第三者
ゴブリンを殺せ
ゴブリンを殺せ
ゴブリンがいない?
では進め
行進曲を歌いながら、砥石でナタを研ぐ。
傍らには七連発のショットガンがある。六連発の回転拳銃もある。
この街にきて分かったこと。それは、ゴブリンへの扱いに対して、温度差があるということ。特に街中では。ゴブリンに選挙権まで与えているというおぞましい噂を耳にした。
自由と平等?小鬼に人権などあるものか。
『退治した』連中から取り上げた市民証を、ベストの中に重ねている。
全部でまだ九枚だ。
全然ゴブリンを殺し足りない。
そして。顔をショットガンで潰してしまうよりも、あの汚らわしいグリーンスキン共には豚にする様にナタで首を切り落とした方がふさわしい。
自分はうっかり者だ。
いや、うっかりしていたのではない。自分のような高貴な出自と血を持つものは、汚れた血よりも生まれつき遥かに高等であるのは、サイエンス誌『血統の優位性の証明』に書いてあったではないか。
神が造りし科学が自分が優等人種であることを証明せしめたのだと。
出来損ないの生き物で、奴隷として機能することで初めてゴブリンはその存在を許されるのだと。
奴等は略奪者であり強姦魔であり、生まれつきの殺人者であることは歴史が証明してきた。
輝かしい光の戦士たちがライフルでショットガンでピストルでサーベルで、撃ち殺し首をはね、銃と剣でもって駆逐していったのだ。
しかし、何故最後には奴隷にしていったのか理解に苦しむ。
種を根絶やしにすれば、後世自分のような男が、手に手に粗悪な拳銃や包丁もどきを手にしたゴブリン共と命懸けで対峙しなくてすんだのではないか?
だが、それでも良いのだ。自分は勇者。雑魚敵が何匹揃っても、雑魚は雑魚。
街を調べれば、働く兄弟たち、と、当たり前のことが書いてあるゴブ共の集会所があった。
奴隷が働くのは当たり前だ。見た感じでは武装した者もいなかった。
「今度は首を切り落としてやるか。」
標的は決まった。




