α-031 流れ星
アンチコメ→作者のレベルが上がります
プロコメ→作者の創作意欲が上がります
評価、ブクマ→作者が一番喜びます
ストーリーのアドバイス→無視です
文章のアドバイス→ありがたいです
「よう、どうだった?」
船に戻ると、パテラスが声を掛けてくる。切り出した氷を溶かしたようで、船内にいた3人は茶を飲んでいた。
俺は、置いてあった瓶をパテラスに手渡す。
「これだけ置いて、どこかに行ったよ」
パテラスは"珍しい"とだけ言って、瓶の中身のにおいを嗅ぐ。
「獣油、にしては滑りが良いな。黄金油か?」
「使えるのか?」
「問題ねぇな。今日はもう暗い。明日、直して出発だな。……あぁそうだ。クラビス、お前の分だ」
そう言ってパテラスは、青白く光る液体の入ったコップを渡してくる。
「……何コレ?」
「水ランプに入れて作った、光る水だが?」
んー、なるほど? 害は無いのかな?
ふと、ゼノビアの飲んでいる茶を見ると、若干光っている。つまり、飲料水であると。そういう事だ。
「……いただきます」
飲んでみる。
……なんか、心が温まってく。
「その様子だと、大分精神が疲弊していたようだな」
ゼノビアが、茶を飲みながら目線だけをこちらに向ける。
「どういう事だ?」
「光る水は魔素を多量に含んでいてな。精神力を回復してくれる。クラビス、お前は腕を削がれ、シロが意識不明になるという重圧を受けた。その結果が、精神力の低下だ」
いまいち分からん。
「魔素と精神力になんの関係があるんだ?」
「そうだな……魔法の威力は放った者の魔力に依存する。魔力は、器だ。そして、精神力はその中身。厳密に言えば違うが、精神力とは魔素の事だ」
つまりゲームで例えると、MPの最大値が魔力。MPが精神力って事か。光る水は、さながら魔法の聖水か。
「ふぅん。因みに、精神力が低下するとどうなるんだ?」
「下向きの気持ちになって、最終的に壊れる。なくなれば、自殺する者が大半だ」
おっふ……思ったよりも深刻な問題じゃねぇか!
そんな隠しステータスは求めてないです。
「ん? でも俺、魔法使ってないぞ?」
「怪我をすると、精神力が下がる。腕を失えば……わかるな?」
なるほど。文字通り、死活問題だ。
「くぁ、あ……話は終わったか? 俺ぁ、寝る。早朝からエンジンの手入れするからな。見張りは任せた」
パテラスは壁に背をつけ、三角帽子を目深に被る。
すぐに、いびきをかき始めた。
「呑気なものだ……見張りは、どうする?」
ゼノビアが、呆れたように言う。
あ、そっか。この世界って、ほとんどの地が未開拓なのか。盗賊的な奴らもいるみたいだし。全員寝るわけにはいかないのか。
「俺がやるよ。寒い方が、腕の痛みが少ないんだ」
あと、メニューに増えてた項目とかチェックしたいし。
「……そうか。では、言葉に甘えるとしよう」
ゼノビアがそういうと、ココノエとニグリスも軽く頭を下げる。
俺は、閉めたばかりの扉を開き、寒空の下に身を晒す。
船の上に登り、腰を下ろす。
さて、メニューに気になる項目があったな。
俺は早速、メニューを開く。
元々あったのは、着替え、スキルパネル、アイテムボックス。そこに、図鑑という項目が追加されていた。
「図鑑? まぁ、開いてみるか……」
図鑑をタップすると、3つの項目が表示される。
モンスター、アイテム、古代遺物の3つだ。
なるほど、ほぼ役に立たない要素か。
モンスターの情報は役立つか?
俺はコンプ厨だが、本来の目的を達成した後のやり込みとして楽しむ方だ。よって、仕方なくチェックする。
「一応、チェックしないとな〜」
まぁ、内心ウッキウキだけど。
そして表示されるのは、リアルなモンスターの絵と情報。
例えば、"ツチクレオーク"
説明が長いのでまとめると、「ゴーレムの劣化品。知性が低い。単独行動。討伐すると土を得られる」
といった旨が書かれていた。
因みにだが、土は貴重である。大地は、万年氷とかいうメチャクチャ硬い氷だ。大陸があるかどうかすらわからない。
少なくとも、第一拠点は土の上に建っていなかった。
そして、気になるボタンが絵の左上に設置されている。
「戦闘……訓練?」
押してみる。訓練だから、まぁ、大丈夫だろう。
そう思っていると、いつの間にか白い空間に座っていた。
なぜか、来たことがある気がする。
目の前には、迷宮で戦ったツチクレオーク。
咄嗟に身構えるが、左手が無い事に舌打ちをする。
しかし、ツチクレオークが動く気配は無い。
「んん? いまいち分からんな……斬ってみるか」
そう、ひとりごちて近づく。すると、いきなり棍棒が振り下ろされて———
「っ……はあっ! はぁ、はぁ……生きてる。生きてる?」
気がつくと、元の場所に座っていた。
つまり、戦闘訓練のボタンを押すと別の場所に飛ばされ、そこで死ぬと戻れるという事だろう。
「利用価値は……どうだろう。倒して、素材とか手に入るなら良いけど」
何もないんだったら、ただのトレーニング施設みたいな感じになりそう。
……まぁ、いいや。スキルパネルでも見よ。
メニューからスキルパネルを開くと、新しいスキルが2つ増えていた。
"回転斬り"迷宮で覚えたヤツか。これ、技の部類じゃないのか? それとも技=とくぎみたいな方式で、スキル=出来る事なのか?
"黒色技巧"……なんで増えてる。他の魔法とか増えてないのに、よくわからんヤツが増えてる。
説明を見るに、影を通して物を移動させる効果があるらしい。つまり、ワープポータルを作り出せる……魔法? 技? ってことか。
「パテラスのいない方向から弾が出てきたのって、コレを使ったからか」
確かに、仕事がら盗聴とかをするって酒場で言ってたな。
……極めようかな。いや、シロとかにバレたらヤバそう。こんな考えを持ってたら、また怒られる……現実逃避しなきゃ。
ぼんやりとしながら、時間が過ぎて行く。
視界の端に、流れ星が見えた。
俺、何してんだろ。転生して、仲間が出来て……今は、腕を失ってる。武器は強い。でも、強すぎる。
短剣を抜き、じっくりと見る。星空を映して、神秘性が増していた。
「クラビス、交代だ」
どうやら、いつの間にか時間が過ぎていたらしい。
ゼノビアが交代に来た。
「ん、あぁ……よっ、と」
俺は船の上から飛び降りる。
万年氷は、よくある氷と違って滑る事は無い。じゃなきゃ、俺は飛び降りない。
「何も無かったか?」
ゼノビアが聞いてくる。何か話したい事でもあるのだろうか。
「流れ星を見つけた。後は、特に無い」
「流れ星か……何か願ったか?」
……コッチにも、そういう文化があったのか。
「いや」
「……そうか」
「じゃ、俺は戻るよ」
「ああ。良い夢を」
おやすみじゃないのか。思えば、俺はこの世界に対して無知すぎる。だから、決意として返そう。
「良い夢を」
やあ諸君! ノーティアだ!
今回、言うことは特に無い!
という事で、次回は戦闘回だ!
じゃ、次回でな!




