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俺が世界を救うまでの物語  作者: 椎尾光弥
第一拠点 始まる物語
23/56

α-023 ライカンスロープ

アンチコメ→作者のレベルが上がります

プロコメ→作者の創作意欲が上がります

評価、ブクマ→作者が一番喜びます


ストーリーのアドバイス→無視です

文章のアドバイス→ありがたいです

「そう言えば、ゼノビアがリタリアの新兵器が採用されたって言ってたけど……どんなのなんだ?」


 ふと、ゼノビアの言っていた事を思い出し、リタリアに聞く。単純に気になるのだ、心はいつまでも少年でいたいから。

 リタリアは嬉しそうに目を輝かせ、興奮した様子で話す。


「やっぱ気になるッスか!? 仕方ないッスね〜月食の艦長直々に"一日でどんな傷も再生してしまうあの怪物に、恒久的に傷を負わせられる兵器が欲しい"って頼まれたんスよ!


 で、開発した兵器、その名もヘラクレス! ウチが使ってるパイルバンパーから着想を得て制作したッス! 


 赫魔石と蒼魔石を反応させて爆発させて、翠魔石とホヤウカムイの魔石を散りばめた特注の巨大槍を、あのクソ鳥に突き刺すんス! 


 あぁ! 苦痛に身を捩らせて、絶叫して、無様に硬い氷の上に堕ちて、のたうち回るクソ鳥の姿が目に浮かぶッス! もっと! もっと苦しんで! 


 その血で白い雪と氷を赤く、赤く赤く赤く染め上げて! 真綿で首を絞めるようにジワジワジワジワジワジワと!


 はぁ……想像するだけで子宮が疼くッス……できるなら血の海のなかで永遠にクソ鳥の頭にバンパーを打ち込んで、そのたびに発する金切り声と断末魔を聞きたいッス


 ……温かい血が冷たく凍りついていくのも愛おしいッス……羽が濡れて飛べなくなって、地でバタバタと無様にもがくのも、そこに無数の砲弾と魔法が撃ち込まれて、


 軽い音を立てて骨が折れ血肉の爆ぜる音も、炎に包まれて可愛らしいダンスを披露するのも、その全てが! 妄想が! 現実になると思ったのに! 


 何で! このタイミングで! バイ・テリートスが出てくるんスか! ウチは! あの可愛いくて狂おしいほどに愛おしいルナ・システカトルの心臓を! 


 計算に計算を重ねて設計して! 出来るだけ長く苦しむように調整した毒魔石を選び抜いた! ウチの槍で貫いて欲しかったのに! 終わらない苦しみに悶える様子が見たかったのに! 最高の拷問だと思ったのに! 許すまじッス! バイ・テリートス!」


 ……うわぁ。完全にヤベーヤツじゃん。途中から持ってた角材を叩き付け始めるし……目とか完全にいっちゃってるし。リタリアってあれか、タナトフィリアか。


 ……いや、あれは自分も含めた生物が死ぬ瞬間とか、死んでいく様子や心境に性的興奮を覚える人だっけ。まぁ、なんでも良い。とりあえず逃げたい。獣化した状態でいられるのが余計怖い。好奇心は猫をも殺すって本当だな。


「あー、リタリア? じゃあ、そろそろ俺達行くから……」


 俺は一刻も早くこの場から立ち去りたい一心で、シロの手を引く。


「待つッス」


 リタリアが俺の肩に手を置く。硬く鋭そうな爪が首筋に触れていた。


「ひっ……」


「これを使って! ヘラクレスを突き刺したバイ・テリートスを! 録画してきて欲しいッス! ウチは! ここに残らなきゃッスから!」


 まだ興奮冷め止まぬリタリアが、片手に収まるサイズの水晶玉を俺に渡してくる。


「これは?」


「記録の水晶ッス! 魔力を流せば録画出来るッスから、これに悶える苦しむ……コホン、ヘラクレスが突き刺さったバイ・テリートスの様子を撮ってきて欲しいッス」


 そんなんでこの場から離れられるなら万々歳なので、俺は快く承諾する。この際リタイアの性癖はどうでもいい。


「分かった。……シロ、行くぞ」


「ふぁ……終わりましたか。鐘の音がうるさくてよく眠れませんでした……」


 シロさん、さてはリタイアと話してる間、寝てましたね?

 乗艦口に向かうと、外套を着たパテラスが待っていた。


「よう、遅かったな。吹雪隊のやつらはとっくに乗り込んじまったぜ?」


「ああ、悪い。ちょっと薮をつついたら狂人……いや、狂狼が出たんでな」


「そ、そうか。まぁ、とりあえず乗れよ」


 何かを察したらしく、俺の振り向きたく無い方向を遠い目をして見つめている。


 艦内は特に変わりなく、俺達は例の宴会部屋に向かった。あの部屋は吹雪隊に割り当てられてるから、多分そこにいるだろうという判断だ。まあ、案の定居たのだが。


「む、来たか。……なぜ部外者が共に居るかは置いておこう」


 ゼノビアはパテラスを一瞥すると、俺とシロに座るよう促す。


「おっ、助かるよ。なんせ無断乗艦だからな」


 パテラスは笑いながら扉を閉め、壁に寄りかかってからズルズルと座りこみ、武器の手入れを始める。ゼノビアは溜息を吐くとゆるゆると首を振り、カプルスをすする。


 ……おいこらオッサン。


「はぁ……まあいい。前にも言ったが、これが最終任務だ。……が、発艦まで時間があるし、今回の作戦は会敵まで秘密らしい。ので、少し私の昔話でも聞いてもらおうと思う」


「隊長の昔話か、そう言えば聞いたこと無かったな。副隊長、アンタは?」


 禿頭の傭兵がココノエに聞くが、首を振るばかり。

 雰囲気的に惚気話では無さそうだし、暇だからなどと言って部屋に居る皆々。


 興味深々の態度を押し殺して、ゼノビアの話に耳を傾ける。それは、あまりにも重く、残虐で、聞くに耐えない話だった。





 

 

 

 やあ諸君! ノーティアだ!

 ……今回は、予告通り狂ったリタリアが見られたな!


 それと、次回から10話程ダークな話になるらしい。

 だから、まぁ、覚悟してくれ。

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