α-026 言わぬが華
アンチコメ→作者のレベルが上がります
プロコメ→作者の創作意欲が上がります
評価、ブクマ→作者が一番喜びます
ストーリーのアドバイス→無視です
文章のアドバイス→ありがたいです
「どうした、混乱してるみてぇじゃねぇか」
「パテラス……」
俺は傭兵達が部屋から出て行くのを見送り、部屋にはパテラスとシロだけが残っていた。
「一杯食わされたんだよ。新入りへの洗礼みたいなもんだ。確かにバイ・テリートスの背中にゃぁ寄生生物がいるが、あいつらの繁殖方法は自己分裂だぜ?」
「だとしたら凄え演技力だったけど……」
あれが芝居には思えないけどなぁ……
「ふん……嬢ちゃんは? どう思う? ……って寝てたか」
机に突っ伏していたシロはゆっくりと立ち上がり、目を擦りながら応える。
「ふぁ……傭兵の皆さんが作り話だと信じ込んでいるだけという可能性も。……今度クロに頼んでみましょうか?」
「フラガラハか? ……はぁ、俺が悪かったよ。……クラビス、周りの嘘を本人が発かないってんなら、そりゃあ、嘘でも本当なんだよ」
それだけ言って、パテラスは部屋を出て行った。
結局、どっちなのかわからなかったなぁ。
「ふぁ……さて、発艦しましたし、私は暇なので見張り台に行きますが……クラビス、あなたはどうします?」
そういや話の途中で発艦してるんだよなぁ……見送りとかあったのかなぁ……
「いや、ゼノビアでも探しにぶらつくよ。この艦の探索も終わってないしな」
「そうですか。……ディナーは作戦メニューは指令」
シロがボソリと呟く。何の文脈も無かったのもあるが、俺は大いに困惑した。
「え?」
「若い傭兵さんの独り言ですよ。どういう意味でしょうね」
そう言いながらシロは杖を取り出すと、瞬間移動で消えてしまった。
ディナー……メニュー……食堂に向かってみるか。ゲームとかなら暗号かパスコードが手に入るけど……はてさて現実は……
食堂直ぐに見つかった。廊下の壁に取り付けられた地図の通りに歩く事10数歩。むしろ隣と言ったほうがわかりやすいか。食堂に入ると、左の掲示板にメニューが貼り付けられ、その中に「吹雪隊特別ディナーメニュー」と書かれた紙を見つけた。
「えーっと? 担当シェフ:バイテによる今日のメインは子羊のウェルダン。ヴィーノム・ラルーブルムを片手に召し上がれ。セムは早めに盛って下さい……」
なるほどわからん。まず、ヴィーノム・ラルーブルムってなんだ。というかウェルダンにするなら子羊の必要性が皆無なのだが? そもそも極寒なんだから寄生虫どころか細菌の心配もないだろ。……腹痛毒でも食わせてるのか?
セムを早めに盛れ。何の為に? まーじで意味がわからん。
そんな俺の横に来るは救世主パテラス。
「……ふん、子羊のウェルダン、ね。ご丁寧にラルーブルムの付け足しもありやがる」
「なあ、このメニューって何か意味あんのか?」
「ん? ……あぁ、そのまま読み取ると、"バイ・テリートスにラムして丸焼けになれ。高確率で血だらけになる。早い船を使え"だな。要は"敵に突っ込んで死ね"だとよ」
はぁ? 最終任務が特攻だぁ? 何この組織、腐ってんの?
「冗談だろ?」
「だと良いがな。……まぁ、暗号にしては簡単すぎるし、作戦としちゃぁ杜撰すぎる。誰かさんを適当な理由で葬り去りたいのかもな」
「だとしたら……酷い話だ」
「全くだ。……だから俺はサバイバーなんだがな」
◇ ◇ ◇
ゼノビアの昔話から半日経った夕刻、俺達は第一格納庫にある、例の快速船の甲板上に集まっていた。格納庫内は薄暗く、5mも離れれば視認が難しいほどだ。天井の梁に付いた非常灯代わりのランタンが唯一の光源だからだろう。集まったのは隊員だけで、パテラスの姿は無い。食堂を出た後、最年長の傭兵やシロと話しをしに行くのを見かけたが、それ以降めっきりだ。
「ふむ……不法侵入者を除けば、これで全員か。接敵まで時間が無い。作戦の最終確認だが……」
突如として傭兵達がゼノビアに襲い掛かった!
「悪いな隊長! お寝んねしててくれ!」
3人の年長者が短剣や長剣で切り掛かり、2人の魔術師が鎖魔法でゼノビアを拘束。残った若い傭兵が、ゼノビアから来るかもしれない反撃に備え、2人の魔術師を守るように盾を構える。
傭兵6人の見事なコンビネーション。もはや殺す気だとも思えるような早技だった……が
「ハァ……全く、そんな事だろうと思ったぞ」
何が起こったか分からなかった。拘束されていたはずのゼノビアが消え、代わりに6人の傭兵が甲板に倒れ伏していた。そして、俺の隣にそのゼノビアが居る。
は? え?
「ぐっ……クロノスタシスか……俺達に使っていただけるとは……光栄だねぇ」
最年長の傭兵が、息も絶え絶えといった様子で立ち上がる。
「む、失敗したか。力加減がわからんな」
「ハハ……手加減してもらえるとはな……反逆罪で殺す事も出来たはずだか?」
「……理由の察しが付くのでな。ココノエが襲ってこなかったのは意外だったが」
話題のココノエは、無言で傭兵5人の介抱を始めるためか、ゼノビアの正面の位置へと移動していた。
『なあ、シロ、これって』
『蚊帳の外、ですね。これは私も予定外です。傍観しましょう』
念話でシロが何か知らないか聞いてみたが、知らないようだ。……会話から推測するしかないか。
「……誘ったんだがな、"恩人である隊長にお供する"だとよ。……なぁ、隊長、俺達は本当に感謝してんだ。サバイバーでもリジェネでもない俺達を拾ってくれた事によ。その指令書に書いてあんだろ? "死ね"ってよ。」
「端的に言えばな」
『クラビス、ゆっくりと気取られないように3歩下がって下さい』
『? いいけど』
シロが何かに気づいたのか、念話で俺に下がるよう指示する。俺は言われた通りに3歩下がった。ゼノビアは、最年長の傭兵との会話のせいか、俺が下がった事に気づいていない様子だった。
「なあ、妹さんがいるんだろ? 考え直してくれよ」
「それは……いや、兵になった時に話はついている。妹は、リタリアはもう1人でやっていける年だ。私は……この船に積まれたヘラクレスと共に、バイ・テリートスへと一矢報いる!」
「……考えは変わらねえか」
「ああ。他者からすれば到底意味の無い事だが、私が私の怒りで燃え尽きる前にっ……!?」
ゼノビアが言い切る前に、ココノエから強烈な閃光がはなたれた! ココノエの盾が反射板の役割を果たし、狭い範囲の対象の視界に効果的なダメージを与えた。薄暗い場所なだけに、開いた瞳孔に入った光が網膜に刺すような痛みを与える。
ゼノビアは一瞬だけ怯み、勘と音だけで防御に徹する……が、完全な死角、俺の方向から飛んできた何かが腕に突き刺さる。
「ぐぅっ……このくら……い……でっ……」
ゼノビアは悔しそうに倒れ伏した。
やあ諸君! ノーティアだ!
さて、作り話だったようだな! こんなのに2日掛けた作者は何を考えているんだか……私には理解できん。
ん? タイトルから察せるだって?
……さて、次回の話をするか。
次回は、月食から逃げ出すらしいぞ!
敵前逃亡だ!




