表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法の溢れる世界で君と唄う   作者: 海中 昇
第1章 魔都奔走編 〜英雄の始まりと歌姫の目覚め〜
15/68

第1章 〜プロローグ〜

 現在、夜の11時。真夜中の暗い暗い森、ここははじまりの森のどこか。1人の男が3.4人程連れ、誰かと通話をしていた。


「ええ。計画は順調です。目的も達成しました。今から新しい同士達を連れ、そちらに向かいます」


 どうやら先の試験に運び屋と共に現れた、ジェイルという男のようだ。


「そうそう。何人かめぼしい方を見つけたので、もう何本か補充をお願いします。そうですね、3〜4本程あればありがたいです。後、陽動用に精獣の使用許可を頂きたいのですが」


「…………のか?」


「ええ、そうです。あまりこの国を舐めなてると、痛い目を見ますよ?さすがの私でも無理です」


「………………」


「もちろん」


「わ……。す…………ろ」


「ええ。感謝します。では、例の場所で」


 ジェイルは懐に何かをしまうと、ポーチから何かの石を取り出す。


「出てきてください。運び屋さん。そこにいるのは分かっています」


 すると、背後にある木の影からティルを負かせた男、運び屋が現れる。


「話は通しました。まあ、苦しい言い訳でしたがね。私の信用情報に関わりますので、あまり無茶な使い方はしないでくださいよ……」


「善処はする」


「はぁ、全く。まあ仕方がありませんね。そういう契約ですから」


 と、手に持っている石をポンっと投げ運び屋がそれを受け取る。


「……確かに受け取った。それじゃ」


「ふん。しばらく共に行動したというのに、それだけですか……。それもお礼も無しとは……」


 運び屋は右の頬にある傷を軽くかいた後、


「…………ありがとう」


 と、顔に変化は無いものの、若干照れっぽく返す。


「ふふ、結構長い間一緒に居ましたが、初めてアナタの人間っぽい所を見た気がします」


「……じゃあ、本当にさよなら」


「運び屋さん」


 ジェイルが名前を呼ぶと、運び屋は立ち止まる。


「何?まだ何か用?」


「いえ、あなたとの旅、案外楽しかった。と、言っておきたくてですね。ではお気をつけて、さようなら」


 運び屋は背を向けながら手を振り、闇の中へと消えていく……。


「さて、私達もそろそろ行きましょうか……」


 一方夜が開け昼頃、冒険者協会の一角にて、冒険者になりたての2人、ティルとソフィアが、昼食を取りながら、今後の予定を話していた。


「明日だっけ?ギルド行くの」


「そうです」


「確か…………朝の9時にここだっけ?」


 ティルはマグニアの地図を広げ、指定された場所の指を指しソフィアに確認を取る。


「くれぐれも、遅刻しないように」


「へいへーい」


「でも、何やるんでしょう?やはり、書類とか何かの手続きとかでしょうか?」


「まあ、そうじゃないかな。ギルドの説明とか、その位だと思うよ」


 どうやら2人共に、Sランクギルド【魔国研究所】への入団を決めたようで、明日の朝に指定された場所に来るよう連絡を受けていた。


「まあ、今のとこやる事ないし、何かクエストにでも行きますか!」


「はいっ♪」


 ・

 ・

 ・


「まずは、長旅ご苦労様です」


「ま、団長直々の命令っすからね」


 ここはどこかの研究所だろうか、白衣を身に纏う男と、やや背の高い男がモニター越しにティルのソフィアの様子を確認していた。


「で、誰なんです?この子達」


 白衣を纏う男は、湯気がたつカップに入っているコーヒーをすすった後、答える。


「明日からこのギルドに入る方達です。私、自らスカウトしました」


「マジです?本気で言ってるんすか!?こいつら、見た目からしてルーキーでしょ?」


「まあまあ、そう言わずに」


「そうっすね。団長のスカウトですし……、文句はないっすよ」


 と、もう一人の男もカップに入る液体を口に含む。


「そう言ってくれるとありがたいです。2人とも、アナタの下につかせるつもりなので」


「ぶッ、、、、、」


 それを聞いた瞬間、男は口に含んでいた飲み物を勢いよく吐き出す。


「すんません」


「まあ、面倒くさがり屋のあなたのことです。そういう反応はすると思ってました。では、よろしくお願いしますね」


 男は、嫌な顔をする。


「まあまあ、そんな顔せずに。せめて、この男の子だけでも面倒見てあげて下さい。私の見立てだと、あなた、多分気に入りますよ?」


「…………期待はしときますよ」


「はい、ではよろしくお願いします」


「他に何かご要望は?」


「全て、あなたにお任せします」


「ほ〜ん。ま、精々しごいてやりますか」


 と、男は経つとストレッチをしながら扉の方へと向かっていく。


「そうそう、忘れてました。これ、先日行われた試験の映像です。何故か分かりませんが、途中からの映像はありません。ですが、だいたい彼がどういう子か理解出来ると思いますので、参考程度にでもどうぞ。 」


 と、キューブ状の物体を机の上に置く。


「ありがとうございます。気が向いたら見ます」


「はい。ぜひ」


 男は外へと出ると、ティル達の元へと向かってゆく。


(さて、あの子達はどうなって行くのやら……今後が楽しみですね……。)



 こうして、若干怪しい影が蠢きつつも、ティルのソフィアの冒険の幕は開けられた。


第1章 魔都奔走編 「プロローグ」 〜完〜

 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ