α-014 握手と結成
アンチコメ→作者が喜びます
プロコメ→作者の創作意欲が上がります
評価、ブクマ→作者が一番喜びます
ストーリーのアドバイス→無視です
文章のアドバイス→ありがたいです
「よう、隊長。俺達に話ってなんですかい? 惚気は勘弁ですぜ?」
奥で待っていた7人の兵士の内、1人が冗談めかして言う。中年ぐらいの、禿頭のマッチョだ。
「残念だが、惚気話じゃない。隊の今後についてだ」
ゼノビアの言葉に、全員が真面目な表情に変わる。部屋の中は途端に静かになり、店の喧騒だけが響く。誰かが酔ってあばれているのだろうか。扉を閉めてしまったので、確認することはできない。
「前に話してくれた、解散の話ですか?」
ココノエが口を開き、ゼノビアが無言で頷く。一応、ココノエは副隊長らしいので相談はしていたのだろう。最初から真面目な表情だった。
「おいおい、そりゃ本当か? そうなったらココノエ以外の俺達や、新入りはどうするんだ? 俺達は元が傭兵だからなんとかなるかもしれんが……」
赤い髭を生やした男が言う。
へえ、ココノエ以外の6人は傭兵だつたのか。……あれ? じゃあ、吹雪隊の正規隊員ってゼノビアとココノエと俺達の4人だけなのか?
「お前達6人は他の隊に紹介してやる。それとクラビスらだが、元々こいつらが来たら解散する予定だったんだ」
「……シスター・バインディアの御告げ、ですか」
ゼノビアの言葉に、ココノエがしみじみと呟く。
……は? なんで? 俺達が来たら解散? バインディアって、ゼノビアとリタリアを育てた人だよな。御告げ? 意味がわからん。
「いや、神託だ。御告げなら外れる事もあったが、神託だけは必ず当たるからな。その通りにしなかった奴を幾人か見たが、確認できただけで幸運と言えるような、悲惨な最後になっていたな」
どうやら、高度な占い的なものかと思ったが、ガチもんらしい。まあ、神にも会ったし、なんなら隣にいるシロもその部類だし。
「それで、神託の内容は?」
さっきの禿頭の兵士がゼノビアに問いかける。ゼノビアは、1つ咳払いをして答える。
「赤空の日、其方の船に2つの外なる者現る。2つは其方と志を共にし、導く者なり。身を預けばその志は果たされん」
要は、"赤吹雪の日に2人の遭難者が現れるから、そいつらについて行けば夢が叶う"と。……胡散臭ぁ。
『シロ、神託って創造神がしてるのか?』
俺がシロに念話で聞いてみる。
『その限りではありませんが、バインディアさんが信仰しているのは創造神様だけなので、そういうことになりますね』
やっぱ創造神かー。一応、仲間集めのサポートにはなってるけど……なんだかなぁ。
「……その、志ってのは?」
禿頭の兵士がゼノビアに聞く。
まあ、怪物の討伐だろうな。リジェネレーターに所属してるのに、俺達について行けば夢が叶う事と言ったら。
「……死神獣が一柱、双角の破壊者バイ・テリートスの討伐だ」
なんか、物物しい名前が出てきたな。……そういや、怪物の名前も知らないや。
『シロ、そういえば俺達の倒さなきゃいけない怪物の名前ってなんだ?』
『月夜の死神ルナ・システカトル、双角の破壊者バイ・テリートス、砂漠の捕食者デザトマ・ラパクス、白昼の夢幻ソリ・ナナワツィンの神の名を冠する4柱です。まとめて死神獣と呼ばれています』
『……4体しか名前が出てないけど? あともう1体は?』
『この世界の住民にまだ発見されていない……いえ、正確には認識されていないか、概念又は現象に過ぎないので名前がないのです』
他は見つかっていると。それぞれの姿が気になるけど、遭遇してからの楽しみに取っておくか。
……そういや念話って思考加速状態みたいになるのな。念話してる間は時が止まったように人とか物とかが動かなくなるし。
「バイ・テリートス? それが志なら、なんで月食に所属してんだ? 担当は第二の"金剛"だろ?」
別の若い兵士が驚く。話からして"金剛"は、バイ・テリートスの討伐を担当している艦だろう。月食はルナ・システカトルの討伐担当らしい。今シロから聞いた。
「第一にはリタイアがいるし、何よりトラジドと出会ったからな」
ゼノビアが嬉しそうに応える。きっと兵士達は"惚気は無しって言っただろ"と思っただろう。それを避けるかのように、ココノエが喋り出す。
「あー、某もそろそろ他の地に渡って、兄者を探したいと思っていた所存。故に、ご両人について行こうと思っている」
「え、いいのか?」
知り合って間もないのに?
「某は元々、放浪の身でな。隊長に助けて貰った恩義と、兄者を探すついで入隊しのでな。
隊を解散するとなれば放浪するか、隊長についていくかの2択なのだ。それに、某よりも数段強いのでな」
ああ、ゼノビアにまだ恩を返しきれてないと思ってるのか。……まぁ、仲間が増えるに越した事はないか。
「それじゃあ、よろしくな!」
俺が手を差し出すと、ココノエがそれに応える。
よかった。差し出してから思ったけど、握手って文化はあるんだな。
が、ゼノビアや他の兵士は不思議な顔をしてそれを見る。
「それは……なんだ、仙人族の挨拶か何かか?」
え? 知らないっていうか、そういう文化がないの?
「古いものですがね、握手と言います。手に武器を持っていないことを証明する、まぁ"貴方を最大限に信頼します"と言う意味合いの挨拶です。……まさかクラビス、其処許が知っているとは」
ココノエがゼノビアの質問に答え、俺に流し目を送る。
「ま、まあな! 旅人だからな!」
そういうことにしとこう、うん。ちなみにだが、俺が転生者というのは伏せてある。
というのも、この世界には異世界や転生といった概念が存在しないらしく、翻訳も不可能なんだと。だから、突然聞いたことのない言語で話す変人と思われたいなら、言っても良いってシロが言ってた。
「じゃあ、シロさんもよろしくな」
ココノエがシロに手を差し出し、シロもそれに応える。
「ええ。良い付き合いになりますように」
その後、俺がゼノビアと握手しようとした時、部屋の入り口にいつのまにか立っていた男から、声が掛かる。
やあ諸君! ゼノビアだ!
私の同僚が出ると言ったな、あれは嘘だ!
次回だった。すまないな!
……しまった、話すことがないぞ。締めるか。
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