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ネガティブ錬金術師の二重生活(改訂版)  作者: 八(八月八)
第二章 ネガティブ錬金術師、図書館の精霊に会う

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レシピ13 ネガティブ錬金術師と詐称の石

 石造りのキッチンも大分片付いた。

焦げついたナベなんかは処分したので、最低限のフライパン・鍋などの調理器具しかないが1人なのでさほど支障は無い。

貯蔵庫から出したマイル鳥って鳥の肉の切り身に、塩を振って小麦粉を付ける。

竈にライターで火を付けて、フライパンにバターを溶かしてから肉を乗せた。

ジュウウといういい音と匂いがしてくる。ゆっくり焼きながら、付けあわせにレタスっぽい野菜を水でサッと洗ってザルにとっておく。

時間があまり無いので、あとはジャガイモっぽかったダマルって野菜を切っただけのものにも小麦粉を付けて別鍋に油を入れて揚げる。切ったら中身が紫でビックリしたけど、多分大丈夫。

 マイル鳥のソテーとフライドポテト(ダマル)と付けあわせの野菜の出来上がりだ。


『マスター……』

 そうだよ、お腹空いたから起きてきたんだよ。



 ちなみに元の世界にいた頃は、ほぼ料理などした事は無い。

調理実習と、インスタントラーメンとチャーハン位しか作った事が無いのだが、錬金=調合=調理に当たるらしく、錬金術の本には多くの料理レシピも載っている。

以前ならまだしも、この世界では食べられなくなった料理が沢山載っているので、材料を手に入れれる今はとなっては料理男子になる勢いだ。


『……まぁ、育ち盛りですから、食事を抜かないのは良い事です』

 クレーヴェルの制止を振り切りふて寝したオレが、こうやってこっそりご飯作って食べている事に、怒りより呆れが勝ったようだ。

 マイル鳥がちょっと固めだけど、ほぼ鶏肉の味で美味い。照り焼きソースとかでも食べたいけど、醤油らしき物が見当たらないんだよな。あと米も。

小麦粉はあったから、頑張ればラーメンやうどんといった麺類も作れるかもしれない。醤油ラーメンめっちゃ食べたい。

醤油って大豆を発酵させて作るんだよな?発酵の仕方だけだったら本にあるかも。後で調べてみよう。

 あと貯蔵庫は冷暗所になってて保存はそこそこ効きそうだが、やっぱり冷蔵庫欲しいよなぁ。


『マスター、大事な話があります』

 やだ、絶対説教だ。

 オレはフライドダマルを口に頬張りながら視線を外した。


『マスター、ちゃんと聞いてください! 良いですか?


 男は皆、狼です』



 は?


 …………えーと、こっちの世界にも狼っているんだ?


『良いですか、マスター?

 男と言う生き物は、つねに繁殖について考えています』

 うん?うん……。とりあえず頷く。


『人間という生き物は中でも知能指数が高く、道具などによって物事を効率化した事で、繁殖にも時間と手間を掛ける様になっています』

「はぁ……」

『ですがそれらは全て、所詮は繁殖活動の為なのです! 例え優しい言葉を掛けられても、物品を捧げられても、オスがメスに行う行為は全て! 繁殖の為という事を忘れないでください!!』

 何言ってんだこの精霊。



 すっかり食べ終わって水を飲み終えたオレは、そんな事よりと切り出す。

『そんな事じゃないんです! マスターは町に出る時は女性体なのですから、もう少し警戒心と言うものを……っ!』


「いや、それより例の鑑定石さ、あれって色んな所にあるって事だよな?」

『え? まぁ……そうですね。品質にもよりますが』

「それってマズいよな? アレ使われたら、オレが男で異世界人だってバレるし」

『確かに……あぁ、でも鑑定を妨害するアイテムはありますよ』

 それじゃあダメだ。そんなの隠し事があると言ってるようなものだろう。オレは何事も無くやり過ごしたいのだ。

「だからさ、こう……見られる用のステータスを作れないかな?」


 という訳で、一晩かけて作ってみました名付けて【詐称の石】!

 鑑識の石を元に、ステータスを表示する過程で情報を書き込んで屈折させて本来とは違う表示をさせる。

 友也用とアイハ用2つ用意した。

 これをネックレスにする。


 クレーヴェルに聞いたところによると、これまた稀少スキルらしいが《鑑定》スキルを持つ者もいるらしい。

 スキルレベルにもよるらしいが、相手の情報を見れる能力か……それって物にも使えるのかな?

 試しにお肉サマに貰ったマジックバッグを鑑定の石に被せてみた。



マジックバッグ Lv.3


容量:30㎏

原料:トーンブルフの胃袋、上質な布、テンタルスクの茎



「おお! 出来た!」

 これは便利!

 これさえあれば、町の外に出た時とかも採集にも使えるし、動物や魔物の情報も見れる。貧弱なオレでも何とか逃げ延びれるかもしれない。

 でもこの石だと、触れなければ情報が出ない。

手袋とかにもと考えたが、植物はともかく魔物なんて怖いし、届かない所にある物は分からない事になる。

 対象を認識して選ぶ方法……触れられないと難しいけど、直接は無理だから……そうなると、電磁波とかビーム的な……あ、いけそうな気がしてきた。

ちょっと応用出来そうなレシピあったか本見てこよう。


 やはり”見る”ものだから目に付けなきゃいけない。某バトル漫画のスカ〇ターが基本だよな。

 翻訳のメガネではレンズ越しを全てを変換するので、情報量過多だし、ずっと付けてる事になるのも困る。

そうするとやっぱりス〇ウター式?いや、あれはちょっと目立つな……あ、でもボタン操作出来たら良いな。

 効果のある石をレンズにするのは前回やったから大丈夫。

あとは効果を扇型に広げて、対象だけを操作じゃなくて、効果も操作出来たら良いな。

次に町に行くまでには完成させたい。


『そう言えばマスター。今日は出掛けないのですか?』

 昼間寝たので夜通し作業していたオレに、クレーヴェルが声を掛けてきた。

何を言ってんだ?


「一週間分の食料は買ってきたんだから、次行くのは6日後に決まってんじゃん」



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