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妹のためなら人生を賭してもいい  作者: ポーティフォン
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第五話 悪夢

 気がついたら森の奥から、黒いモヤがかかった何かがこちらに向かってくる。


 (何か嫌な予感がする。)


 さっきまで寝ていたはずのミウは、いつの間にか僕の腕にくっついて震えている。


 (急いで逃げなくては。)


 「ーーーっ!」


 何かに拘束されているようで、体が動かない。


 「ーーー!」


 何とかミウだけを逃そうと声を出そうとしたが、無駄だった。


 いつの間にか、黒いモヤが目の前に迫っていた。


 黒いモヤは、ミウを僕から引き剥がし森の奥へと連れて行こうとする。


 それを必死に抵抗するミウだが、力で敵うわけもなく、森に連れて行かれる。


 「おにいちゃん!おにいちゃーん!」


 ミウが泣きながら、手を伸ばしてぼくのことを何度も呼ぶ。


 死ぬ気で力を込め、何とか体の拘束が解けた。走ってミウを追いかける。


 (もう少し、あともう少し。)


 「ーーーあっ!」


 手が届く距離まで近づいた瞬間、スッと足場が消失する。


 落ちていく。


 「ーーーッ!おにぃちゃーーーん!」

 ミウの聞いたこともない叫び声も、だんだん遠ざかっていく。

 

ーーーーーーーーーーーーーー


 目が覚めた。


 「ーーーっは!はぁはぁ・・・なんか嫌な夢を見たな。」


 太陽の高さを見た感じ、まだ帰る時間には早い。

 僕は心を落ち着かせるため、ミウとスライムを撫でようと思ったら、スライムの方の手が空を切った。


 (あれ?どこ行った?)


 下を見ると、いつの間にかスライムがいなくなっていた。クッキーに満足して自分の住処に帰ったのだろう。


 スライムベッドの夢を断念しながら、ミウの頭を撫でようとした。


 その時、ザッ、ザッという音が聞こえた。この音は、足音だろうか。


 家からいなくなった僕たちを母さんが心配して、探しに来たのだろう。そう思って、顔を上げて、音がする方に向けると、小さな子どもみたいな者がこちらに近づいて来ていた。


 「あれ?母さんじゃないな。近所の子どもか??。」


 だが、この近くには僕ら家族以外暮らしてない。嫌な予感がしたので、近づいてくる者に【アナライズ】を発動した。


 Nane:『』

 Lv:2

 種族: ゴブリン

 HP:10

 MP:0

 STM :3 

 STR:7

 DEX:2

 AGI:3

 TEC:1

 VIT:2

 LUC:4 

 スキル:『』

 加護:『』


 人かと思っていたが、鑑定結果を見ると、どうやらスライムに並ぶ王道モンスターのゴブリンだ。

 

 (初めてモンスターを鑑定したが、問題なく鑑定できたな。これでまた1つ検証ができた。)


 自分のステータスと比べると、力勝負以外なら若干こちらに分はある。しかし、武器もなく倒せるかどうかわからない。ここは、僕が引き付けてる間に、ミウに助けを呼んでもらうのがいいだろう。

 

 そういえば、あのスライムも鑑定するの忘れてた。

 だが、今はそれどころではないだろう。ゴブリンは、こちらに気付いているようで、こっちに少しずつ向かって来ている。


 先程見た夢のことがよぎった。


 「ミウ、ミウ、起きて。」


 「むにゃ〜、もう帰る時間〜?」


 ミウの肩を揺らして、起きるように促す。するとミウは、目を覚ましたようで、目を擦りながら体を起こす。


 「ミウ、起きてすぐで悪いけど緊急事態だ。ゴブリンが僕たちの方に近づいてきてる。僕が引き付けるから、ミウは逃げて。出来たら、助けを呼んできてほしい。」


 「えっ、ゴブリン?怖いよ、おにいちゃんも一緒に逃げようよ。」

 

 ミウが、自分の服を掴んで引っ張る。自分はその手を解き、助けを呼ぶようにミウを促す。


 「できたら僕もそうしたいけど、多分2人で逃げてると追いつかれる。だから、僕が引き付けてる間に逃げて、助けを呼んでほしい。」


 「いやだ。おにいちゃん置いて逃げるなんて、絶対やだ。」


 「ミウ、お願いだ。情けないけど、僕じゃゴブリンを倒せない。ミウが助けを呼んでくれることで僕達は助かるんだ。だから頼む。」


 「うぅ・・・わかった。急いで誰か呼んでくるから絶対無事にいてね。約束だからね」


 ミウは、目元に涙を溜めながらも自分のお願いを聞いてくれる。


 「ありがとう、ミウ。わかったよ、絶対に生きて帰るから。約束だ。じゃあ、僕が合図したら走って、来た道を引き返すんだ。」


 「わかった。」


 人生初の生きるか死ぬかの勝負。

 

 さっきの夢を正夢になどはさせない。


 ミウとの約束を胸に刻み、絶対に生き残ることを改めて自分にも誓い、戦いに臨む。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます


面白い、続きがもっとみたいと思っていただけたら

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