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俺が世界を救うまでの物語  作者: 椎尾光弥
第一拠点 始まる物語
43/56

α-043 既視感

アンチコメ→作者のレベルが上がります

プロコメ→作者の創作意欲が上がります

評価、ブクマ→作者が一番喜びます


ストーリーのアドバイス→無視です

文章のアドバイス→ありがたいです

 入り口から中を除く。が、暗闇に閉ざされており、下に降りる梯子ぐらいしか視認できない。


「……床が見えないな。これで小型の迷宮なのか?」


「正確にはダンジョンですね。これは、古代の遺物……なんらかの乗り物か建物が無人になったことで、魔物が発生したモノです」


 あぁ、拠点の迷宮以外はダンジョンって呼ぶんだっけか。


「魔物?」


 怪物とは別物か?


「魔素から発生した何かです。似たモノだと、悪魔とかですかね。基本的に、ダンジョンの外に出たら消滅します」


「へぇ。だから解体しても大丈夫なのか」


「そういう事です。……さて、500数える程は経ちましたが。迷子ですかね?」


 皮肉かな? 皮肉だと良いな。

 それにしても、まだそれしか経ってないのか〜。あ、この高さならライゴウが見えるんじゃないか?


 そう思い、来た方向を見にドームの縁に移動する。


 ……白い、雪煙が見える。それと若干の炎らしき赤い光。

 なんだろう、デジャヴかな。月光で見た気がするなぁ。


「シロ。既視感」


 俺は指を差し示す。


「? どうしたんです……ああ。なるほど」


 俺の行動を不思議に思ったのか、シロが隣に立ち、その景色を見て合点を得たという顔をする。


 いや、呆れかもしれない。


「ちょっと助太刀してくるわ」


「乗ってきます?」


 シロが杖を持ち上げて示す。

 気持ちはとてもありがたい。けど、ノーティアがとある知識をくれたので、それを実践したい。


「試したい事があるから、ダイジョブ」


「? そうですか」


 そうです。……さて、まずは金色魔法。


 俺は擬似:金色魔法で背中に鎖を生やし、それを鳥の翼のように整形する。できた翼に魔力を込め、同時に対物結界を纏わせる。


 翼の感覚を感じたら成功らしいが……おっ、感じる! てか、動く!


 鎖で出来た翼をバサリと動かし、風を漕ぐような感覚を覚える。翼を大きく展開し、そのまま力を込めて一羽ばたき。


「うおぉぉぉぉお!? 意外と飛ぶなぁ!」


 思った以上に上空に翔び上がり、地面に爆風を巻き起こす。一種の攻撃手段に使えそうだ。


 ……まぁ、シロは一切動じてないけど。


「よく考えましたね。もう少し練習は必要そうですが」


 シロが杖を握って登ってくる。どういう原理なんだか。


「あ〜悪い。まぁとりあえず、あのでかいやつをぶった斬って来る」


「怪我に気をつけてくださいねー」


「あいよ」


 俺は翼を畳み、頭から自由落下。トラウマが蘇りそうだが、捻じ伏せる。


 地面が近づき、充分に加速した状態で翼を再び展開。翼が風を受け、身体が後ろに吹っ飛ばされる感覚を覚える。


 自由落下のスピードを保ったまま、滑空する事に成功した。元の世界の飛行機ほどの速度は出ないが、まぁ、生身ではこのぐらいが限界だろう。


「うぉっ、速ぇー!!!」


 翼を羽ばたかせ、加速。ゴーグルが欲しい。


 腕輪の効果を上回るような極寒の風を感じるが、気にしちゃいられない! アドレナリンがドバドバだ!


 雪煙の近くまで、ものの数秒。腰の短剣に魔力を込め、眼科に見えるライゴウとすれ違う。


 雪煙に飛び込む瞬間、翼を大きく羽ばたかせる。


 その勢いのまま、剣を抜き放ち———



 一閃



 雪煙が真っ二つに割れ、アイスワームの中身が見える。


 体液すらも噴出せず、斬られた事に気付かないのか、ライゴウを追跡する。


 ついに追いつき、獲物に食らいつこうとして———口がない事に気付く。声も立たず、その巨体は氷原に没した。


 因みに俺は、魔力を剣に込めすぎたことで翼が消え、同じく氷原に没しました。


「……………締まらねぇ」


 ◇  ◇  ◇


「いやはや辱い。やはり、他に脚着かぬと技を振るえぬ故。誠に助かった。有難う御座いまする」


 ダンジョンに着いて、ココノエの開口一番がコレだ。

 謝罪。あれ、コイツ良いやつじゃん。


「痛つつ……や、気にすんな。無事で良かった」


 俺はシロに回復して貰いつつ応える。


 ライゴウに関してだが……正直なところ、虫と一緒に斬ったかと思ってた。ちょっと興が乗ったか。


「全く……クラビス、あなたはもう少し自重したらどうですかね」


 シロは呆れの声音で俺を咎める。


 墜落した後、呆れた顔をして転移して来たシロ。慈愛の表情が隠れていたが、それは言うまい。


 あと回復魔法だが、めっちゃ気持ちいい。バインディアとは違った回復方法なのだろうか。暖かい魔力が、背中についたシロの手の平から流れ込んでくる。


「はい……反省してます」


「なら良いですけど」


 シロはジトッとした目で流し見て来る。


 本当にキャラ違うなぁ。いつもこうなら良いのに。まぁ、眠たげなシロも好きだけど。


「仲睦まじくて良いでござるな」


「そう見えますか」


 ……どっちの意味だろうか。元の世界のトラウマが蘇る。

 友と思っているのは自分だけだった。よくある話だ。


「然り」


 ライゴウは大仰に頷き、


「……そうですか」


 シロが、少しだけ微笑んで答える。


 少し、救われた気がした。


 よく考えれば、前世は散々だった。

 俺は頭が良く、スポーツもそれなりに出来たが、学校ではどこか独りがちだった。


 18になり、進路も決まった。側から見れば順風満帆とまではいかないが、幸せだったろう。


 俺も、そこまでは"良くも悪くもない、普通の人生"と思っていた。だが、その辺りで父親が死んだ。


 暑い、夏の日。トラックに撥ねられた。即死だったらしい。運転手はビビったのか逃げてしまい、終に捕まらなかった。


 母親は、よほどショックだったのか寝たきりになった。

 病気ではなく、心労だとか医者が言っていた。が、結局のところ、ガンに行き着いた。


 母親は、父親の名前と俺の名前を交互に呼び、謝っていた。


 "巻き込んでしまってごめんなさい、幸せになってください、過去に囚われないで下さい"


 延々と、謝罪はその言葉だけ。


 抗がん剤の影響だろう。ロシア人だった母親の綺麗な白髪は抜け落ち、頬は痩せこけ、肌は血管と骨が浮き出て、病的な白い肌となっていった。見苦しい姿だった。


 俺は、母親の延命を選んだ。


 金が、必要だった。


 父親の保険金は、全て母親の延命に消えた。


 薬と葉っぱを売った。


 裏切られたかつての友らしき人間を、ネズミの餌食にした。


 腎臓を売った。


 何度か、手を赤く染めた。


 闇金はしなかった。保証人がいなかったからだ。


 酒が無ければやってられなかった。煙草は、母親の体調に良くないと思い、やらなかった。


 そんな生活を2年と少し。


 

 死んだ。



 俺だけが見守る中、静かに逝った。


 不思議なもので、死に顔だけは生前と変わらぬ柔らかい笑みを浮かべていた。


 遺言で、遺灰は米国の"デビルズタワー"とやらに撒きに行った。バレないよう、こっそりとだが。


 父親と出会った地だとか言ってたか。


 帰国して、俺は……俺はどうしたんだ?


「……ス殿、クラビス殿!」


 突然の声に引き戻される


「っおぉ……どうした?」


「いや、なに。心此処に在らずといった様子だった故。どうかされたか?」


 ライゴウが顔を曇らせ、首を傾いでいる。


「いや、この遺跡について考えてただけだ。なんでもない。サクッと探索を終わらせよう!」


 嫌な思い出を振り払う。ここは異世界クスクルザ。極寒の、残酷な世界。


 前世の事より、目の前の事に集中しなければ生きられない。


 迷いと恐れを振り払うように、俺は高く跳んでドームへと着地する。

 


 はい、皆さんこんにちは。作者です。


 クラビスの過去をサラッと出しておきました。

 まぁ、水増しを読んでくれないのは悲しいのでね。


 では、短いですが、また次回で。

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