1/2
プロローグ
「2022年4月 不妊治療を保険適応とします。」
やっとか…と思った。
少子高齢化社会で少子化問題が取り上げられて、6組に1組は不妊で悩んでいるのに、不妊治療が保険適応外だったのは前からいかがなものかと思っていた。
今、私は一児の母。不妊治療を3年頑張り、やっとの思いで可愛い女の子を授かった。
この"不妊治療"というやつが、想像以上に苦しかった。
身体的に辛いのはもちろん、それ以上に精神的に辛かった。
何度も泣いたし、何度も街ですれ違う妊婦さんや赤ちゃんから目を逸らした。友人も減っていった。
"不妊治療"は、とてもナイーブな問題。親にも友人にも相談しにくい内容だ。
「今、不妊治療しててさ〜。」と相談された方も、返答に困るのではないだろうか。実際、不妊治療をしていてストレスで爆発しそうな時に、友人に相談したら、なんとも言えない顔をして言葉につまっていたことがあった。
でも、不妊は誰にでも起こりうること。
他人事ではないのだ。