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俺が世界を救うまでの物語  作者: 椎尾光弥
第一拠点 始まる物語
52/56

α-052 伝言

アンチコメ→作者が喜びます

プロコメ→作者の創作意欲が上がります

評価、ブクマ→作者が一番喜びます


ストーリーのアドバイス→無視です

文章のアドバイス→ありがたいです

 振り向くと、視界に広がるのは青いドレスのスカート。

 目線を上に向けると、そこにあったのは人形のように整った顔立ちの少女。


 口調は僕っ子。髪と目は透き通るような青。右手に本を持ち、左手には棒……いや、筆を持っている。


「うげぇ……」


 アカが顔を露骨に顰め、嫌悪感と侮蔑のオーラを醸し出す。どんだけ嫌いなんだ。


「あ、ちよっと〜なんで止めるの? ボク、まだ楽器出してないんだけど」


「テメェと合わせる舞は無いねぇ。さっさと帰ってフェンリルと戯れたな」


 ……フェンリルと戯れるって部分から察するに、ペッタンとやらか。たしかにペッタン、もはや壁だな。


「む、君、初対面なのに随分と失礼そうな事考えてるね」


 顔に出ていたのか、それとも心が読めるのか。真偽は定かじゃないが、若干機嫌を悪くしたようだ。


「気のせいだと思います! で、アンタは?」


「ふ〜ん。ま、いいや。ボクの名前はアオ。本当に残念だけど、そこの筋肉バカとおんなじ神族だよ」


 ナチュラルに喧嘩を売ってくスタイルのアオ。


「あ? なんだアオ、ヤンのかテメー」


 そしてそれを即座に買うアカ。そして始まる煽り会い。俺とシロは蚊帳の外。


「あれあれ? 図星だったかな? ごめんね、後でバナナを出してあげるよ」


 バナナなんてあるのか?


「よぅし、決めた! 今日こそテメェをカラドボルグの鯖にしてやる!」


 錆びるのか……!


「できるモノならやってごらんよ。君は火、ボクは水。結果は明白なのに……これだから筋肉バカは。頭の栄養が、その邪魔くさい脂肪の塊になってるんじゃ無い?」


 全国の巨乳さんに謝れ。


「テメェは胸どころか、頭にも栄養が行ってないみたいだねぇ。大丈夫かチビちゃん、ちゃんと食べてるかい?」


 全国の小さい方々に謝れ。


「あ、カッチーン。そんな事言っちゃうんだ〜。溺死と凍死、どっちが良い?」


「アタシが凍死する訳無いさね。もうテメェは鯖にするのすら贅沢だ。フェンリルの餌にしてくれるさね」


 流れ弾に当たる、まだ見ぬフェンリル。


「アハハ、面白くない冗談だね。センスないよ?」


 俺もそう思う。


「至って真面目に言ってるけど?」


「………………」


 あ、アオが黙った。


 どうやら、アカは本気だったらしい。

 多分、お遊び程度にふっかけた喧嘩をガチで受け取ったのだろう。


 アカが肩に担いでいたカラドボルグを構え、魔力を集中させる。これにはアオも危機感を覚えたらしい。


「え〜っと、シロ? 止めてくれないでしょうか……」


 ついにシロに助けを求めたよ。それに対するシロの答えは……


「こういうのを自業自得って言うんですよ、アオ」


 非常にショックを受けた顔つきのアオ。


 まぁ、そうだね。でも、俺達も巻き込まれそうなんだよね。ねぇ、シロ。


 と、俺は目でシロに訴える。喧嘩の巻き込みはごめんだ。


『心配しなくて大丈夫ですよ。アカに殺意はありませんから』


 違う、そうじゃない。そのぐらいは顔を見れば分かる。問題は魔力量だ。もう、大気が歪んでるし、なんならライゴウの近くに落雷が発生してる。


 あ、ライゴウは今サシで戦ってます。なぜかは知らんが、拳で。


「あ〜もうっ! ファンタジー・アリア・ヒム・ソナタ・エレジー!!!」


 アオが嘆くと共に、呪文を唱える。この世界で初めて聞いた詠唱だ。


 アオの身体が光輝き、膜のようなモノを纏う。対して、アカには明らかにデバフっぽい何かを纏わりつかせる。


「準備は良いかい? アルテナ流・覇堕理斬っ!!」


 アカの大剣が、アオへと振り下ろされる。


 それに引き寄せられるように大気が歪み、斬撃の通り道に稲光が走る。直撃すれば、大抵のものは跡形もなく消し飛ばされるだろう。


 ……ちょっと待て。アルテナ流ってのも気になるが、それ以上に気になるのが技名。覇堕理斬。つまりハッタリ斬。

 つまりこれは———


「アッハハハハ! まぁた引っかってやんの。やっぱり、胸どころか頭にも栄養が行ってないみたいだねぇ」


 アカが軽快に笑い、アオは無傷で不貞腐れている。


「ポストリリュード。はぁ……なんかもう、今日は良いや。ボクは帰るよ」


 アオが何かを唱ると、纏っていた光やデバフっぽいモノが空気に溶けるように消える。その後、ため息を一つ。


「ん? なんだい、もう帰るのかい?」


「読書の途中だったからね。ほら、そろそろお弟子さんが戻ってくるよ」


 ライゴウの方を見やると、拳を掲げているのが見えた。勝利の感情に浸っていたらしい。


 武士道の欠片もねぇ。いや、武士ではないだろうけど。


「おや、そりゃ不味い。アオ、フェンリルに乗せとくれ」


「えぇ? 梟くんがいるでしょ?」


「ミドリに貸してる」


「あぁ……じゃ、仕方ない。フェンリル〜!」


 アオが空に向かってフェンリルと名を呼ぶ。


 しかし、名前ぐらい考えなかったのか? フェンリルって種族名じゃね?


「グァークゥルム」


 不思議な鳴き声と共に、氷の中から真っ白な狼が這い出てくる。イメージ通りのフェンリルだ。いや、しかし……


「そっちかい!」


 なぜ空に向かって呼んだのか。コレが分からない。


「やあ、フェンリル。ごめんね、ちょっと重たい荷物があるけど良い?」


 またもや火種を撒くアオ。もう、そういう性分なのだろう。


「クァーグル」


 おそらく、了承の意だろう鳴き声。すっごくおとなしいね、このフェンリル。


 あ、そうそう。このフェンリル、足枷やらが無い。バインディアがグレイプニルを持っていたから、まさかとは思ったが……ま、おとなしいから大丈夫か。


「なんだい、本気技を喰らいたいのかい?」


 アカは大剣で自らの肩をトントンと叩く。やっぱり火種を大きくしたか。


「わぁ! 冗談だってば!」


 アオはフェンリルによじ登りつつ、若干涙目。反抗期の弱い子供って感じだ。コレで神族なんだから驚きは2倍。


「はいはいっと。じゃ、機会があればまた会うかもねぇ」


 アカはフェンリルの背に飛び乗り、こちらを見下ろしながら別れを告げる。


「ああ。機会があればな」


 まぁ、ライゴウが仲間になってくれたら嫌でも会うだろうけど。


「おっと、忘れるところだった。クラビス、アンタにとある人から伝言だ」


 アカは、ふと思い出したかのように手を叩く。


「? なんだ?」


「え〜っと、"剣と会話し心を通わせろ"だったかな。あぁ、あと"そのままの意味だ"とかって言ってたねぇ。ま、アタシは確かに伝えたよ」


 アカは"じゃあね〜"と手を振り、フェンリルと共に空間へと消えた。

 皆さんこんにちは、作者です。

 キャラが増えて来ましたね……

 今回は書いてて楽しかった会でした。あぁいう凸凹コンビは楽しい

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