表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

どうにもならないわたしの空白

作者: 泉末広

なんでもないけど、なんとかしたい。

なにをしたいかと考えれば、わからない。

わからないと悩むけど、どうにもならない。

どうにかしなくちゃと焦るけど、なんにもできない。

なんとかしなくちゃ、でも、眠くなる。

なんとかしなくちゃ、でも、お腹がすいた。

どうにかしなくちゃ、でも、朝が来る。

どうにかしなくちゃ、でも、もう昼になる。

なんにもわからないけど、もう夜が来た。

ただの通りすがり、思い出になんか残らない。

ただの思い過ごし、記憶になんか残せない。

誰もいない人混みに消えていく。

行き交う人たち、こんなに見つめているのに。

わたしは空白だけ残して消えていく。

言葉を交わす人たち、こんなに見つめているのに。

わたしは空白だけ記して消えていく。

人混みの中にいるわたしを、いちどでいいから見つめたい。

行き交う人たちの中にいるわたしを。

言葉を交わす人たちの中にいるわたしを。

いちどでいいから、ずっと見つめていたい。

悲しいけど、わたしはわたしを残せない。

悔しいけど、わたしはわたしを愛せない。

虚しいけど、わたしはわたしに出会えない。

誰もいない人混みは、わたしだけいない人混み。

なにをすればいいのか、みんな知ってる。

なにをしたいのか、みんな知ってる。

どうすればいいのか、みんなわかってる。

なんの意味のない混雑にすがりつく。

なんの意味のない雑談にすがりつく。

なんの意味のない空白だけ残されて。

わたしだけが許してくれるから。

忘れないために、余白を開けて、書き残こす。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ