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俺が世界を救うまでの物語  作者: 椎尾光弥
第一拠点 始まる物語
35/56

α-035 津波

アンチコメ→作者のレベルが上がります

プロコメ→作者の創作意欲が上がります

評価、ブクマ→作者が一番喜びます


ストーリーのアドバイス→無視です

文章のアドバイス→ありがたいです

 文字通り、闇。空は闇に覆われ、目の前すらも視認できない。……いや、バインディアの鎖とグレイプニルは見える。


「こいつぁ珍しい。日が昇ってんのに、"闇夜"か」


 パテラスだろう声がする。気配で、武器を構えたのが分かる。……なんでだろ。俺一般人だけど。


『闇夜?』


 シロに、念話で問いかける。寝てるかもしれないが、これは確実に異常事態だ。


『全力で警戒してください。差し迫ってくる気配を感じたら、逆方向に攻撃を。クラビス、貴方が倒さねばならない5体目の怪物です』


 緊迫した声色で、シロが饒舌に応える。

 昼間は全力で戦えるからと、普段は油断しているあのシロがだ。


 そういや、5体目の怪物って概念とか現象なんだっけ。

 "闇夜"自体が怪物なのか?


 ジャラジャラと、幾本もの鎖が擦れる音が聞こえる。

 薄ぼんやりと、俺たちを守るようにドーム型の鎖の壁が見える。十中八九、バインディアだろう。


「カルテット」


 ココノエの、バインディア戦の時に使われた言葉が聞こえる。確か、効果は巨大な障壁を生み出すことだったか。


 俺は、武器を抜いていない事に気付いた。静かに、息を長く吐き、短剣に魔力を込めて抜く。左手は前に出し、丸い障壁を拳に生み出す。


 やはり、自然な動きで構えが取れる。俺は短剣術やフェンシングはやったことが無い。だが、この構え方はネットで見つけたフェンシングの構えにそっくりだ。


 戦い方は、剣道に近いが。左手もフリーなのが良い。結界だから、両手で持つ時に魔力を抜くだけだ。


 さて、どこから来るかな……いや、来て欲しくないけど。でもまぁ、敵の姿くらいは知っておきたい。ホラゲーとかも、分からない敵って怖いじゃん。


 が、唐突として空は晴れる。視界いっぱいに広がるのは金の鎖。思ったとおり、バインディアが鎖を展開していたようだ。


「あら、晴れましたね」


「……祈ってる場合じゃ無さそうだがな」


 パテラスの言葉通り、遠くに壁のような影が見える。

 俺がマップを開き、その影の正体を察する。


 津波だ。


「パテラス! エンジンは動くんだな!?」


「あたぼうよ!」


 全員、ダッシュで船に乗り込む。


「操縦は?」


 シロかバインディアができると良いが。


「ワタクシが、鎖で舵取りいたしますわ」


 なるほど、問題がなくなった。


「ゼノビア、ここから近い拠点は?」


 ゼノビアは思案し、懐から時計のような物を取り出して応える。


「第二だが、この船ではたどり着けん。サバイバーズキャンプに向かうべきだな。西北西、正確には295.3度」


「バインディア、行けるか?」


「問題ありませんわ、最大出力でお願いします」


 ココノエが、操縦席に座りエンジンのギアを入れる。

 出力を考えなくて良いならば、ギア入れくらいは出来るらしい。


 船尾に付いたエンジンが唸りを上げ、様々な計器の針が忙しなく動く。


 船は、加速を始める。倒れないよう、俺達は姿勢を低くして床に手をつく。


 エンジンの音に混じって、激しい波のような音が聞こえる。津波との距離が縮まりつつあるようだ。


「クラビス、アレを十字に切って下さい」


 シロさん!? 何言ってんの???


 が、シロは杖で床を突き、俺とパテラスを連れて船の上に転送する。可哀想なパテラス。なぜか巻き込まれた。


 もはや、城壁のごとく巨大な津波が目の前に見える。万年氷と光る水で構成された津波だ。見ればわかる、アカンやつや。


「あーもう、やるしか無いじゃん」


 短剣を抜き、魔力を込める。盾は出さず、大剣に見えるほどに魔力を込めた短剣を両手で握る。どうやら、シロが魔力を提供してくれたようだ。


「めぇぇえんっっっ!!!!」


 上段に構え、気合と共に振り下ろす。面と言ってしまうのはご愛嬌。


 魔力の固まりのような光が、壁を二分する。


 続けて、一閃。


「どおぉぉぉぉおっっ!!!!」


 間違えても、振り抜いて2人を斬らないように注意する。


 十字に切れた壁の先から、まだ少しだけ暗い東の空が見える。


「パテラスさんっ!」


 シロがパテラスに叫ぶ。


「なぁる程なぁ。俺も上に飛ばされたのは、そういう事か」


 パテラスはファイルノートを構える。


「どいてろ、クラビス。トリスタンっ!!」


 パテラスの銃が大きな唸りを上げ、金色の光がヒビのように漏れ出す。


 刹那


 音も立たず、辺りを金色に包み、輝く光の条が十字の中心に吸い込まれる。


 後に残ったのは、轟音と熱風。


 壁には、巨大な穴が空いていた。


「おお……やっぱすげぇな」


「ま、コイツがありゃ誰でも撃てるがな」


 パテラスは、少しだけ寂しそうに武器をしまう。とても反応し難い。


「ふぁ……では、後処理しますね」


 シロが船を覆う障壁を展開し、津波の波飛沫……いや、もはや砲弾クラスの氷塊から船を守る。


 船に波が追いつき、通り過ぎていく。大穴の中をくぐり、無事にやり過ごした。


「肝が冷えたな」


 パテラスが呟く。


「しっかし、何でいきなりあんなのが?」


「知らん。俺はあんな現象を見たこたぁない」


 さいですか。あと、シロの転移魔法はノーリアクションでしたね。まぁ、その方が都合が良いかもしれないけど。


 ◇  ◇  ◇


「と、ここまでがバインディアとの出会いだな」


「ワタクシ、それほど強く攻撃してませんよ?」


「いや、あの時は俺が単に弱かっただけだから」


「今じゃ見違えましたね」


「シロも大概だと思うけど?」


「まだ根に持ってるんです?」


「マジで焦ったからな!?」


「カッコ良かったですよ」


「あらあら、仲良しですわね」


「お姉ちゃん……」


「良いッスねぇ。微笑ましいッスねぇ」


「お前、本当に私のノロケを嫌ってた奴か?」


「ごめんなさい」


「というか、某の印象薄すぎないか?」


「実際それほど喋ってなかっただろ?」


「今と同じ位には喋っていたが」


「あれー? そうだっけか?」


「……拙者はいつ出てくるのでござるか?」


「ああ、初めて出会ったのはキャンプでか。じゃ、その話をしてくよ」

 やあ諸君! ノーティアだ!


 今回はなんとも言えない内容だったな!

 作者よ、スピンオフを読んでいないと津波が唐突すぎて、読者を置き去りにしてるぞ。


 さて、次回は……サバイバーズキャンプでの話か。

 じゃ、次回でな!

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