でしょうね。協力者もいないみたいだし。


「マッケンジー伯爵令嬢。君の事を誤解していた。すまない」


 私がそんなこと考えていると、美形眼鏡のアイザック様が生真面目に謝ってきた。そういえばソフィアのことめっちゃ睨んでいたもんね。


「あの、謝っていただく必要はありません。あんな行動を取る私に対して普通の反応だと思います」

「それなら僕の事も許してくれる?いやあ、素のソフィアちゃん、可愛い」

「触るな。レオナルド!」


軟派美形のレオナルド様がソフィアに触れようとして、眼鏡美形のアイザック様に手を払われていた。痛そう。


「あ、君がデルヴィンの義理の妹さん。うわあ、めっちゃ可愛い。なんで眼鏡?髪型もダサダサ〜」

「レオナルド!ローラに触ったら殺す」

「え?」

 

 デルヴィン、どうかしちゃったの?

なんか思わず、レオナルド様の声と被っちゃったわ。 

 らしくないんだけど?

 

「ローラ。父からお前の事を頼まれているんだ。だからだ」

「はい、そうなんですね」


 まあ兄デルヴィンならそうだろう。


「デルヴィン。素直になったら?」

「うるさい」

「えっと君たち。時間は有効に使おうね。話を戻すよ」


 王太子殿下がそう口出ししてくださって、グダグダになりそうな話合いがどうにか軌道修正された。


 そうして計画された作戦が、マッケンジー伯爵邸訪問作戦だ。

 王太子殿下がマッケンジー家を訪れる。

 その際に、マッケンジー伯爵にゲロってもらって、それを陰で王太子が聞くというもの。もちろん、その後に登場して、断罪するのはお約束。まあ、正式な断罪じゃないけど。

 作戦は。まあ、単純。

 なんていうか、この国の行く末がちょっと心配になった計画だったけど、私自身なーにも案が浮かばなかったので、この計画に異議などあるはずがない。

 まずは王太子殿下がソフィアに請う。これはみんなの前でだ。スパイなんていないと思うけど、念の為。ソフィアがこの屋敷訪問の話を家に持ち帰って、お迎えの準備をしてもらう。まあ、断る可能性はないわね。待ちに待った王家との縁だもの。

 実際に訪問するのは王太子とその護衛の方々。またひっそり王家の影の護衛も動かすみたい。

 なにやら大ごとになってしまって、ソフィアがパニックになっていたけど、私もかなり驚いた。

 これは王家には関係ないこと。なのにどうしてこんな風に協力してくれるのかわからない。

 それを聞いたら、まずは事情を知ってしまったので、なにか手助けをしたいということだった。

 うーん。

 なにかしっくり来ないけど、兄のデルヴィンがむすっとしていたので、それ以上聞くことはやめた。

 動揺するソフィアには、これが最後のチャンスかもしれないので、しっかりやり遂げましょうと発破をかけてみた。そう、私一人では絶対無理だもの、マッケンジー伯爵を追い出すなんて。

 

 馬車で屋敷に戻る途中、デルヴィンに本当にいいのかと聞かれ、当然だと答えた後に気がついた。

 あの場にいた皆さんが気がついているかはわからないんだけど、兄はソフィアが私の異母姉であることに気がついていたはずだ。

 孤児院でも院長だけが私の出自を知っている。

 多分お父様たちも知っているはず。兄も?だったのね。


「兄上。ご心配無用です。私のお父様はロバート・リーソン男爵のみです」

「それならいいが……」


 夫人、母もきっと同罪で流刑だろうな。

 でも彼らはやり過ぎた。

 ソフィアは正当な後継者で、何も罪がない。罪があるのは不貞をした伯爵と、女、そして生まれた私。罪滅ぼし、自己満足にしか過ぎないけど、この機会に伯爵たちを追放して、正当な権利をソフィアに返すべきだ。


 なんだか、今日の帰りはいつもより重い空気に包まれてしまった。

 普段は兄は全然話しかけてこないのに。

 今日のデルヴィンはちょっとおかしい気がする。

 まあ、おかしいなと思ったけど、深く悩むこともなく、眠りにつく。


 翌日、作戦が決行された。

 王太子殿下がソフィアにマッケンジー伯爵邸を訪問してもいいかと打診。

 もちろん、皆さんの前で。

 場所はカフェテリア。

 ソフィアはマッケンジー伯爵に確認する前に、嬉しそうにOKをだしていた。

 これも作戦のうちなのよね。こうしてみんなの前で了承していると、マッケンジー伯爵は断り辛いだろう。最初から断ることはないと思ったけど、念のために後押しすることにしたのだ。

 そうして作戦は始まり、次の日訪問日時が決まった。


「ずるいです」


 兄はずるい。

 マッケンジー伯爵を訪問する際に王の護衛として紛れることにした兄。ちなみに眼鏡美形のアイザック様も変装して参加するらしい。影の護衛がいるから強い護衛じゃなくても大丈夫って話なんだけど、本当にいいのかな?

 まあ、王家に歯向かうような馬鹿なことはしないと思うけど。マッケンジー伯爵。

 私は心の底から不公平だと思いながらも、マッケンジー邸へ向かう兄を見送った。





 





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ