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動機について

ネスが署長に報告をしているとき、アランはバロムをパトカーに同乗する形で、化粧男を撃ったという現場に向かっていた。

化粧男は自分達のアジトを襲った所で、男の呟きによって皆が何故か次々と意識を失う中、バロムだけは鉄の意思で反撃に成功し、発砲したら慌てて逃げたのだという。


事件が起きた時、ギャング達はコヅクの命令で抗争に備えて沼地にアジトを構えながら、当初、街に出ては制裁を加えよう機会をうかがっていた。

しかし、金で買収していたドワーフのスパイから事件とは無関係だと知らされ、コヅクは慎重な姿勢をとった。

バロム一派はそれが許せず、怒りに任せてコヅクから別れ、街の貧民街に拠点を移し、警察には知られず、逆に犯人からは目立つ形で潜伏し、自らをおとりにして犯人の殺害を目論んでいたのだと語った。


そんな手をうったのは、メンバーが殺されたにも関わらず、誰一人として目撃したものがいなかったからだ。

目撃したゴブリンが全員死んでいる。しかも、ゴグの死後、警察の発表よりも実際には多くの同胞が殺害されていた。


「俺達の手で始末したかったんだ。」馬より珍しい自動車に初めて乗ったバロムは高揚していた。

「リーダーは警察に任せようとした。それじゃ殺された奴等の家族が浮かばれない。逮捕して終身刑で、一生檻の中で生き長らえる?冗談じゃない。俺達の手で拷問死させたかったんだ。」

「つまり、私刑(リンチ)がやりたかったんだな?」

「そうだ。」バロムの視線はアランのハンドルに向けられていた。

「俺達の俺達による俺達の為の死刑だ。」

「感情的になるのはわからなくもないが、撃ち合いや報復ばかりやってて州の正式な刑罰の知識を置き去りにしてたな。

ケンシ州の法の裁きでは複数の殺しは確実に死刑相当だ。公開されてないだけで縛り首にはなっているよ。他の州みたいに懲役加算制による終身刑はまだない。警察に任せるべきだった。」


「どうだか?警察共は信用できねえ。昔みたいに吊るしてんならズラッと晒せばいいんだ。正義の執行で見てて爽快だぜ?」


「…そうか。そういうものか。」バロムの歯を剥いた凶悪な笑顔をチラリと見たアランに閃くものがあった。


「犯人の動機はな、バロム。君の言う正義感や使命感に酔いしれた快楽殺人。謂わば、ゴブリン虐殺魔(スレイヤー)になりたいのかも知れない。

ゴブリン奴隷の風習の根強い町から自由市民の多いケンシ州のこのシティへ、奴隷だったという身の丈をわからせようと殺しにやってきたのかも。」


「マジかよ、アランさんとやらよ。そのキチ○イ野郎は、俺達ゴブリンをわざわざぶっ殺しに州跨いでやってきた、てのかい?」バロムの顔色が悪くなったが、アランは運転に集中した。

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