α-034 カタルシス
アンチコメ→作者のレベルが上がります
プロコメ→作者の創作意欲が上がります
評価、ブクマ→作者が一番喜びます
ストーリーのアドバイス→無視です
文章のアドバイス→ありがたいです
「いやいや、俺の加護は金じゃないぞ?」
無色の加護だぞ? というのは言って良いのかわからないので、伏せておく。
そんな俺のを見て、バインディアさんは俺の右手を取り、指輪を撫でる。
「この指輪が、白、黒、金の加護を受けていますわ。はぁ……信託の通りですわね」
バインディアさんが恍惚……いや、法悦とした表情で嘆息する。
また信託か。……いや、それ以前にこの指輪凄いな!? そういえば、アナライズしてなかったな。ここは、ちゃんと性能を確かめないと。
《繧ュ繝シ繧ェ繝ォの指輪:人の記憶、感情を含めて様々な情報を保存する指輪。破壊不可。現在の持ち主はクラビス》
なんか文字化けしてるけど……まぁ、そこは特に関係ない。どうせ"保存"が文字化けしているだけだ。
指輪に付いている石の中に3つの光が見える。バインディアさんが言っていた、白、黒、金の光だ。
条件はわからないが、指輪に加護が保存されるようだ。黒の加護といえば……パテラスかクロか。可能性があるのはクロだけど……
「とりあえず、指輪が加護を受けてるってのはわかった。で、俺は合格したってのもわかった」
「ご理解が早くて助かりますわ」
「それで、俺はその、どうなるんだ?」
合格したのは良い。何に合格したかが、聞かされていないのだ。合格基準についてしか教えてもらってない。
「? どうもなりませんわよ?」
バインディアさんが心底不思議そうな顔をして、小首を傾げる。それすらも魅惑的に見えるのだから、ゼノビアが悪魔というのもわかるというものだ。
まぁ、1000年を生きるとも言ってたし、ホントに悪魔かもしれないケド。
ああ、また思考が脱線する。聞きたい事をまとめよう。
まず、バインディアさんが何をしたいのか。
次に、ベン爺さんが言ってた"カタルシス"について。
最後に、ゼノビアとリタリア、金鎖協会について。
うん、この3つだな。
「じゃあ、バインディアさんは何をしに来た……いや、何をしたいんだ?」
「ああ、そういうことですの。合点がいきましたわ」
バインディアさんが深く頷く。
「端的に言えば、私を仲間に入れていただきたいのですわ」
願っても無いっ! 戦って思ったが、メッチャ強い。ゲームでよくある、"敵の時は強いけど仲間になったら弱い"もここ現実世界では機能しないっ! ……ハズ
「マジで? 俺も、是非とも仲間になって欲しかったから、願っても無い申し出だ!」
「あら、好印象で喜ばしい限りですわね。では、これからよろしくお願い致しますわ」
て〜て〜て〜て〜て〜て〜て ててててて〜て〜て〜て〜〜て〜〜 バインディアが、なかまにくわわった!
やったぜ。
「こっちこそ!」
「ああ、それと。敬称は不要ですわ。仲間になったのですから」
さよか。まぁ、戦闘とかでも敬称付けは不便だしなぁ。そう言ってもらえるなら、お言葉に甘えよう。
さて、まず1つめは良しとしよう。
次は"カタルシス"についてか。
「えと、それじゃバインディア。カタルシスって使えるか?」
「ええ。というか、ワタクシしか使えませんわね。……この子ですか?」
バインディアは、膝に乗せているシロを目線で示す。
いまだにシロは目覚めない。顔色は変わらず、元々白い肌がさらに白くなっている。
「そうだ。頼めるか?」
俺はバインディアを見つめる。バインディアは茶を飲み、息を吐いてから、一言。
「カタルシス」
その直後、金の鎖が現れ、シロの胸に突き刺さる。
「なっ……」
俺は咄嗟に短剣を抜……けない。腕がグレイプニルによって固定されている。
その間も、シロに鎖が刺さっていく。
やがて、6本の鎖が刺さり、六芒星の魔法陣が空中に描かれる。魔法陣は黄金の輝きを放ち、その光がシロに流れ込む。
そして———
「ん……ふぁ、あ……良く眠れましたぁ」
時刻は朝。いつも通り、眠そうにしながらシロが目覚めた。
「うん、上手くいきましたわね。軽傷で良かったですわ」
バインディアがホッと胸を撫で下ろし、俺はそれに加えて大きく息を吐く。
攻撃かと思ったら、治療だった。紛らわしいんじゃ!
「……今のが?」
「ええ。信仰による、神々の為の治療魔法"カタルシス"ですわ」
へぇ。治療にしては荒々しかったけど。まぁ、見ようによっては魔力を直接注ぎ込んでたから、効果はバツグンかもしれないが。
「終わったか?」
不意に、扉の方からパテラスの声がした。
どうやら、エンジンの修理が終わったようだ。
「ん、ああ。シロも治してもらった。あと仲間になってくれるって」
「治ったのは良いが……仲間にすんのか? ソイツを?」
パテラスが露骨に嫌な顔をする。まぁ、性格に難が有る気がしないではないが、少なくとも好意的だし。
「何かダメなのか?」
「いや、悪魔が契約ナシに仲間になってくれるもんかねぇ」
パテラスがバインディアと俺を交互に見やる。
「あら、ワタクシは信託に従っているだけですわよ? なので、対価はいただきませんし、そんな事をしたら消されかねませんもの」
バインディアは、相も変わらず微笑んで応える。
「えっとバインディア? 対価って?」
「適当な殿方なら、精気を対価にしてますわ」
バインディアは"例外もありますけどね"と付け加える。
精気ねぇ。生気ではなく精気。……まぁ、気にしないようにしよう。ココノエは硬派っぽいし、パテラスはそもそも嫌ってそうだし。
「まぁ、お前が決めたんならコレ以上はなんも言わねぇよ。エンジンは動く。いつでも出せるぞ」
パテラスが、外のゼノビアとココノエに合図を送りながら言う。
「じゃあ、遭難を終わらせるか。……いや、その前に墓を作りたい」
ニグリスの埋葬、してなかった。
パテラスは察したようで、バインディアの方を見やる。
「ワタクシは間違った事はしてませんよ」
「否定する気は更々ねぇが、墓は立ててもバチは当たんねぇだろ」
パテラスがバインディアを睨みつけて言う。
バインディアが"それもそうですわね"と言って賛成してくれたのは、僥倖だろうか。違うと良いが。
外から入ってこようとしていた、ゼノビアとココノエに事の次第を伝え、墓を立てた。
万年氷に穴を開けて、そこに首だけのニグリスを埋める。
目は閉じてやった。墓石はナシ。
「さて……何に祈るべきか。おい、こいつの生まれは?」
パテラスがゼノビアとココノエに問いかける。
ああ、元の世界みたいに、いくつか宗教的なものがあるのか。
「ココノエ、知っているか?」
「某も存じ上げませんね」
ゼノビアとココノエ、まさかのアイドンノー。いや、ウィーか。
「そもそも、ニグリスはいつのまにか加入していたしな。フブキ隊には黒色がいなかったから、特に気にしていなかった」
ゼノビア……杜撰すぎないか?
「では、ワタクシが祈り……」
「「「「それは無い」」」」「ふぁ……」
素晴らしいハモり。自分を殺したヤツに祈られるとか、死体蹴りも良いトコだ。
とは言っても、イスラムとキリストの祈り方が違うように、適当に祈る事はいただけない。無宗教なら良いのだが、その情報もない。
さてどうするかと5名(1人寝ている)で唸り合う。なお、バインディアは鎖で遊び始めた。
「軍歌でも歌うか?」
「リジェネにそんなものは無い」
「某のところの祈りは確実に違いますね」
「ふぁ……」
「パテラスの演ってた曲は?」
「「それだ」」
ゼノビアとココノエが同時に言う。ハスキーボイスと渋い声が良く合ってる。うん、綺麗。
さて、当のパテラスはというと
「断固拒否する」
苦虫を噛み潰したような顔で、吐き捨てるように言う。
「どんな曲なのですか?」
バインディアがゼノビアに問う。元とはいえ育て親なのに、子に敬語か……なんか寂しいな。
「曲名は知らない。見たことがない笛で演っていたが」
「見たことがない笛……ああ、なるほど」
バインディアが合点が言ったとばかりにパテラスを見る。
慈愛の微笑みでは無く、小悪魔的な笑みを浮かべていた。
「なんて楽器なんだ?」
とりあえず、バインディアに聞く。
ハーモニカじゃないのか?
「名前はありませんわね。あえて名付けるなら、"祈り笛"が良い思いますわ」
また、大層な名前だな。
「おい、何に対する祈りだ。……あの楽器は、外で吹くと凍り付いちまって、口から離れなくなんだよ。だから却下だ」
パテラスがバインディアを睨み、理由を語る。バインディアは、誰が見ても分かる程に、心からニコニコと笑う。
そんな、一種の微笑ましさを感じていた時。
世界は闇に包まれた。
やあ諸君! ノーティアだ!
なんて雑な会話の切り上げ方だ作者!
だから独り身なんだぞ!
おっと、本編に関係なかったな。
さて、次回は暗闇の中での話だな。
じゃ、次回でな!




