α-002 目覚め
アンチコメ→作者が喜びます
プロコメ→作者の創作意欲が上がります
評価、ブクマ→作者が一番喜びます
ストーリーのアドバイス→無視です
文章のアドバイス→ありがたいです
暗い空間に、銀色の大きな円卓を挟むように、二つの光が浮いていた。一つは金色の光であり、もう一つは、何色かと聞かれれば銀色と答えるしか無いような、眩い白い光だった。
「この世界、どうしましょうか? 上司?」
円卓に映された景色を見ながら、無色の光がどこからともなく声を出す。
「うーん、再建したいんだけどなぁ……面倒だなぁ」
金色の光がふらふらと揺れながら応える。
「そんな事言ってるからこうなったんじゃないですか! この世界を消す事は出来ないのですから、どうにかして下さい! そもそも、上司の不手際であの龍が野放しになったんですよ!?」
銀の光が若干赤みを帯び、金色の光に怒鳴りつける。
「いや、あの龍はどこか他の場所から来たヤツだし、僕の責任じゃ無いし。それに、あの龍は強すぎて、僕の力では闇に縛り付けるのが限界だったんだよ」
「上司が役立たずなのは前から知ってます! ……はぁ、龍だけじゃなく、他の4柱も問題だと言うのに」
「ひどいなぁ」
金色の光はふらふらと揺れ続け、銀色の光はもはや真っ赤になっていた。
ふと金色の光が円卓に触れると、別の世界が映し出される。それを見ながら金色の光が声を発する。
「前に見つけたこの子、君の加護の適正があるんだよね」
円卓には、白いYシャツに身を包んだ人物がぼんやりと映る。
「話を逸らさないでくれます?」
「いや? 逸らしてないよ。この子をあの世界に送っちゃえば、うまい具合に再建してくれるんじゃないかと思って」
「え、こんな年齢の子を? 見た感じ最低限の筋力しか無さそうだし、適正があるだけじゃ無理ですよ」
銀色の光は呆れたようにしながら、元の場所に戻る。
「加護の適正があるって事は、君が彼を祝福できるって事だ。そうだろ?」
金色の光が楽しそうに言う。銀色の光は静かに応える。
「そうですけど……そのためには、ここに連れて来なきゃですよ? どうするんです?」
「トラックだっけ? あれで霊魂だけ弾き出して連れて来れば良いよ」
金色の光は変わらずふわふわと揺れながら言う。
「それを、私にやれと? 悪魔ですか?」
「創造神だが?」
「私は女神ですよ? できるわけが……」
「じゃあ、あの世界は君がどうにかs……」
「やりましょう」
銀色の光は食い気味に言うと、円卓に触れて消えてしまった。金色の光は相変わらずゆらゆらと揺れながら消えていった。
◇ ◇ ◇
暗い空間で目が覚める。思い出すのは、何か大きな衝撃を受けた事。頭蓋が割れ、背骨が軋み、骨がひしゃげ、肉が爆ぜ、身体中に重たい衝撃が突き抜ける感覚。大きく身震いをすると、少し冷静になった。
……彼女欲しかったなぁ。誰か、俺の死を悲しんでくれる人がいるだろうか? それにしても……
「……此処は何処だ?」
そう声に出した瞬間、周りが明るくなった。白と金を基調とした、神々しい雰囲気のある円形の部屋。中央には円卓が鎮座し、俺はその中央に浮いていた。
……この場所に似つかわしく無い、白Yシャツと学生ズボンの姿で。血が着いてないのが不思議だ。
「おはようございます」
突如として背後から声がかかる。
「……!!!」
反射的に振り向くと、そこには20ぐらいに見える、整った顔をした、神々しい女性が居た。髪は透明としか言い表せない色で、黄色がかかったグレーの目が特徴的だ。
「あぁ、警戒しないで下さい。突然の事で驚いていると思いますが、貴方に危害は加えたりすることは無いので」
静かに、透き通るような声で、言う。
「俺は、死んでるのか? 既に?」
一応、確認する。
「ええ。それはもう、直視できないような死に方で」
予想通りの答えが返ってくる。しかも、なぜかすんなりとそれを受け入れられた。
「じゃあ、此処は? 天国か?」
まぁ、地獄でないならどこでも構わないが。
というか、これってもしかして……
「いいえ? 此処は、あなた方の言う神の宮殿。天国ではありません」
なんとなく察した。これ、異世界転生でよく見るヤツだ。割とそういうのは見てたので、薄々感づいてた。
「で? なんでそんな所に俺がいるわけ?」
俺の両親は事故と病で他界してるし、母の延命に両親の保険金を全て使ってしまったから貧乏だ。
どちらかと言えば不幸だし? 哀れに思った神様が、異世界で生き返らせてのんびりチートなセカンドライフを送らせてくれるのか?
「それはだね、神奈月 光クン、君にしかできない仕事があるからだよ」
不意に、背後から声がする。それと同時に、のんびりセカンドライフでは無さそうだとも思う。
振り向いても誰もおらず、前を向き直すと、少し長めの金髪で、整った顔と神々しい雰囲気を纏った男がいた。
「……あんたは?」
冷静に、そう、冷静聞く。
ここは神の宮殿なんだ! 声が聞こえた方向に振り向いて、誰もいなくても普通なんだ!
「あぁ、わかりやすく言うと、創造神かな? あと、この子は……」
「申し遅れました。女神です」
軽い感じで応えてくる、創造神と女神。嘆息をして、一息に聞く。
「で、創造神?様。なんで俺の名前を知ってるんだ? あと、仕事って?」
創造神とやらは、ニコニコとしながら答える。
「名前を知ってるのは、神様だからさ。仕事は、彼女が説明するよ」
……部下に仕事を丸投げする上司って臭いがした。
やあ諸君! 前回紹介された者だ!
名前はノーティア、女研究者だ!
さて、今回は「彼」こと「神無月 光」が出てきたな! ……まぁ、これ以降その名前は出てこないだろうが。
二話目で主人公の名前が出るとか、作者は何を考えているんだろうな? ん? なんだ? これを読めば良いのか? えーっと……
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……次回は説明会か。