α-019 蛇より怖いモノ
アンチコメ→作者のレベルが上がります
プロコメ→作者の創作意欲が上がります
評価、ブクマ→作者が一番喜びます
ストーリーのアドバイス→無視です
文章のアドバイス→ありがたいです
ホヤウカムイが威嚇姿勢を取る。体がぬらぬらと分泌液に覆われていき、辺りに悪臭が立ち込める。
初めに仕掛けたのは、パテラスだ。3本の光の条が、続け様に毒蛇の頭に命中する……が、全て弾かれたように後ろへと飛んでいく。
「クッソ、受け流しか! 気ぃつけろ! ありゃあホヤウカムイ、触れたら溶ける毒蛇だ!」
おお、凄い! あれだけで敵の種類を断定した。
「よくわかるな」
「無駄に歳食っちゃいねぇよ」
毒蛇が吐いた毒をバックステップで躱しつつ話しかける。
なんか、歴戦の兵って感じがする。いいなぁ、カッコいい。重要な情報を持ってるパターンかな?
そんな会話をしている数秒の内に、ソルがホヤウカムイの尖った口先で頭から切り裂かれる。そのまま体の分泌液に触れ、グジュグジュと音を立てて、床の黒いシミになる。
「はぁ……今回は敵が見えてるのに……学習しないわね」
ルナがぼやきながら、ソルを溶かした勢いのまま飛びかかってきたホヤウカムイを、鎌で往なして躱す。
「あぁぁぁあ!! 痛ってえぇええ! 臭っせぇええ!」
あ、生き返った。
「アンタねぇ……ただの鉄剣と皮盾で耐えられるわけないでしょ? 馬鹿なの?」
そのままギャーギャーと喧嘩し始める。
コイツら随分と余裕だな。
「っと……おい、クラビス」
ホヤウカムイがとぐろを巻き、鎌首をもたげて、毒を連続で吐く。さながら難攻不落の要塞のようだ……が。
「伏せろ!」
その言葉に、喧嘩をしていたソルとルナも顔色を変えて床に伏せ、パテラスは帽子を浮かす勢いで倒れ込む。
俺は身体を左に大きく捻り、元に戻す勢いで斬撃を放つ。回転斬りだ。不可視の刃が俺を中心に円形に広がる。
「フシュルアァァァァ!!!」
斬撃はとぐろを上下に分かち、蛇の断末魔を産む。
「やったか!?」
あっ……ソルさん……
「フシャアアア!」
切り離された頭部と少しの胴体が、近くにいたパテラスに飛びかかる。
まずい! 俺の短剣はパテラスとは逆方向、間に合うか……!?
「……! 丁度良い。やーっと俺が活躍出来そうだ」
パテラスの銃が大きな唸りを上げ、金色の光がヒビのように漏れ出す。刹那、音も立たず、辺りを金色に包み、輝く光の条がホヤウカムイの頭部に吸い込まれる。
後に残ったのは、轟音と熱風。ホヤウカムイは跡形もなく、そこには元から何も無かったかのようだった。
「うお……なんだ今の」
「トリスタンっつってな、聖光石に溜めた魔力を解放して放つ魔法弾だ。あと2回しか撃てん」
はー、とんでもねー威力。途中の敵もこれで片付けてくれれば……いや、通路であんなもん撃ったら俺達が巻き込まれるか。
「切り札って所か。……ん?」
ホヤウカムイが居た所に、光ものが落ちている。何だこれ。
《ホヤウカムイの水晶:ホヤウカムイの毒の源。魔力を込めると腐食毒に変換する》
ああ、ドロップ品か。随分と物騒な水晶だな。
「やったー! これで先に進める! ありがとな、兄貴とオッサン! あ、その水晶は護衛料ってことで!」
「あっこの……。本当にありがとうございました。代金は決めてませんでしたので、すみませんがそれで。では」
ソルとルナはそれだけ言って、いつの間にか現れた奥の扉に消えていった。
……えぇ、報酬これだけ?
「パテラス……」
「なんだ」
「俺達金稼ぎに来たんだよな」
「……ああ」
「これ、幾らぐらいになる?」
「危なくてギルドでも換金して貰えん。しまっとけ」
はい、タダ働きでした。ちくしょうめ。
「はぁ……。しっかし……強かったなぁ、ホヤウカムイ」
「ああ。ありゃ、5階層に居ていい強さじゃねぇ。1階層のツチクレもそうだが、パーティーでもカッパー以上じゃねぇと死ねる強さだ。……早めに帰るぞ。他にヤバイ気配を感じる。……あいつらは死なんだろうし」
カッパー……ミスリルの下か。冒険者ギルドは、確か16階級区分だったっけ。上から、レジェンド、オリハルコン、ヒヒイロカネ、アダマンタイト、プラチナ、ミスリル、カッパー、ウーツ、ゴールド、シルバー、ブロンズ、スチール、ブラス、スタノム、マラカイト、アイアンだったな。つまり、中堅以上の強さが無いと無理って事か。
「無事に帰れるか?」
「脱出のスクロールがあれば良かったんだが……来た道戻るしかねぇなぁ。幸い、気配は薄れたしな」
うげぇ、マジかよ。……いや、まてよ? シロに迎えに来てもらえたらしないか?
『シロー、聞こえるか?』
「……えぇ、よく聞こえますよ? クラビス」
シロの、透き通った綺麗な声が良く聞こえる。そう、まるで真横で囁かれているかのように……
「ひっ……」
「ん? どうしたクラビ……ス……」
ギギギと横を向くと、そこには笑みを讃えた夜モードのシロがいらっしゃった。
どうしてこちらにおられるのでしょうかねぇ。
「随分と楽しそうでしたね、迷宮探索。パートナーに、断りもなく、半日も」
なんだろう、殺意をひしひしと感じる。ホヤウカムイのほうが良いと思えるほどの。
「あの……シロさん? どうやってこちらに?」
「歩いて来ましたよ? 貴方達の後を付けて」
わぁ、全然気づかなかったze!
「じゃ、じゃあクラビス、俺は一足先に戻ってるよ!」
あっ……ずるい……
「何処に行くのですか? パテラス様」
「うおっ!?」
瞬間移動にしか見えない動きで、逃げるパテラスの退路を塞ぎ、ニッコリと微笑むシロ。パテラスは咄嗟に銃を構えるほど驚いたようだ。しかも、そのままトリスタンを放つほど。
辺りが光に包まれる……が、いつまで経っても轟音と熱波は巻き起こらない。
「危ないですね」
光が収まり、無傷のまま現れたシロが一言だけそう言うと、パテラスは倒れ伏した。
パテラスー!
俺の悲鳴は声になる事は無かった。
やあ諸君! ノーティアだ!
今回は、迷宮編の最終話だったな!
それ以外に感想は無いっ!
というわけで、次回はリタリア工務店での話だ!
じゃあな!




