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ホワイトウォッシュド コンプレックス

何故高貴な血が迫害されるような扱いを受けていたのか、そして、今も受けているのか分からない。

白い煙が立ち込める中で、ズラッと並んだゴブリン共の首を並べて、『私』は人差し指をこめかみに当て考えた。

しかし、そうして考えてみた所で、正解は見つからなかった。

街中が騒がしくなってきた。茶や紺のスーツを着たドワーフ達、制服姿の警官達がしらみ潰しに聞き込みを行っているのが、風の精霊を通じて聞こえてくる。

魔法が迷信となった。

そう信じるこの大陸では、『私』は絶対に捕まらない_。



「それで、タラを保護できなかった、と。何をやっているんだ!」

ネス警部はアランを叱責した。

「しかし、警部。」

「しかしではない!」ネスの頬が怒りで震えた。

「オーリン何ぞに言いくるめられるとはな。アラン。いつから連中の面子だの肩を持つようになった?

我々組織犯罪課も、触れざる(アンタッチャブル)でなければならないんじゃないか!?」

連邦警察にいる、サブマシンガンなる最新式連発銃がトレードマークの武装警官たちのあだ名を挙げた。

「タラの居場所が分かっただけでも収穫にしておくか?しかし、コヅクとその一味が現れないのは何故だ?」

ネスは喋りながら、乾いた自分の唇を舐めた。ギャング側の動きが分からない。

「これは、抗争による殺人に見立てた連続殺人だ。それは間違いない。犯人の目的は赤い髭とコヅク一味との抗争を引き起こすことだ。つまり、連中に近い立場の人間の仕業になる。」

「…なんの利益もない。」

「何だ?」ポツリと呟いたアランの言を、ネスは聞き逃さなかった。

「犯人は街の事情を理解した上で、抗争による殺人を見立てて双方の勢力を煽っている。そうみるのが一見妥当に聞こえます。しかし、それで得をする人間がいない。ドワーフ側にも、ゴブリン側にもです。勿論市民にとっては害でしかない。警部の考えでは犯人の目的が見えないのです。それに、被害者はゴブリンしかいない。ドワーフ側に誰一人として死傷者がいない。抗争を引き起こすことが目的というより、ただゴブリンを殺している様に見える。」

「つまり、何だ。」ネスは一旦、視線を天井に向けた。考えをまとめようとしている。

「犯人は見立ても目的も何もなく、ただ街にいるゴブリンを殺したくて連続殺人を行っている、と。」

「その線が濃厚です。」アランは互いの考えを擦り合わせた。

「成る程。」ネスの中で、しっくりくるのもがあった。しかし、

「その線ならマフィアと警察の人海戦術でその殺人鬼とやらを追い詰めると言う話は、あながち荒唐無稽ではない。とでもいうかと思ったか?ドワーフマフィアによる一方的な殺害の可能性を考えたことは?」

「もし仮に赤い髭による一方的な殺人ならば、やはりオーリン達の反応が妙です。初めから流れ者が犯人だと決めつける所までは、言い逃れの可能性がありますが、連中は本気で犯人を探そうとしている。だから、警察に対して市民として犯人捜しを協力する様な話まで出してきた。」


「警部。犯人は魔法を使えるのかも知れません。」アランの唐突な言葉にネスは耳を疑った。

「魔法!?魔法と言ったか?ミッドランドの貴族でさえその存在の消滅を疑いつつあるという魔法を、スメタナのこの地で扱う人間がいるとでも?」

「マフィアの連中にも話しましたが、被害者が抵抗した形跡がないのは変です。ギャングしかりゴグしかり、です。」

「魔法なんてものを引き合いに出すなら、こんな手もあるぞ。犯人はゴブリンギャングの一員で睡眠薬を盛りながら、無抵抗な相手を殺害して回っている。」

「それならば、その睡眠薬とやらは何処で手に入れるのでしょう。それも分かっているだけで八人もの量を、です。」

むう。

ネスはアランが正気で魔法使い説をとなえていると知ってうなり声をあげた。

「しかし、相手が魔法を使えると仮定して、どうやってそいつを追い詰めるつもりだ?」

「犯人は、一度に複数の人間を昏倒させる魔法を使えると、ここは仮定しましょう。古来より魔法には強い精神力と意思力、そして大量のマナを必要とする、とされています。この通説を信じるとすれば、つまり、連発しては使えない。」

「ギャング達が殺された日の四日後に、ダグ達が殺されている。犯人が魔法を使えるようになるまで最低でも四日はかかると?」

「そうなりますが、もう一つ。スメタナで唯一大量のマナを摂取する事が出来るものと言えば…」

「聖霊煙草か!アラン、お前が吸ってる奴だな。」ネスが出した答えにアランは深く頷いた。

「ここ数日で聖霊煙草を誰かが大量に購入していれば、そいつが怪しいと言うことになります。勿論私を除いて、ですが。」

「よし。分かった。署長には俺の方から伝えておく。アラン、お前は煙草屋をあたれ。聖霊煙草なぞ売ってる所はお前の方が詳しいしな。それから、」ネスは険しい顔のまま、アランを睨み付けた。

「お前はレッドマスタッシュにもう行くな。今回の件でお前は奴等に情報を流しすぎた。この件が片付いたら、お前を一般の殺人課の部署に推薦してやる。」

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