α-020 素晴らしき目覚まし
アンチコメ→作者のレベルが上がります
プロコメ→作者の創作意欲が上がります
評価、ブクマ→作者が一番喜びます
ストーリーのアドバイス→無視です
文章のアドバイス→ありがたいです
『ゴパンッ』
そんな音がして目が覚める。何か悪い夢を見ていたようだ。
「ふぁ……目が覚めましたか」
隣で眠たげな声がする。見なくともわかる、シロだ。
「……おっ、おう、おはよう。っ……後ろの、その物体は?」
悲鳴を呑み込み、隣のベッドの上にある、先っぽの無くなった三角帽子が乗せられた肉塊の事を聞く。
「ふふっ……知りたいですか? 本当に?」
「遠慮しときます」
なんか、キャラ違いませんかねぇ、シロさん。
「ふぁ……さて……言いたい事は色々ありますが……その前に。どうぞー」
シロがにこやかに微笑みながら、右手にみえるドアに向かって声を掛かる。
「……どうぞ」
顔色の悪いパテラスが、朝食を持って部屋に入って来た。
生きとったんか我! てっきり、シロに肉にされたのかと……
「……私がそんな事するわけ無いじゃないですか。とりあえず、食べて下さい」
シロが心を読んだかのように応える。
やだなー、怖いなー。
献立は、バケットと肉厚ベーコンらしき物、それと何かの炒め物。アナライズしても毒とかは確認出来ない。
あれ、炒め物だけ調理者が確認できる。えっと……クロ? ああ、シロの妹か。……あー、マズ飯パターンか。
「……いただきます」
とりあえず、バケットを食う。パンに何か仕込む事はほぼない。よって安全。
……うん、パンだ。ただひたすらに硬くて味のしない、いたって普通のパンだ。
次に、ベーコンを食おうとして、炒め物を食う。口直しに残ったパンだけじゃ足りないだろうから、ベーコンを残す。
……あれ? 別に不味くない。芋の炒め物かな? ちょっとパサつくけど、他に気になる事も無い。味は薄いけど、エスニックな香りが強いから、気にならない。
そして、ベーコンを食う。これが滅茶苦茶辛いとかかな?
……うん、ベーコンだ。燻製の効きすぎたベーコン。味付けしてないベーコンって感じだ。
「……ご馳走様でした」
うーん、別に不味くも無かったし、強いて言うなら香りが強くて味がしなかった……ん? 味?
「気づきましたか。そう! 味覚を一時的に無くしました! ……代わりに嗅覚を良くしましたが」
地味! もっと辛い体罰やら何やらかと思ったら、味覚が無くなっただけ!? しかも一時的!
「えっ……これだけ?」
「ええ。その状態で1日過ごしてもらいます。パテラス様も同様です。ラビリンスラット、とても美味しそうでしたね? 羨ましいかったです」
逆恨みじゃねーか! え? なんでパテラス辛そうだったの? ま、まぁ、刻まれて回復して、また刻んでみたいな感じじゃなくて良かったけど……
「あ、そう。それで……ここはどこだ?」
「3日に増やしておきますね。……ここはリタイア工務店の2階です。来たのは一昨日ですね。あと、早朝なのでお静かに」
なんか増やされた!? ま、まぁ、とにかく場所と時間が分かったから良しとしよう。リタイア工務店かぁ、ゼノビアの妹が切り盛りしている、北区の店だったか。そういや、クロが作った朝食があったな。それでか。
「クラビスさーん? 起きたッスか?」
リタイアが扉からひょこっと顔を出す。……血飛沫の付いた顔で。
……『ゴパンッ』て音、聞き間違いじゃなかったなぁ。パテラスの顔色が悪かったのはこれのせいか?
「……ああ。その、なんだ、顔を洗って来ては?」
「顔? ああ、これッスか。どうせまた汚れるからいいッス! ちょっとストレス発散に付き合ってもらってたとこッスから!」
「へ、へぇ」
嫌な予感しかしないが、まぁ、ご愁傷様です誰かさん。
「ふぁ……では私は、これを直して寝ることにします。下でゆっくりお茶でもしていては?」
シロが三角帽を手に取りながらそう言うので、俺はリタリアの後ろに付いて階段を降りる。下では、クロとルナの2人が会話を弾ませていた。
「あ、じゃあウチは奥に居るッスから、何かあったら呼んで下さいッス!」
リタイアはそう言って店の奥の暗がりに消えていった。その後、声にならない悲鳴が聞こえたが、扉でも閉めたのか聞こえなくなった。
「それで……あれ……エインヘリャルは……破壊できそう?」
「その名で呼ば無いで下さいよ? 私には不可能です。アレは時間軸がタナトスに由来するので……やはりぶつけ合うしかありませんね」
「そう……それと……こっちは別行動だから……あまり干渉が無いように……」
2人の会話が聞こえて来た。
何か、聞いちゃいけないような内容だったけど、聞こえちゃったんだから仕方ないよね!
「あー、おはよう?」
俺は2人に声をかける。クロは気づいていたようだが、ルナはそうでは無かったようで、ビクッと肩を跳ねさせる。
「っ……どうも」
「……おはよう。……私の……料理……どう、だった?」
クロが途切れ途切れに聞いてくる。さっきの会話もポツポツと話す感じだったから、そういう話し方なのだろうか?
「それがな、味覚を奪われたんで分からんかった! だからまたの機会に作ってくれ」
多分、俺の罰も知ってるだろうし、これで美味しいなんて言ったら確実に嘘だってわかるからな。
「……そう」
少しの沈黙が訪れる。俺は何か話題が欲しくなって、周りを軽く見渡し、ソルが居ないことに気づく。
「えっと、ソルはどうした?」
ルナと居るはずのソルの姿が無い。ルナは俺の背後にチラリと視線を送ると、そのまま目を逸らす。視線の先には、リタイアの消えていった暗がりがあり、扉が見える。
……あぁ、なるほど。ストレス発散の手伝いね。
やあ諸君! ノーティアだ!
今回は、クラビスが怒られていたな!
作者の筆はなかなか進まなかったらしいが、私には関係ない。早く進め!
さて次回は……日常回だな。ほのぼのするか。
じゃあ、次回でな!




