表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺が世界を救うまでの物語  作者: 椎尾光弥
第一拠点 始まる物語
28/56

α-028 氷原に散るは英霊か

アンチコメ→作者のレベルが上がります

プロコメ→作者の創作意欲が上がります

評価、ブクマ→作者が一番喜びます


ストーリーのアドバイス→無視です

文章のアドバイス→ありがたいです

 薄暗い部屋。そこにあった連絡船こと脱出船は、傷一つ無い、完璧な状態で鎮座していた。

 全長6mほどのシルエットが、天井のランタンの光で浮かび上がる。ちょっとしたクルーザー程度の大きさだった。

 部屋には4人の男達の声が響いていた。


「早く乗り込め! 運転は誰ができる!?」


「某は出来ぬ。故に、障壁を張ろう。赤吹雪が近づいている」


「おいおい、俺は言わずもがな、シロとゼノビアは気絶。パテラス、あんたが聞くって事はあんたも出来ないんだろ? そこの、ニグリス……さんが都合よく運転出来るとでも言うのか!?」


「あっあのー」


「あーあーあー、聞こえねぇなあ! こういうもんはよ、赤いボタンを押しゃあいんだよ!」


「ぬぅ……足場が不安定だな」


「おい、メチャクチャに触るな! だいたいこの整備室か何かから出なきゃだろ! っ痛つつ……」


「あの!」


「「何だ!」」


「自分、運転できます」


 ◇  ◇  ◇


 爆煙と魔法、暴力と理不尽に支配された戦場。毒槍の刺さった怪物が咆哮を上げる。愚かにも立ち向かった勇者は蹂躙され、その身を貪られる。既に怪物の傀儡に堕ちてしまっていた。それはもはや、在りし日の栄光は見る影もなく、只々巨大な何かへと成り下がっていた。


 赤い雪が舞う中、1つの船が巨大な何かから飛び出した。

 船は雪煙を立て、西へ西へと向かう———




 外は、酷い有様だった。月食は、バイ・テリートスとその配下の生物艦隊に取り憑かれ、黄色の触手で包まれていくところだった。


「「「「………………」」」」


 俺達は、船の中から敬礼をする。


「また1つ、氷原に墓標が増えたな……」


 パテラスがボソリと呟き、狭い床に腰を下ろす。


「英霊に」


 また、パテラスが一言だけ呟くと、ハーモニカらしき物を吹き始める。

 それは、どこかで聞いたことのある、この世界には似つかわしくない曲だった。ほとんど聞き取れない歌詞だったが、確かに、小さい頃に歌った歌だった。題名は思い出せない。

 ただ、赤吹雪の景色と妙に合っていた。


 演奏を終えると、パテラスは寝てしまった。



「痛つつ……痛みがぶり返してきた。回復薬とか無いか?」


「……止血出来る程度の物しかないな」


「それでいい……悪いな、ココノエ……さん」


「ココノエで良い。某は貴方に付いて行く事にしたのでな」


「そうか……ゼノビアは、いいのか?」


 俺は、副操縦席に座らされたゼノビアを横目で見ながら、ココノエに聞く。


「恩義は、ある。だが、裏切るような真似をした。」


「付いて行かせて貰え無くなりそうだから、俺に付いて来る、と?」


「意地の悪い言い方だな……まぁ、それもそうか。これは、某の、その……何だ」


「業?」


「……それだ。某の業だ。……恐らく隊長は、起きたら即座にヤツを追うだろう」


「この極寒の中、それも夜になりそうな時に?」


「そういう人だ。故に、某は彼女を止める事で、恩を返した事にする」


「そうか……」


 ココノエは、ゼノビアを見る。その前にある窓からは、憎いくらいに美しい夕日が見えていた。



 キュルキュルという音と共に、船が失速を始める。


「? おい、若ぇの、どうした」


「……エンジンが止まりました」


「はぁ? じゃ、なんだ、こっから徒歩で行けと?」


「修理出来るならしますけど……それ以前に、エンジンが止まったんで、暖をとらなきゃ凍え死にますね」


 あ、そっか。フブキ号もそうだったけど、この世界の船の暖房って、エンジンの熱を使ってるのか。


「……こん中で、赫色魔法使えるヤツ、いるか?」


「一応、シロが使えるけど……」


 シロは気を失ったまま、眠り続けている。顔色も悪いままだ。


「はぁ……しゃーねぇ。船を調べろ、何かあるだろ」


 パテラスの声で、俺含め4人が狭い船の中を漁り始める。

 俺は、痛みと眩暈が治らず、喋るのもおっくうになっていたため、アナライズを駆使して探す事にした。


 装甲、イス、断熱材、蒸気式魔導エンジン……素材と機関しか引っかからねぇ……

 と、イスの下に取手のようなものが……

 イスをどかし、取手を引くと、蓋付きの鍋が入っていた。鍋の蓋を開けると、中には携帯食糧が8つと、小さな瓶のような物、黒いナイフのような物が入っていた。


「パテラス、これは?」


「ん? どれどれ……携帯食糧8に、水ランプ、それとアイスカッターか。」


 アイスカッターはそのまんまだとは思うけど……


「水ランプ?」


「大量に見つかる古代の道具……らしき物だ。詳しいことは知らん。まぁ、浄水装置だ。できる水が光るがな。あんまし使いたくは無ぇ」


 えぇ……大丈夫なのか? 光る水って。身体に毒そう……


「とりあえず、氷を切って来ればいいか?」


「頼めるか? 俺はエンジンを見てくる。若ぇの、外出るぞ」



 日も落ち、既に幾千の星々が輝く空の下、俺は地面にナイフを突き立てる。アイスカッターの名は伊達じゃなく、バターのように氷が斬れる。


 ちょっとアナライズしてみよ……


《吸魔のナイフ:魔力を吸い取り、大気中に放出する。現在は万年氷の切り出しに使われる》


《万年氷:光る水が凍った超硬質の氷。多量の魔素を含み、魔素がなくなると液化する。形状記憶力を持つ》


 ……一緒に地面の氷までアナライズされたが、思った以上にヤバい物って事がわかった。


 この地面の氷、魔素を吸い取ると液化するって……この世界の船底には、魔素を吸い取る装置でもついてるのか。

 まぁ、それなら氷の上を走る理由も解けるけど。


 氷を切り出し終わり、パテラス達の方を見る。

 パテラスとニグリスは、船の後方でエンジンを見ていた。


「パテラス、氷は切り終わったぞー。そっちは?」


「あー、油が漏れてる。熱が溜まって、部品が溶けたんだな……油と、パテさえあれば直る」


 つまり、都合よく油が手に入り、なおかつ穴を塞ぐパテのような物があれば良い、と。無理じゃん。


「あ、パテは銅貨があるんで何とかできます。ので、今やりますね」


 ナイスニグリス! あ、獣脂とかから油が取れるんじや……アイスワームから取れないかな?


「んじゃ、赫魔石をいただいてくかね。1夜は越せるだろ」


 パテラスが、エンジンから赤い結晶を引き抜きながら言う。


「そういえば、パテラスさん達は、寒く無いんですか? 自分は、もう、中に入りたいんですけど」


 ああ、ニグリスの口数が少なかったのはそういう事か。

 俺は女神に肉体改造されてるから特に寒くないけど……パテラスは寒く無いのかな?


「俺は、腕輪に加えて、この外套と帽子があるからな」


 あれ、パテラスの着てる物って何か特別な物なのか? そういえば、迷宮で会ったツチクレの攻撃を痛がる程度だったし……


「クラビスさんは?」


「特には」


 今気づいたけど、俺、腕輪付けて無かったな。リタリアに貰ったはいいけど、アイテムボックスにしまいっぱなしだったな! ……後で付けとこ。


 そんなこんなで船に入ると、重苦しい空気が充満していた。


 あ、ゼノビアが起きてる。

 やあ諸君! ノーティアだ!

 今日も今日とて、内容が暗いな!

 作者に喝を入れるのが遅かったか……


 さて、次回はとある爺さんが出てくるぞ!

 じゃ、次回でな!


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ