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俺が世界を救うまでの物語  作者: 椎尾光弥
第一拠点 始まる物語
34/56

α-034 カタルシス

アンチコメ→作者のレベルが上がります

プロコメ→作者の創作意欲が上がります

評価、ブクマ→作者が一番喜びます


ストーリーのアドバイス→無視です

文章のアドバイス→ありがたいです

「いやいや、俺の加護は金じゃないぞ?」


 無色の加護だぞ? というのは言って良いのかわからないので、伏せておく。


 そんな俺のを見て、バインディアさんは俺の右手を取り、指輪を撫でる。


「この指輪が、白、黒、金の加護を受けていますわ。はぁ……信託の通りですわね」


 バインディアさんが恍惚……いや、法悦とした表情で嘆息する。


 また信託か。……いや、それ以前にこの指輪凄いな!? そういえば、アナライズしてなかったな。ここは、ちゃんと性能を確かめないと。


《繧ュ繝シ繧ェ繝ォの指輪:人の記憶、感情を含めて様々な情報を保存する指輪。破壊不可。現在の持ち主はクラビス》


 なんか文字化けしてるけど……まぁ、そこは特に関係ない。どうせ"保存"が文字化けしているだけだ。


 指輪に付いている石の中に3つの光が見える。バインディアさんが言っていた、白、黒、金の光だ。


 条件はわからないが、指輪に加護が保存されるようだ。黒の加護といえば……パテラスかクロか。可能性があるのはクロだけど……


「とりあえず、指輪が加護を受けてるってのはわかった。で、俺は合格したってのもわかった」


「ご理解が早くて助かりますわ」


「それで、俺はその、どうなるんだ?」


 合格したのは良い。何に合格したかが、聞かされていないのだ。合格基準についてしか教えてもらってない。


「? どうもなりませんわよ?」


 バインディアさんが心底不思議そうな顔をして、小首を傾げる。それすらも魅惑的に見えるのだから、ゼノビアが悪魔というのもわかるというものだ。


 まぁ、1000年を生きるとも言ってたし、ホントに悪魔かもしれないケド。


 ああ、また思考が脱線する。聞きたい事をまとめよう。


 まず、バインディアさんが何をしたいのか。

 次に、ベン爺さんが言ってた"カタルシス"について。

 最後に、ゼノビアとリタリア、金鎖協会について。


 うん、この3つだな。


「じゃあ、バインディアさんは何をしに来た……いや、何をしたいんだ?」


「ああ、そういうことですの。合点がいきましたわ」


 バインディアさんが深く頷く。


「端的に言えば、私を仲間に入れていただきたいのですわ」


 願っても無いっ! 戦って思ったが、メッチャ強い。ゲームでよくある、"敵の時は強いけど仲間になったら弱い"もここ現実世界では機能しないっ! ……ハズ


「マジで? 俺も、是非とも仲間になって欲しかったから、願っても無い申し出だ!」


「あら、好印象で喜ばしい限りですわね。では、これからよろしくお願い致しますわ」


 て〜て〜て〜て〜て〜て〜て ててててて〜て〜て〜て〜〜て〜〜 バインディアが、なかまにくわわった!

 やったぜ。


「こっちこそ!」


「ああ、それと。敬称は不要ですわ。仲間になったのですから」


 さよか。まぁ、戦闘とかでも敬称付けは不便だしなぁ。そう言ってもらえるなら、お言葉に甘えよう。

 

 さて、まず1つめは良しとしよう。

 次は"カタルシス"についてか。


「えと、それじゃバインディア。カタルシスって使えるか?」


「ええ。というか、ワタクシしか使えませんわね。……この子ですか?」


 バインディアは、膝に乗せているシロを目線で示す。

 いまだにシロは目覚めない。顔色は変わらず、元々白い肌がさらに白くなっている。


「そうだ。頼めるか?」


 俺はバインディアを見つめる。バインディアは茶を飲み、息を吐いてから、一言。


「カタルシス」


 その直後、金の鎖が現れ、シロの胸に突き刺さる。


「なっ……」


 俺は咄嗟に短剣を抜……けない。腕がグレイプニルによって固定されている。


 その間も、シロに鎖が刺さっていく。

 やがて、6本の鎖が刺さり、六芒星の魔法陣が空中に描かれる。魔法陣は黄金の輝きを放ち、その光がシロに流れ込む。


 そして———


「ん……ふぁ、あ……良く眠れましたぁ」


 時刻は朝。いつも通り、眠そうにしながらシロが目覚めた。


「うん、上手くいきましたわね。軽傷で良かったですわ」


 バインディアがホッと胸を撫で下ろし、俺はそれに加えて大きく息を吐く。


 攻撃かと思ったら、治療だった。紛らわしいんじゃ!


「……今のが?」


「ええ。信仰による、神々の為の治療魔法"カタルシス"ですわ」


 へぇ。治療にしては荒々しかったけど。まぁ、見ようによっては魔力を直接注ぎ込んでたから、効果はバツグンかもしれないが。


「終わったか?」


 不意に、扉の方からパテラスの声がした。

 どうやら、エンジンの修理が終わったようだ。


「ん、ああ。シロも治してもらった。あと仲間になってくれるって」


「治ったのは良いが……仲間にすんのか? ソイツを?」


 パテラスが露骨に嫌な顔をする。まぁ、性格に難が有る気がしないではないが、少なくとも好意的だし。


「何かダメなのか?」


「いや、悪魔が契約ナシに仲間になってくれるもんかねぇ」


 パテラスがバインディアと俺を交互に見やる。


「あら、ワタクシは信託に従っているだけですわよ? なので、対価はいただきませんし、そんな事をしたら消されかねませんもの」


 バインディアは、相も変わらず微笑んで応える。


「えっとバインディア? 対価って?」


「適当な殿方なら、精気を対価にしてますわ」


 バインディアは"例外もありますけどね"と付け加える。


 精気ねぇ。生気ではなく精気。……まぁ、気にしないようにしよう。ココノエは硬派っぽいし、パテラスはそもそも嫌ってそうだし。


「まぁ、お前が決めたんならコレ以上はなんも言わねぇよ。エンジンは動く。いつでも出せるぞ」


 パテラスが、外のゼノビアとココノエに合図を送りながら言う。


「じゃあ、遭難を終わらせるか。……いや、その前に墓を作りたい」


 ニグリスの埋葬、してなかった。

 パテラスは察したようで、バインディアの方を見やる。


「ワタクシは間違った事はしてませんよ」


「否定する気は更々ねぇが、墓は立ててもバチは当たんねぇだろ」


 パテラスがバインディアを睨みつけて言う。


 バインディアが"それもそうですわね"と言って賛成してくれたのは、僥倖だろうか。違うと良いが。


 外から入ってこようとしていた、ゼノビアとココノエに事の次第を伝え、墓を立てた。


 万年氷に穴を開けて、そこに首だけのニグリスを埋める。

 目は閉じてやった。墓石はナシ。


「さて……何に祈るべきか。おい、こいつの生まれは?」


 パテラスがゼノビアとココノエに問いかける。


 ああ、元の世界みたいに、いくつか宗教的なものがあるのか。


「ココノエ、知っているか?」


「某も存じ上げませんね」


 ゼノビアとココノエ、まさかのアイドンノー(知らない)。いや、ウィーか。


「そもそも、ニグリスはいつのまにか加入していたしな。フブキ隊には黒色がいなかったから、特に気にしていなかった」


 ゼノビア……杜撰すぎないか?


「では、ワタクシが祈り……」


「「「「それは無い」」」」「ふぁ……」


 素晴らしいハモり。自分を殺したヤツに祈られるとか、死体蹴りも良いトコだ。


 とは言っても、イスラムとキリストの祈り方が違うように、適当に祈る事はいただけない。無宗教なら良いのだが、その情報もない。


 さてどうするかと5名(1人寝ている)で唸り合う。なお、バインディアは鎖で遊び始めた。


「軍歌でも歌うか?」


「リジェネにそんなものは無い」

 

「某のところの祈りは確実に違いますね」


「ふぁ……」


「パテラスの演ってた曲は?」


「「それだ」」


 ゼノビアとココノエが同時に言う。ハスキーボイスと渋い声が良く合ってる。うん、綺麗。


 さて、当のパテラスはというと


「断固拒否する」


 苦虫を噛み潰したような顔で、吐き捨てるように言う。


「どんな曲なのですか?」


 バインディアがゼノビアに問う。元とはいえ育て親なのに、子に敬語か……なんか寂しいな。


「曲名は知らない。見たことがない笛で演っていたが」


「見たことがない笛……ああ、なるほど」


 バインディアが合点が言ったとばかりにパテラスを見る。

 慈愛の微笑みでは無く、小悪魔的な笑みを浮かべていた。


「なんて楽器なんだ?」


 とりあえず、バインディアに聞く。

 ハーモニカじゃないのか?


「名前はありませんわね。あえて名付けるなら、"祈り笛"が良い思いますわ」


 また、大層な名前だな。


「おい、何に対する祈りだ。……あの楽器は、外で吹くと凍り付いちまって、口から離れなくなんだよ。だから却下だ」


 パテラスがバインディアを睨み、理由を語る。バインディアは、誰が見ても分かる程に、心からニコニコと笑う。


 そんな、一種の微笑ましさを感じていた時。


 世界は闇に包まれた。

 

 

 

 

 

 やあ諸君! ノーティアだ!

 なんて雑な会話の切り上げ方だ作者!

 だから独り身なんだぞ!


 おっと、本編に関係なかったな。

 さて、次回は暗闇の中での話だな。


 じゃ、次回でな!

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